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大江健三郎さん「静かな生活」を読み始める。

この4月から昨年亡くなったノーベル賞作家大江健三郎さんの作品を読む機会が増えました。先週「静かな生活」を読み始めました。

短編集の最初、第一話の「静かな生活」になります。なぜか出張移動が長い時は、大江さんの作品を携行することが多いです。「新しい人よ眼ざめよ」が父親が語り部であるのに対し、この「静かな生活」は、女子大生である妹の視点で描かれています。

文体の明らかな違いが感じられます。父親が語り手の「新しい人よ眼ざめよ」は、哲学的、考察的な表現が多いですが、若い妹が語り手であるストレートな表現が多い。読みやすいです。

「推し、燃ゆ」の宇佐美りんさんも「あとがき」の中で書いていますが、こういう文体の使い分けを作家さんは意図的に行っているのですね。そこが興味深いです。

ストーリー的には、父と母が渡米し、残された障がいを抱えた兄と妹、弟の三人が登場しますが、なんとなく子供たちの「性」的な成長、側面に力点が置かれている作品なのかなと感じました。「静かな生活」というタイトルも意識して、この連作短編集を読み進めていきたいと思います。

本日も私のブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。




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