全教科オンライン授業が…実現!

オンライン授業実現の難しさを記録した前回の記事から、気が付けば5ヶ月が経過していた。

その後、先生方のご尽力や状況の変化、時間や実績の集積により、変化が起きているので、書き記しておきたい。

結論から言うと、私達が住む市の自治体では、希望者へのオンライン授業の配信が可能になった。(※緊急事態宣言中のみの可能性あり)
全保護者への通達も、配布物などで行うと聞いている(が、登校していないのでまだ確認は出来ていない)。
「希望者へのオンライン授業配信」とはつまり、実質的に登校選択制度が形になり始めたようなものではないだろうか。
現在の急激且つ収束する要素の見えない感染爆発の最中にあって、この変化にはホッと胸を撫で下ろした。
(とんでもなく遅い変化だったけれど。)

状況が許すご家庭のより多くのオンライン授業への移行を願っている。その理由はまた書くとして。
また、より多くのご家庭が「状況が許す」状態になるよう、いい加減、政府が有効な施策を行うよう、心から願っている。


さて、時が経ち小6となった息子が、全教科のオンライン授業を受けられるようになったいきさつを。

前回の記事の後、私は学校に対して大した期待もせずに、息子は民間のタブレット学習を使って学びながら自主休校を続け、学校ともさして連絡も取り合わず平穏な日々を過ごしていた。
欠席扱いになろうがどうしようが、さして気にも留めていなかった。学び方はいろいろある。でも息子の命と健康はひとつだけ。

自主休校を続けた理由は、感染状況は比較的落ち着いていたものの、2020年春からの体調不良の延長線上に息子の頻脈があったからだ。
通常の人の心拍数が60〜80bpmであるのに対し、息子の心拍数は120〜140bpmで推移しており、自覚症状こそないものの、常に全力疾走をしているような、心臓発作を起こしても不思議ではないような数値だった。
血液内科や大きな病院の小児循環器科など、手当たり次第にマニアックな検査も実施して頂いたが、全て結果に異常がなく、原因不明の頻脈という診断だった。
この状態で新型コロナウイルスに感染してしまったら、どうなるのか…。そう考えると感染リスクを可能な限り最小化する選択に至り、自主休校を継続することにした。

そんなこんなで、登校を促されたりせず放っておいてくれる状況は逆にありがたく、のんびりと過ごしていた。
だが進級後の5月頃、学校から「オンライン授業の件でお話したいことがあります」と連絡を頂き、私は学校に赴いた。

正直、「難しいです。そろそろ登校を。」と言われるのかな〜と思いながらお伺いした。
校長室に通され、しばらく待っていると、担任の先生と校長先生のお二人が入室され、説明を始めて下さった。
「まずは2教科だけですが、オンライン授業を配信する準備ができました。こちらのタブレットをお持ち帰り下さい。初めはお互いにいろいろと上手く行かない点もあると思いますが、調整しながら進めていきましょう。兎にも角にも、スタートすることが大事だと思っているので、登校選択制という形でもないし、全教科ではないのが大変申し訳無いのですが、宜しいでしょうか?」

…!!!!!

驚いた。

すっかり放置されているものとばかり思っていたのだが、先生方は着々と準備を進めて下さっていたのだ。驚きと感激で固まりながら「はい!大丈夫です!ありがとうございます!」と半泣きで返事を繰り返していた。息子は、学校に属していたのだ。忘れ去られたりしていなかったのだ。繋がっていたのだ。気にしないようにしていたものの、やはり嬉しかった。

技術的な面を整備し、肖像権についても、いろいろな自治体のケースを調べたりして対応してくださったようだった。「諸事情で通えない生徒にオンライン授業を配信します、という内容でお手紙を配布しますがよろしいですか?」という確認も取ってくださった。もちろん大丈夫です、でももし他の保護者の方からご不安なお声があれば中止も受け入れますので、配布をよろしくお願いしますと答えた。

オンライン授業を配信する理由の一つとして、先生方の中にも、今後、感染拡大や災害などで休校となった場合のモデルケース・演習にもなると考えて下さっているようで、感染状況の落ち着きに甘んじる事なく危機感を持ってくださっている事に安心し、感謝した。
(当時まだデルタ株は確認されていない頃だったにもかかわらず!)

