見出し画像

やってよかった『勇者死す。again』

『勇者死す。again』は、2020年2月26日にパソコン、プレステ4、ニンテンドースイッチで発売された、"終わりから始まるRPG"です。

原案、ゲームデザイン、シナリオは、人気ゲームデザイナーの桝田省治さんが担当しています。

ゲームの流れとしては、

・主人公の勇者が、魔王との最終決戦で相討ちになり、命を落とす。

・天使が現れ、5日間だけ行動する猶予を与えられ、生き返る。

・街やダンジョンではリアルタイムに時間が経過する(ステータス画面、会話などは例外)。

・ワールドマップでは拠点間の移動に一定の時間がかかる(魔法やアイテムでのショートカットは可能)。

・一定の時間が経過するごとに主人公は弱体化。その時に疲労していると、振り幅がさらに大きくなる(疲労は宿などで回復可。もちろん時間がかかる)。

・勝利条件ははっきりと明示されないが、ヒロインたちの提示するクエストをこなすのが目標となる。

・5日間経過すると主人公が死に、行動の結果として葬式が行われ、国の興亡がテキストで示され、一回のプレイが終了する。

・葬式は記録され、2周目のプレイが可能となる。以後繰り返し。

・一回のプレイ時間は約5時間。ゲーム内の1日につき1時間が大体の目安。

と、いう感じです。

このゲームは、普通のRPGとは真逆のゲーム性がウリです。

レベル上げどころかプレイが進むほど主人公は弱くなるし、クエストなんかこなさなくても、時間が来ればゲームが終わってしまう。

感覚的には、タイムアタックに近いですね。

誰でも時間さえかければ、ストーリーを進められ、素敵なエンディングが見られるゲームではないです。

しかしその分、クリアしたクエストは葬式に反映され、「あのクエスト、やってよかった」という満足感があります。

さらに、2周目、3周目……と続けると、プレイの無駄が見つかり、さらに効率よく、より多くのクエストをこなせ、より葬式で褒めてもらえる、という、攻略のしがいのあるゲームでもあります。

逆に、最初から最後まで釣りをして終わったりすると、死んだ後に後悔したりして……。

そういう意味では、自由度は低いです。

また、時間経過とともにどんどん無理が利かなくなったり、残された時間で何を解決するか選ぶ、というこのゲームのプレイ体験。

これは、現実世界での人生の、後半戦の擬似体験が出来る、という趣向になっています。

若い人なら、普段なかなか出来ないような体験でしょうし、ある程度年齢を経た人なら、実感をともなってゲームに感情移入出来るのではないでしょうか。

個人的には、プレイを終えると、なんだか不思議な、「未来を肯定されたような充足感」を感じました。

そして思ったのです。

あぁ、やってよかった、と。

よろしければサポートお願いします! いただいたサポートはクリエイターとしての活動費に使わせていただきます!