読書感想 ハンチバック-市川沙央

滅多に見る機会のないテレビでふと、何かすごそうな授賞式の様子が映されていた。どうやら文学賞のようで、インタビューに答える女性作家に私はとても引き込まれた。(残念ながら内容までは覚えていないけれど)そして一昨日、校内の図書館でハンチバックと書かれた表紙に出会った。

ページを捲るたびに風が吹き抜けるようにすらすらとストーリーは進む。爽快さを読書で、感じる。 
主人公の彼女の真の原動力のエネルギーは、健常者らの一般論が基礎となる社会への嫌悪や憤り 紙の本の方がいいということのできる、環境と能力(個々が所有するちから)の差だと思った。
私の場合、彼女と同じように、長い間、都心から離れた田舎という不便な環境の差を感じている。
しかしインターネットや一般論は全く別の世界のことで遠いものなんじゃないかと
ああ都会の話でしょ、どうせ東京のことでしょ と無意識に一種の諦観のように言い聞かせてきたようで、幼少期から対峙してきた病の自身との差で感情が生まれている彼女に驚いた。

市川さんは実体験を書いて、当事者目線の社会問題の提起をしたいわけではなくて、彼女の目に映る世界を崇高な文筆才能でこの物語で表現したんだと感じる。

あとこの本を読んで、工口と差別のことばはAIには生成されたくないモノだなあ、と思った。

これから受賞を受けて行われたであろうインタビュー記事を読みあさって、感想を深めようと思う(これがビックネームな文学賞を取った作品の利点だと思う)

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