webtoonディレクターのお仕事について
皆さんこんにちは。
webtoon事業部責任者の井本です。
先週のnote記事を見ていただけましたでしょうか??
フーモアスタジオの「アートディレクター」の仕事内容が、少しでも伝わると嬉しいです。
今日は意外と知らない「ディレクター」の仕事について、解説していきたいと思います。フーモアでは「アートディレクター」と「ディレクター」の採用を絶賛強化中です。
是非お気軽にお声がけください。
ディレクターとは
Wikipediaでは、制作物の質に責任を持つ者と書いてあります。
ただ、このディレクターという言葉が業界によって、異なるのでディレクターという言葉が一人歩きしてしまい、「想像していたディレクターの仕事とフーモアのディレクターの仕事が異なる」といったミスマッチが発生しやすいので、改めて説明出来ればと思っています。
フーモアのディレクターを簡単に説明すると下記かな?と。
ここでいう「質」って言葉が結構難しくて、立場や人によって質の捉え方が違います。最近、結構ビビビと来た言葉を引用させてもらいます。
小学館・第一コミック局プロデューサーの井上拓生さんのお言葉。
毎回出す、スタジオ制作の図がこちらです。
それぞれの工程に、それぞれの制作クリエイターがいて、週間連載というなかなかに高難易度の制作を行います。
ひとたび企画が始まると作品の公開まで、大体半年ほどがかかります。
公開されるまで10話~30話ほどのストックを作るため、長い作品であれば1年以上の準備期間がかかります。
1年間準備って凄いですよね。
作品を作ることは想像以上に魂を削ります。
魂を削って作っている作品が、最高の仕上がりになるために、ディレクターは常に試行錯誤を繰り返します。
全員が魂を削ってディレクターを信じている中で、納得ができないものが完成したら、関わるクリエイターは落胆をして、作品から心が離れてしまいます。
「僕の魂を…必ず報わせてください!」
そんな心の声を、背負うのがディレクターの仕事です。
簡単な仕事ではないけど、やりがいのある仕事です。
フーモアのディレクターの採用で、僕が一番大事にしている事は下記の2点です。
(1)クリエイターに敬意をはらえる人
(2)webtoonが好きであること
本記事は、1年以上webtoonスタジオを運営する中で、上記の2点を大事にするようになった理由と、webtoonのディレクターとして抑えておきたいディレクションのポイントを、説教臭く綴りたいと思います。
前置が長くなってごめんなさい。
そして、偉そうに綴っていますが私自身が出来てないことが沢山あります。
1.クリエイターに敬意をはらえる人
1-1.フーモアの戦略的な観点から
フーモアのwebtoon制作の一番の特徴は「オリジナル作品」を作らないことです。
良い原作を提供してもらって、「最高のクオリティで作品を届けること」にこだわります。
良い原作の定義には色々と変数があるので、それは別途のタイミングで話をしたいと思います。
事業部として「良い原作」を預かって制作をすることの意志決定をしているため、ディレクターが作りたいモノを作るといったマインドは、どちらかというとノイズになる可能性があります。
担当になった作品を好きなる才能は、必要だなーと感じています。
この原作が、なぜ人気があるのかを分析して、その人気の理由をwebtoonの読者層に合わせて脚本を考える必要があります。
担当する作品に敬意を持ち、作品を信じ、その作品の魅力を引き出すために動けるディレクターがフーモアに合っているなと思います。
これは、フーモアが戦略的に原作を作らない立場にいるため、自分の考えた最高の構想を形にしたいといった想いが強い方は、別のスタジオの扉を叩いたほうが皆幸せになります。
1-2.それぞれの工程を担当するクリエイターの仕事を理解する姿勢
webtoonの制作上で、複数のステップで工程が別れているので、指示を出すディレクターと作業をするクリエイターで立場がわかれます。
ディレクターもクリエイターもwebtoonを作る上で、全員が必要で1人が欠けても作品は完成しません。
