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障害者が行政書士試験に合格するには

 まず大前提として行政書士の業務をこなすための知識があることを試験で示さないと合格できません。そこは障害者だからって甘くしてはくれない。だから勉強しましょう。

 次に合格するのに充分な知識は手に入れたとしましょう。その実力を示すために試験はあるので、そのパフォーマンスを試験で発揮しなければいけません。そのテストの内容について説明します。
 行政書士試験は大きく分けて2種類の方法があります。まずはマークシート。もう一つは記述式。
 行政書士試験は例年通りであれば300点満点中6割の180点あれば合格基準に達します。他にも一般知識問の足切りや、法令の問題でも基準点がありますが、そのあたりは割愛します。

 マークシートはご存知のとおり枠の中を黒く塗り潰す問題で、300点中240点にあたる部分がマークシートの配点になっています。細かく分けると、5肢択一問題の配点が216点。これは一問4点です。残りの24点は多肢選択問題と言って一つの設問で4つの答えを選ぶ問題が3問あります。これは一つの正解につき2点となっています。
 いくつのマークシートを塗り潰すのかというと54+12で、66個のマークシートを塗り潰す作業があります。
 続いては記述式の問題です。マークシート方式の問題だけでも合格点には到達出来ますが、その場合の必要な正解率は83.3%です。相当厳しいものになるので、記述式の問題を無視する戦略は避けるべきです。
記述式は設問に対して40文字程度で答えを記入する問題で、3問あります。つまり120文字程度記入することになります。
 まとめると考えながら66個のマークシートを塗り潰し120文字程度を記入するのを3時間以内に終わらせる必要があります。
 マークシートは綺麗に塗り潰す必要があるため、手に障害があると大変です。全盲ならこの時点で無理です。
 そのため障害者には障害の分を配慮する制度があります。自分も当然利用しました。

 どうやって利用するのか?というと、行政書士試験の主催者に連絡するだけです。郵送でもメールでも電話でも大丈夫です。連絡すると主催者から郵送で書類が送られてくるので、書類に書かれていることに従って記入したものを返送した後に締切に間に合うように受験の申し込みをすればOK。後は9月に試験会場の担当者から電話がくるので、そこで具体的な支援の打ち合わせをすれば完了です。
 当然この制度は障害者が対象なので書類の返送時に障害者手帳のコピーが要求されます。

 具体的にどんな支援が受けられるのか?というとわかりません。というのも大抵の支援はしてくれそうな雰囲気があるからです。多数の人が必要と思われる支援はあらかじめ用意された紙に記入されています。その紙には「点字による支援」も書かれていたので、全盲の人だろうと対応する気でいるみたいです。
 とはいえさすがに限界はあると思います。車椅子の項目は当然あるけど、座位が保てない人は受けられるのか?後は両腕を失っていて記入するには付き添いの支援が必要な人とか。そのあたりは聞いてみないとわからない部分です。最低限会場に行かなければならないとは思います。
 自分の障害は片麻痺です。会場は駅からいくらか歩いていく必要があるため、車の利用を申請(健常者は駐車場が混雑するため大体の会場で車での来場は不可)。マークシートが綺麗に塗り潰せないのでレ点で大丈夫なようにしてもらい、他には記入式の問題に対する解答でマスの中に字を上手く収める自信がなかったので解答用紙を1.5倍にしてもらいました。以上は送られてきた返送する用紙にあらかじめ載っているもので、自分はさらに追加で文鎮と電動消しゴムの使用申請もしました。追加の2点も使用許可は出ました。

 健常者には障害者がどんな支援が必要なのかはわかりません。自身に障害があるからと言って他の障害者の必要な支援はわかりません。支援を受ける障害者自身が言わなければわからないことです。これは障害者の義務だと自分は思っています。支援を受けなければ到底合格する事はできない、というのであれば声をあげるしかないのです。

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