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にゃるら-「蜘蛛」感想② 蜘蛛の中に風車男ルリヲを視る



・風車男ルリヲ

これまでに、にゃるらさんがシナリオされた作品と同様に今作「蜘蛛」でも様々な音楽、文学のネタが散りばめられていました。
その中でも多く元ネタや引用として用いられるのが筋肉少女帯などの大槻ケンヂ作品です。

私も思春期時代に大槻ケンヂことオーケンの作品に触れて以来、熱狂的なファンです。

実はにゃるらさんのファンになったキッカケもエッセイでの雰囲気などが若い頃のオーケンに通ずる作風を持つ方だなと感じた事でした。

「蜘蛛」作中では筋肉少女帯の「蜘蛛の糸」が引用されています。
また主人公の名前である「かな」も過去ににゃるらさんがエッセイでも「香菜、頭をよくしてあげよう」を取り上げられていたのでそこが元ネタの様な気がします。

そしてこの作品を読んでいる時に延々と頭から離れなかった楽曲が筋肉少女帯の「風車男ルリヲ」です。

この曲の詩はとても抽象的なので一概には言えませんが僕はこの詩を「セカイを廻している実態を持たない運命に反抗する若者の心情を描いたもの」と解釈しています。

「人は若い時は運命に隷属するを良しとせずあの手この手で抗うけれども。何時しかそんな取り止めもない反抗に疲れてしまう
そして目の前に在るモノこそが本当の幸福だったのだとソレを享受し始めてしまうものなんだ」といった感じでしょうか。

-ルリヲを捜す旅に疲れ果てて
君はどこかのつまらない娘を恋をして
もしかしてこれが幸せと思う
バカだねルリヲの思うつぼさ-
(筋肉少女帯-風車男ルリヲ)

特に作中でかなちゃんがるり姫てゃんに失望したり、母を嫌悪したりする時や平凡を嫌悪しガムシャラに何者かであろうとする様にこの詩がダブって浮かびました。

かなちゃんの「何者かになりたい」という願望の根幹に風車男ルリヲの詩の様に流され行くだけの運命への反抗、破壊願望が有るとするならば、配信者、インフルエンサーとなって多くの人々から崇められるという行為はかなり的を射ているのかも。

インフルエンサーは自らの鶴の一声で社会の在り方に対して多くの人間に疑問を抱かせる社会通念の破壊者であると言っても過言ではありませんから。

ですが古い社会通念を壊してもまた新たな社会通念が生まれるという事なのでやはり運命、ルリヲには弱点で在る「首」は無いのでしょう。

人々は何者かになったとしても定められた運命からは逃げ出すことは出来ないのかも知れませんね。

#NEEDY_GIRL_OVERDOSE #にゃるら 
#蜘蛛
#ネタバレ
#大槻ケンヂ

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