発注側と受託側といった立場を勘違いして、作家に対して不遜な態度をしてしまう人はこの仕事に向かないです。
クリエイターの仕事を理解しようとせずに、無理なスケジュールを悪意なく提示してしまうなど、全体を見るディレクターという立場の人間がやってしまうとトラブルになりますよね。
相手の仕事を理解して、学ぶ姿勢を持てることはディレクターとして大事な要素だと思っています。
クリエイターの仕事を理解していないと、クリエイターからの相談が正しいかどうかの判断も出来ないので、学ぶ姿勢はとっても大事です。
2.webtoonが好きである
それはそうだよねって要素なんですが、意外と応募いただく方でwebtoonのことを知らない人が多く…。
未経験でもOKですが、関わる商材知識は知っていて欲しいです。
2-1.成長速度の違いについて
自分関わるwebtoonという商材に愛情を持てない人は、webtoonのディレクターをやるべきではないと思っているのですが、そもそも「webtoonって何?」というところから、仕事を教える事はできません。
良い作品に触れて、良い演出を学ぶことを仕事としてではなく、自分の生活の中で自然に出来ることを望んでいます。
そういう自分は、事業部の立ち上げのタイミングで初めてwebtoonに触れました。
ピッコマとLINE漫画を中心にして、めちゃくちゃ多くの作品に触れ、今でも毎日webtoonを読んでいるのですが、「もともとwebtoonが好き」という人と比べて全然読めていません。
売れ筋の作品を知らないと困るから読む私と、元々好きで読んでいる人を比べると明らかに後者の人の方が、優秀なディレクターの素養があると思っています。
そういう意味で、僕は適材ではない自覚はあります…つらい!
同じ年齢の社長と、僕たちの感性よりも若い子達の感性のほうが、ユーザに近いから本当はあんまりシャシャリでないほうが良いんだよね…って呑みながら話したことがあります。
20代をメインに支持を得ているwebtoonだからこそ、私の様なおじさんではなく、ど真ん中の世代の人に頑張ってもらいたいです。
是非、webtoonを日常的に読んでいる方、一緒に働きましょう!
2-2.ディレクターのクオリティチェックについて
フーモアの制作進行の特徴の1つとして、アートディレクターという役割の人間を配置して、作品の最終的なクオリティの担保を行ってます。
もちろん全てアートディレクターで確認をするのではなく、ディレクター側でチェックを行う部分もあります。
監修責任役割について
脚本:ディレクター
ネーム:ディレクター、(アートディレクター)
線画:アートディレクター、(ディレクター)
着色:アートディレクター、(ディレクター)
ネームについての監修責任はディレクターがメインになります。
そのため、ディレクターがネームの善し悪しを判断するスキルが求められます。
ネームの工程でクオリティが出せていないと、その後の進行でクオリティを出すことが難しくなります。ディレクターとしてネームの評価をするためには、普段からwebtoonを読んでいると判断がしやすいです。
もちろんフーモアとしても、教育をしていきますが、スタート時点の知識や成長度合いを考えると、webtoonが好きであることが条件に入ることを理解いただけるかなと思います。
線画、着色についてはディレクターでチェックをするのですが、アートディレクターにチェック相談をすると、「おぉ…、さらにこんなにクオリティ上がるのか…」と驚くことが多いです。
餅は餅屋だなと最近は良く感じます。
ディレクターとしては、アートディレクターにてクオリティを上げてくれたものを、次回からアートディレクターを挟まなくても同じクオリティが出せるように、着色作家さんと連携をしていくことで、全体の制作精度を高めていく必要があります。
3.ディレクションポイントについて
ここからは少し、具体的にディレクションを行う上で大事な考え方を、伝えていければと思います。
お前できてるのかよ?と突っ込まれそうですが、意識はいつもしています。
できてない部分もありますが、できるように努力しているので見逃してください。
3-1.当事者意識と責任役割
ディレクターとして、色々なトラブル解決を求められるシーンに遭遇します。