そうして始まったオンライン授業だが、拍子抜けするほどうまく行っている。
はじめの数回こそ、上手く繋がらなかったり音声の不具合等があったが、連絡を取り合って解消し、息子も冷静に対処してしっかりと授業を受けられている。
息子曰く「普段の教室で受ける授業と全然変わらないよ」とのこと。
先生の説明を聞き、黒板を見て、ノートを取る。
テストだけは溜まった頃に別室登校して受けているが、点数も問題なく取れている。
息子の真面目な気質も性に合ったのか、数ヶ月たち、私達にとってはすっかり慣れた「学び」となった。

懇談会で学校にお伺いした時も、「息子さんは非常に集中してオンライン授業に取り組んでくれています。テストの点も問題がないことから、オンライン授業であっても、しっかりと学習内容を理解してくれていることが分かります。」とお褒めの言葉を頂いた。
更に、「息子さんのケースが上手く行ったので、他学年等でも何人かオンライン授業を始めることが出来ているんですよ。お母さんが声を上げて下さって、その後もご協力頂いているおかげです。」とまで言って頂いて、文字通り私は胸がいっぱいになった。先生方のおかげです…!とまたしても半泣きでお礼を繰り返した。

そうこうしているうちに1学期が終わり、夏休みになった。
そして8月下旬の始業式前日に、「全教科オンライン授業配信が出来るよう手配が完了しました。とりあえず短縮授業の間は給食費も止められますので、止めておきますね。」とご連絡を頂き、オンライン授業配信が全教科にまで拡充した。
夏休みの間にも、いろんな情報や通達に翻弄されながらも、先生方は危機感を持って準備を進めて下さったのだろう。
感謝してもしきれない。
我が校の生徒であれば、自主休校を選択しても、学びが止まることはない。
出来れば起きてほしくないが、クラスター発生による学級閉鎖や休校になった際も、学びを止めずに済む可能性が高い。


そして今、皆様が直面している全国的な感染爆発だ。しかも、2学期が始まる前からとてつもない感染者数。デルタ株の感染力の凄まじさに戦慄を覚える。
空気感染だと判明しているこの状況で、教室に30人前後が集まり活動を共にする危険性が指摘され、全国で休校や登校選択制やオンライン授業配信を求める声が大きくなっている。
危機感を抱き、学校や自治体にオンライン授業配信を求めても応じてもらえず苦悩している保護者の方も多いのではないかと推察する。

私はまず市長に要望のメールをした。そして市長から教育委員会に対応するよう指示が行き、教育委員会からの電話でオンライン授業は出来ないと断られた。納得がいかず、市民のために細やかに動いてくださっている市議会議員さんに連絡をし、お力添えをお願いした。同時に学校に対しても要望を出し、何度も話し合いを重ねた。市議会議員さんも実際に動いて下さった。
それでもなかなか理解や状況は変わらず、前回の記事のような状況だった。
今回、オンライン授業が実現したのは、要望や話し合いの集積と同時に、覚悟を決めて下さった校長先生と、オンライン授業配信に強い可能性を感じて前向きに取り組んでくださっている新担任の先生のお力が大きいように感じる。
自治体や学校によってそういったバラつきが出ることは本来望ましくないのかもしれない。しかし、今の日本の登校至上主義とも言える教育現場に於いては、どこか小さなところからでも、穴を開けていくことが突破口になっていくと言わざるを得ないし、そういった状況がもどかしい。

今、苦悩を抱える保護者の皆様にとって少しでも励みになれば大変嬉しく感じる。今後、どのように考えればよいのか、どのように訴えかければ良いのか、私なりの考えもまとめていきたいと思っている。併せて、どうか保護者の皆様には、今この危機的な状況を作り出した要因が何なのかについて思いを巡らせてほしい。それはやはり行政・政治の体制に他ならないと、このコロナ禍で痛感した。どうか未来のために、小さなことからでも知識や情報を収集し、保有する投票権を大切にしてほしいと願う。

どうか、お子様の安全を、ご家庭の安全を諦めずに、悔いのない選択を続けてほしい。


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