ソフトシンセキーボーディストの道 vol.1


はじめに

自分はアニソン・ゲーソンのコピバンでシンセサイザー(キーボード)のパートを担当してます。この楽器は、横幅1m〜1.5m、重量5kg〜25kgぐらいで様々あり、場合によっては複数持ち歩きなどもあり、他楽器に比べると運搬が非常に大変な楽器と言われてます。

https://www.ikebe-digital.com/?p=15483 から引用

しかし、時代は進み、シンセサイザーの「音を出す部分」はパソコンとソフトウェアシンセで十分まかなえるようになってきました。これにより、「鍵盤という入力装置はスタジオで借りて」「鍵盤とパソコンを繋いで音はパソコンから出す」という合わせ技で、スタジオにはパソコンだけ持っていけばシンセサイザーを持ち歩きしなくてよいというプレイスタイルができるようになりました。

ライブハウスやセッションで他のキーボーディストを見ますと、基本はシンセサイザー持ち込み型、あるいはスタジオでシンセサイザーや電子ピアノとして借りるというプレイスタイルが依然と主流です。

一方、自分は2013年頃からパソコン型のプレイスタイルを始めており、よく他のプレイヤーから運搬の負担から話題に花開き、どうやってやるのか、何が大変なのかを質問をよくもらいます。そこで、今回は改めて自分なりにどういう機材・プレイスタイルでやっていて、このプレイスタイルの良いところ、大変なところを改めて解説できればと思います。

今回はまずこのプレイスタイルを始めるにあたって、最低限、必要な機材を紹介してみます。

機材のイメージ(ミニマムセット)

機材のイメージ(ミニマムセット)

実際には上のような持ち込み、配線でセッティングします。
つまる所、必要なものは以下です。

  • Macbook

  • オーディオインターフェイス

  • USBケーブル

  • MIDIケーブル

  • フォンケーブル

それぞれの選定軸について書きます。

Macbook

Windowsユーザーの方にとって、いきなりハードル高いと思われたでしょう。ソフトシンセ使いになるには、Macbookは個人的にマストだと思います。

最大の理由はMainStageというApple純正のホストアプリがあり、これでソフトシンセのプラグインを立ち上げて、組み換えながら演奏していくためです。これが超強力で、ソフトシンセ弾きのほぼ標準アプリとなっています、たぶん。WindowsでもCamelotという似たようなアプリがありますが、マイナーなため、入門者にはまずオススメできません。なんなら僕も使ったことないので解説できません。

あと、MacのほうがWindowsより安定してます。OS自体の安定性もさることながら、Windowsのように毎月のアップデートが半ば強制的に降ってくるみたいな世界線から開放されます(※Windows Updateの設定をちゃんとすれば回避はできるが、Windowsは設定や動作が複雑怪奇…)。

「Macbookのどのお値段のものを買えばいいの?」という質問は非常に悩ましいですね。Macbookの最近のCPUのM1~M3チップは早いと聞くので、最初はMacbook Airの最安モデルでも何とかなるかもしれません。メモリもMacbookの8GBはWindowsの16GBに匹敵するみたいな話もあり、意外と困らない気もします。ディスクも標準的な音源だけなら256GBでもいけそうです。

一方、たくさんのサンプリング音源を使いたい、なんなら打ち込みもしたい、などとニーズが増えてくると、やっぱりスペックをあげたほうが良いでしょう。ちなみに私はもうソフトシンセと一蓮托生と決めたので、本来シンセにかけるべき予算をすべてMacbookによせて、MAXチップ(最強のチップ)、64GB(最強のメモリ)、4TB SSD(ほぼ最高容量のディスク)など全突っ込みしてしまいました。よって安いMacbookの世界線がわかりません。

時代時代でパソコンのスピード感が異なるので、読んでいただいた時点のSNSを参考にすると良さそうです。 XなどのSNSで"Macbook MainStage"と検索して雰囲気を掴むと良いかもしれません。Macbook Airでも使えてる報告は見れました。