例えば、特定工程においてスケジュールが週間化できないであったり、作家さんが家庭の都合で動けなくなったり。
そもそも制作をするためのクリエイターが見つからなかったり。
フーモアでは、今30作品近い制作を行っているのですが、基本的に大なり小なり毎日トラブルが発生します。
トラブルが起きることを、特殊な自体だと思わずにトラブル解決に向かいましょう。
そんな中で、トラブルが発生した時に当事者意識が大事です。
そのために、大事なことは2つ
(1)トラブル察知の精度をあげる
例えば、制作進行について年末年始も稼働をすることを前提に、スケジュールを組んでいたとしましょう。
クリエイターから「帰省するので年末年始動けません」と、連絡が来たタイミングでトラブルの出来上がりです。
ディレクターからすれば、クリエイターから突然休みを取りたいと言われて、進行が止まるトラブルになったと思うかもしれません。自分のせいじゃない!って思うかもしれません。
10月のタイミングで、クリエイターに「年末年始について動けます?」って会話をしていれば、そのトラブルは事前に回避が可能でした。
また、制作進行のスケジュールをしっかり作って全員に共有をしていても、そのトラブルは回避できました。
大概のトラブルは、事前に察知と丁寧なコミュニケーションで、解決できることが多いです。
僕も、毎週納品してもらっているからと、つい作家さんにスケジュールを出し忘れてしまって「いつもスケジュール告知してもらっていたけど無かったので進行漏れてました」と、言われてしまったことがあります。
みんな通る道です。
大事なのは、全てのトラブルの理由を相手に向けるのではなく、自分事として捉えてレベルアップしていきましょう!自分の担当作品で起きた作品に、「自分のせいじゃない」ってことは1個もないって気持ちが大事。
(2)上司に頼る
トラブルが起きた時に「上司に頼る」というカードを持ちましょう。
早期の解決が大事なので、トラブルになりそうと思ったタイミングで相談ができると嬉しいです。
webtoonの制作進行上でよくあるトラブルの1つに、線画や着色が週間ペースに乗らないという事象があります。
作家さんに無理をさせて、働いて貰うのは基本的には最終手段です。
連載が始まって、無理した体制のまま進めてしまうと、最終的には作家さんがリタイアして連載をつづけることが出来なくなります。
進行遅延の解決方法は「アシスタントの採用」が、一番近道なことが多いです。ただ、全てのディレクターが通常の制作よりもコストが上がってしまうことに、独断でGOを出すことは出来ません。
トラブルの解決に上司判断が必要なケースが非常に多いので、問題が発生したらすぐに上司に相談をする癖をつけましょう。
フーモアの事業責任者は顔は怖いけど、優しい人間なのでどうぞよろしくお願いいたします。
3-2.全体を捉えたディレクション
週間連載でwebtoonを作るために安定進行を行うために、どれだけキレイに制作体制を作れるかどうかは非常に大事なポイントです。
例えば、事業部の立ち上げ当初、制作進行上の「線画工程」について、人物線画と背景線画を同時に進行をして、それぞれのデータを受け取ったあとにデータを結合するといった、制作進行方法をとっていました。
同時に進行を行うことで、スケジュールを短縮できる!
といった浅はかな考えから、この進行方法を選んでいました。
実際制作進行を重ねて行く中が、ネームをベースに「人物」「線画」を作画したときに、人物と背景にパースのズレが発生し、クオリティを下げてしまったり、データを結合するために、専用のアシスタントが必要でコストがかかっていました。
場合によってはディレクターがその作業を自分で、夜なべをして対応をしていたり、今考えれば恐ろしい進行方法でした。
今は「人物線画」→「背景線画」(逆の場合もあり)の進行をすることで、結合作業やパースずれが発生しない制作体制が基本になっています。
長期的に制作を行うにあたって、「今、こういう進行方法だから」と考えるのを止めるのではなく、こうしたらもっとスムーズになる!といったことを、常に考えられるディレクターは強いです!
