ベビーカー論争 〜OS side〜



このタイトルだけで、これから僕が何を言おうとしているのか、勘のいい方なら大体わかるかもしれない。けっこう前、ライターのヨッピーさんが子育て論争でよく話題になるベビーカーについて自分が主婦と同じような条件で実際にベビーカーを押してその大変さを記事にし、大激論が起こった。

(今はヨッピーさん自身の記事は見つけられなかった。代わりに若いライターさんが同じような感じの記事を書いている)。ヨッピーさんはどちらかというとお母さんサイドの意見だったのだが、ヨッピーさん叩きをしている人の中には、自分は実際の子供を育てている、お前はただのダミーだみたいな意見もあって世の中のお母さんは皆大変なのだと思った。


¥前置き

この記事は、子育て中の親御さんに読んでほしい。しかし僕が読んでほしい対象の人は読むと間違いなく不愉快になり、パソコンやスマホの画面を叩き割りたくなるかもしれない。でも言わせてほしい。なので不愉快になりたくない方はそっとページを閉じて、子育てエッセイ漫画とかそういうのを読もう。


¥いきなりの結論

これから何文字にもわたって僕は自分の主張を書くが、僕は筆がのってくると強い表現や、しゃらくさい言い回しを多用して焦点がぼやけがちなのではじめに言いたいことだけを下に書く。この一文だけでも読者の頭に残ればこの記事はほぼその役割を果たしたことになる。


「ベビーカーやカートを押している若い親御さん、押しているときは頼むから周りをよく見てゆっくり押してくれ!」


これに尽きる。いてて石を投げないで。わかっている。子育ての大変なのは。僕は結婚どころか彼女もおらず、仕事もよくわかんない状態の日本有数の底辺なので本当の子育ての大変さは知らない。1番身近な体験談は母親から聞いた自分が小さい時の話だけだ。

そんなやつに子育ての大変さなんかわからないとは思う。そして世の中の多くの親御さんは僕がこんな主張をしなくてもいいタイプだということも承知している。でもいるのだ、ベビーカーアタックを連発する人が。


¥おじさんは味方がいない

ここでは僕が半分棲家みたいにしているイオンモールを例に書いてみる。

さてこれを読んでいる読者はイオンに誰と行くだろうか?友達?家族?恋人?よろしい。さて独身のおじさんは誰と行くと思うだろうか?なんと一人なのである。

友達いない、彼女いない、親は歳をとっているとなると当然こういう感じになる。

そしておじさんはその日のご飯の材料を買いに賑わったスーパーに行く。

スーパーというのは店によるが混んでくると棚と棚の間も狭くけっこう移動が困難になってくる。おじさんは今日は何を食べようかなぁとのんびり歩いている。通路が交差点になった箇所に着いた時、それは突然やってくる。

「ガァンッ!」

「ぐうぅぅ」おじさんの押し殺した声が虚しく響く。

そうベビーカートだ。

「あっすいませーんw」華麗なカートアタックを決めた若いお母さんと思しき人はそそくさと立ち去り、そこには痛む足をひきずるおじさんが一人残される。

なかば実体験もあるが、大体こんな感じだ。こんなこと本当に起きているのだろうか。起きているのだ。おじさんは隠しキャラみたいにいるけど見えない存在である。
さてここでおじさんが当てられたことに対して怒り出したとしよう。

「いてえじゃねえか!!このやろう!!」

怒り狂うおじさんと困惑するお母さん。この構図、あなたはどう思うだろうか。

 さて今Twitterではエッセイ漫画が流行っている。特に子育てマンガは大人気分野だ。共感しやすいし、自分は一人じゃないと勇気づけられる。そしてこういう漫画で出てくる悪役というのは大体おじさんである。電車にのってきたベビーカーに舌打ちしたり、バスの中で泣く赤ちゃんに腹を立てるとかだ。こういうのは確かによくない。

しかし冴えないおじさんというのは悪役にしやすい。見た目が叩きやすいし、独身底辺だと社会に何も貢献していない、叩いてもいいんだという暗黙の了解がある気がする。もちろん本当にやべぇおじさんというのはいる。しかし若いお母さんが育てているお子さんと同じようにおじさんにも可愛いベイビの時があった。それが色々あってこんな有様になったのだ。

先程のシーン、登場していないが若いお母さんの旦那さんがいたとしよう。ちょっとベビーフードとかを取りに行ってたのだ。さわやかな旦那さんがやってくる。

「妻がすいません。でも謝っているからもういいじゃないですか」

こう言われるともうおじさんの味方はいない。店内というのは公道じゃないので警察も、店の警察たる店員も基本的に何もしてくれない。彼らが動く時というのはおじさんが暴れ出した時である。

家族連れ、カップルなんでもいいのだが、単独で店にいるおじさんと違い普通の客は基本立場が悪くなっても味方がいるし、言い負かされても帰りに悪口を言ってウサを晴らすことができる。しかしおじさんは基本一人なので、痛みを我慢して一人で帰る羽目になる。


¥僕はヨッピーさんみたいに体を張るタイプじゃなく安楽座椅子タイプのライターだが、モールにあるカートは何度か押したことがある。大量に荷物を買い込んだとき、あれに乗せると便利なのだ。赤ちゃんや幼児とは違うかもしれないが、荷物がのった状態であれを押すと大体どれくらいスピードが出るか、どれくらい遠心力が働くのか理解しているつもりだ。その上で言いたい。あれをフルスピードで動かして人体にアタックする意味はあるのかよ。


¥おじさんの遠吠え

僕が書いたこの主張を読んでそうか、危ないんだな気をつけようと思う親御さんはそもそもこういうことをしていない。そしてなんだ、こいつ、結婚もしないでダラダラしょうもないこと書きやがって、無敵おじさん乙という人に限ってカートアタックをかますのだ。

 ベビーカー論争の燃え滓でタバコに火をつけるみたいな感じになってしまったが、僕は電車の中で赤ちゃんが泣いてもなんとも思わないし、公共交通にベビーカーが乗ってきてもなんとも思わないしむしろ大変だなと思う。困っていたら手助けもお母さんに恐怖感を与えないならすすんでやるタイプだ。

 僕が言いたいのは、家族連れやカップルの邪魔にならないよう静かに生きているおじさんを無敵の人に変えるトリガーにこういうカートアタックがけっこうなっているということなのだ。お願いですから、ベビーカーやカートを押すときは周りをよく見てゆっくり押してくださいよ、ほんとお願いします。(完)

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