見出し画像

ラストが迫る「しろがねの葉」

千早茜さん「しろがねの葉」の後半(かなりラストに近い)を読んでます。石見銀山という西日本で、戦国時代を舞台にした作品を書かれた千早茜さんが北海道のご出身だということに不思議な縁みたいなものを感じます。北海道もまた明治時代以降、たくさんの産炭地を抱えたエリアだからです。鉱山で働く男性が短命ゆえに、「女性が一生のうち、三人夫を持つ」という史実も強烈ではありますが、かつて鉱物資源が採掘されてきた歴史を持つ北海道でもそれに近い出来事があったのではなかろうか?そんなことを思いました。最近読んだ同じ直木賞受賞作品で河﨑秋子さんの「ともぐい」の周辺世界を想起して、物理的には離れたエリアの物語であるにもかかわらず、心情的に身近なものを感じました。ほんの少し前まで、このような世界が身近にあったであろうことに気付かされます。戦乱の乱世から江戸の治世へと時代が移り、さらに封建時代から明治、大正、昭和になって、お殿様から企業の時代になっても「人々の営み」はさほど変わらなかったのではないだろうかと、そんなことを思うのです。

この作品のストーリーについてはあえて書きませんが、最後まで読み終えた後は、歴史資料館や開拓記念館で産炭地の資料や坑道跡を見るイメージが180度変わる予感がしています。作品中、暗い坑道を母親の胎内に例えた表現が出てきたのも印象的でした。

ふりかえって、今この時代を生きる自分は、少し長く生きすぎているのかもしれない、そんなことを思いながら今日一日を懸命に大切に生きたいと思いました。今回もまた、つい小説作品をビジネス書的に、自己啓発書的感覚で、読んでしまっています(笑)

本日も私のブログにお付き合いいただき、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?