3-3.プロとしてのディレクション
webtoonの編集者という職業は、今までほとんど国内に存在していませんでした。
そういう意味で、webtoonの編集者は市場にいないと思っています。
みんなスタートラインは同じ、せいぜい2年くらいしか経験値に違いはありません。
フーモアでは、上記の理由から未経験の採用を推進しています。
経験よりも「クリエイターに敬意をはらえる人」、「webtoonが好きであること」といった素養の方を大事にしています。
参考までにフーモアのディレクターの職歴を公開します。
井本:システムエンジニア、漫画広告制作進行
ねーさん:新卒 イラストディレクター
たーさん:広告制作進行、教員
つーさん:漫画家
いーさん:アニメディレクター
すーさん:コワーキングスペース運営 WEBTOON韓日翻訳
りーさん:新卒 日韓翻訳アルバイト
経験者がいないために、「新人なので」といった予防線をはりがちなのですが、実際の制作において、その予防線はなんの意味もありません。
新人でも経験者でも、制作進行を疎かにすると、作品は感性しません。
そして、クリエイターが魂を込めて作品を作っているのに、「新人なので」と言われるとクリエイターは不安にしかなりません。
私が本気で作ってるんだから、新人が担当してんじゃないよ!というのが、クリエイターの本心だと思います。
言わないけど。
1日でも早く、プロとして仕事をしていることを自覚して、多くのことを学ぶ必要があります。
そんな中で僕が大事にしているは、フィードバックを出すときは「感想」にしない。
ということを意識していて、社内のメンバーにも「感想」はいらないってよく指導をしています。
「このカットですが、もっと煽り構図の方が格好良いかもしれません」
「このカット着色について、寂しい感じがするのですがいかがでしょうか?」
パッと見た時に、普通の会話に聞こえますが、僕はプロとしてフィードバックを出すということは、
「会話が続き構図に変化がないため、このカットについて煽り構図に調整してください」
「主人公の背面が単色なのですが、寂しく感じるのエフェクトの追加をお願いします」
といった指示が正しいと思っています。
それぞれの工程のクリエイターがプライドを持って提出をしてきた作品に対して、修正指示に自信がないのであれば修正依頼をする必要はないと思っています。
自分の作品として、クオリティを上げるという目的の中でフィードバックを出すので、相手に判断を委ねてるような曖昧な言葉は避けましょう。
3-4.ストレスのないディレクション
本当に些細なことですが、相手に動いてもらうために相手がストレスなく、制作ができるためのディレクションを作りましょう。
例えば、ネームはgoogle driveに格納をしていたとしましょう。
格納場所は事前に伝えていたとしても、
と依頼するディレクターよりも
といった、作家さんが自分の作業をするときに、すぐに作業に移れることを心がけましょう。
例えば、久しぶりに出てくるキャラクターがいたら、キャラクター表のリンクをつけるなど。
データを提出したときに、クリップスタジオデータだけでなくて、ちゃんと画像データかpdfをつけてあげるといった心づかいも大事です。
クリップスタジオで原稿の流れを確認するのは大変ですもんね…。
フーモアでは専用のアップローダを利用して、
画像を並べて確認することができるので、上記の形だと最強だとおもっています。
サンプルにTOONGATEという企画のネームを展開しています。
めちゃくちゃ面白い番組なので、是非みなさんにも見て欲しい!
webtoonの制作工程が覗けます。
番組HP
https://www.toongate.com/
番組YOUTUBE
作家さんの次のアクションを考えて、
動くことを意識していきましょう。
4.まとめ
ディレクターの仕事を紹介しました。
だいぶ説教くさい記事になってしまいましたが、少しでもディレクターってどういう仕事なのか?が、伝わると嬉しいです。
最後になりますが、ディレクターはメチャクチャ楽しい仕事です。
制作チームと一緒に本気で最高の作品を作っていくことは、どんな仕事よりもやりがいがあると思っています。
自分の関わっている作品を下記に宣伝です。
是非是非、魂を削って作り上げた最高の作品たちを覗いてみてください。
HykeComicで連載中です!
ダウンロードリンクはこちらから。
▼DLリンク
AppleStore
https://x.gd/9sZ7a
GooglePlay
https://x.gd/CoMEK
自分が初期ディレクションをしていた作品を、贔屓させてもらい紹介させてください。
ハイクコミックで「魔王」で検索してください!まず、10話までよんで感想ください。「#魔王アプリ」で呟いてください。
作品名:魔王アプリでs級ハンターになれました
最後に弊社採用募集です!
これから一緒に世界を狙っていきたいクリエイターさん、正社員でも外部パートナーとしても募集しておりますので、是非ご応募お待ちしております!
■募集職種
◎制作アシスタント
各工程における制作アシスタント業務になります。
・ネーム(絵コンテ)担当
・背景線画担当
・着彩担当
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◎アートディレクター(作画監修)
webtoonのクオリティ管理と作画監修業務になります。
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