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雨上がりまでふたりぼっち

午前10時の無人駅で
来ない電車を待っていた
君はひとりで待っていた
雨が止むのを待っていた

屋根の雫のリズムもそこそこに
君の涙は見えないけど
持っていた傘を差し出した
濡れたまんまじゃ風邪をひくからさ

君が心配するほど世界は良くないし
期待するほど悪くもない
もう一回等身大のままで
深く息を吸い込んで

藍寄りの灰色した高架下
自分の気持ちだけを透過した
言葉はいらない なんてことはない
言ってくれないと分かんない

遠くに見えるスクラップヤード
うず高く積もるゴミの山
不法投棄の夢の山
明け損なった夜の山

あんまり大きな傘ではないから
全部を連れてはいけないけど
一緒がいいと君が言うなら
ひとつでも多く拾っていこうか

君のこれまでの痛みなんか知らないし
知ったとこでどうしようもない
ただ君が傘を忘れてた
それだけじゃだめかな

藍と白が混ざりあった空の下
ある花の続きの話をした
言葉はいらない なんてことはないけど、

君が心配するほど世界は良くないし
期待するほど悪くもない
もう一回等身大のままで
深く息を吸い込んで

藍寄りの灰色した高架下
自分の気持ちだけを透過した
言葉はいらない なんてことはない
言ってくれないと分かんない

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