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新生児黄疸について

前回の記事で新生児黄疸を治す光線療法について書きました!(リンクから飛べます)
今回は、新生児黄疸についてまとめてみました!

なぜ新生児は黄疸になるのか?

赤ちゃんはお母さんのお腹の中では胎盤を通して酸素を取り込んでいます。
胎児ヘモグロビンを多く持っているので(酸素解離曲線も左方移動している)、お母さんから酸素をもらいやすい状態ですが、供給される酸素濃度は65~70%程度、PaO2は20mmHg程度の非常に低酸素の状態です。
そのため、組織に酸素を供給するために、ヘモグロビンを増やして酸素の運搬能をあげています。(数打ちゃ当たる的な?)

胎児循環

しかし出生後では、肺呼吸に切り替わるので血中酸素飽和度が上昇します。すると、赤血球は不要になり、脾臓や肝臓などで破壊されます。
その時に生じるヘムを処理する際にビリルビンが発生します。

通常、このビリルビンはたんぱく質であるアルブミンとくっついた状態で肝臓に運ばれます。(間接ビリルビン:非抱合型ビリルビン)肝臓に運ばれた間接ビリルビンからアルブミンが取り除かれ、グルクロン酸抱合と呼ばれる処理が行われます。
グルクロン酸と抱合したビリルビンは水溶性の直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)へと変換され、胆汁へ排泄されて十二指腸に移行します。腸管に入った直接ビリルビンの一部は腸内細菌によって脱抱合、還元されてウロビリノーゲンに分解されます。その後、便で排泄され、腸管内で再吸収されたウロビリノーゲンの一部は腎臓でウロビリンとなって尿に排泄されます。(尿が黄色い、便が黄色くなるのはこのせい)

腸内細菌叢が形成途中の赤ちゃんでは、直接ビリルビンは腸管内および母乳中のβ-グルクロニダーゼにより脱抱合され、腸管から再吸収されます。(腸肝循環)ビリルビンは腸内で酸化すると緑色に変化するため、便が緑色になります。(便色の変化は血中ビリルビン変化をお知らせしてくれています)

 処理できなくなった間接ビリルビンが皮膚や粘膜、白目の部分が黄色くなり、黄疸を起こすといった形になっています。(光線療法は間接ビリルビンを水溶性に変える!リンク参照)

(新生児黄疸のまとめ)
①新生児ら生理的に多血
②胎児ヘモグロビンの寿命は90日(成人では120日)
③腸肝循環が盛んである
④肝臓におけるグルクロン酸抱合酵素の活性が低い
⑤母体からの多量のエストロゲンが、肝臓のグルクロン酸抱合能およびビリルビン分泌能を低下させている
⑥肝臓における骨髄外造血が残っており、肝機能を低下させる
⑦ビリルビンを肝細胞に取り込むYタンパクが少ない
⑧静脈管が開存し、肝臓をバイパスした血行が続くことがある
⑨出生時に好発する低血糖や低酸素症が肝機能に悪影響を与える


新生児黄疸による合併症

赤ちゃんでは血液脳関門(神経細胞のバリア機能)ができあがっていません。そのため、神経毒性を持つ血中ビリルビン値が高値になると脳まで届いてしまい、脳神経細胞に沈着して脳性麻痺聴覚障害を起こしてしまいます。
これを予防するのが光線療法となります。


今回は、新生児黄疸についてまとめました。
是非、リンクから光線療法についても読んでみてください!

(参考)
新生児・小児ME機器サポートブック:松井晃(メディカ出版)

※僕の教科書です。是非、読んでみてください☺️👏

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