あとはギターやキーボードを新しく買うときと一緒で、どこまで本気で投資するかの世界になってしまいそうですね。とりあえず最安モデルでも、基本的なソフトシンセの世界には入れると思います。

オーディオインターフェイス

この装置は2つの役割を担います。

  • スタジオでレンタルされてるキーボードのMIDI OUTという端子を通して、どの音程でどのぐらいの強さで弾いたかという信号を拾って、パソコンに入力する

  • パソコン上のソフトシンセからオーディオの出力を出して、ミキサーにつなげる

どのぐらいの予算をかけて買うかですが、こちらもピンキリで非常に悩ましいです。

サウンドハウスで https://www.soundhouse.co.jp/category/middle/30  オーディオインターフェイスのカテゴリから調べてみると、メーカーも製品も星の数ほどたくさんあります。

高いオーディオインターフェイスになると一般的に以下のメリットがあります。

  • 音が良い

  • 動作が安定する

    • ノイズが乗らない、不自然な動作にならない

  • レイテンシが縮められる

    • ざっくりいうと鍵盤を叩いてから音が出るまでの時間。

    • 5msec~15msecぐらいの短い時間だが、これが弾き心地に影響

  • 出力端子や入力端子が多い

    • 同期やレコーディングなどの用途にも使える

今でこそ私はRME Fireface UCX IIという24万ぐらいのオーディオインターフェイス界の王者みたいなハードウェアを使っています。

しかし、ソフトシンセのやり始めの最初期は2万円ぐらいのZOOM TAC-2Rという製品を使ってたので、意外と安価なものでなんとでもなりそうな気がします。とにかくMIDI INという5ピンを刺すための端子があること、フォンケーブルをステレオで刺せることだけは忘れずにチェックしましょう。

USBケーブル

これはオーディオインターフェイスの製品に付属のものでOKです。

MIDIケーブル

サウンドハウスで適当に見繕いましょう。普通はキーボードの近くに配線するので1m近くあれば事足ります。MIDIケーブルは、演奏情報を送るためのものですが、オーディオ(音声)自体がケーブルにのっかるわけではないので、あまり品質を問われることはなく、粗悪品があるという話も聞いたことありません。ケーブルの形状をしてれば、適当に選んでもよかろうと思います。

https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/54848/ から抜粋

フォンケーブル

これは普通のシンセ用途と同じものでOKです。今回のトピックとはあまり関係ないですが、私はステレオで出します。モノラルだと音の広がりが弱いので。

私はPROVIDENCE K204というキーボード用のデュアルケーブルを使ってました。残念ながら販売終了してました。終了時価格は7050円ですが、当初は5000円ぐらいだった気がします。物価高は嫌ですね。ちなみに実際にソフトシンセのプラグインを買う段階までいくと、外国産のソフトを買う都合上、日本経済や円安というものの今を目の当たりにします。


https://www.soundhouse.co.jp/products/detail/item/63121/ から抜粋

続く

いったん第1章は終了です。
第1章はだいぶあやふやな表現が多かったですね。これは僕が一番知らないエントリーモデルの選び方をかかざるを得なかったからです…。マニアックなパートになれば、もうちょっと具体的にかけると思います。

こんな感じで頑張って書きますので応援よろしくお願いします…

まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、「こんなことが聞きたい」があれば教えてください。

  • 基本のアプリケーション(Logic, MainStage)

  • 機材のイメージ(標準セット:フットスイッチ)

  • 機材のイメージ(全盛りセット:譜面台、ペダル、同期セット、特殊コントローラー)

  • 鍵盤本体を持ち込むことはある?

  • おすすめのソフトシンセのプラグインは?

  • シンセサイザーの基礎知識は必要?

  • 本番で落ちることある?

  • スプリット・レイヤー・パッチチェンジのやり方

  • このセッティングが向いてるバンド、向いてないバンド

  • 機材を持ち運ぶリュックや重さは?

  • 耳コピの仕方

  • 配線の苦労

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