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「俳句界」ZOOM句会報告 ⑥

6月2日に行われた雑誌「俳句界」ZOOM句会報告。

講師 仙田洋子先生
参加者 全11名
「当季雑詠」3句(初夏・三夏)事前投句、事前選句
【選句について】
特選2点1句・並選1点2句
席題「青嵐」「夏の海」。一句ずつでも、どちらかで二句でも。
   2句 事前投句、事前選句
【選句について】
特選2点1句・並選1点1句

六回目の句会。
以下、投句した五句についていただいた講評を自分の記録と、ご参考のために記します。

【雑詠三句・初夏・三夏】

薫風や都井の岬の乳飲み馬

並選(1点)をふたつ、計2点いただく。
*都井岬を調べてみたら野生の馬がいることがわかり、その馬と草原の景が浮かんだ。
*仙田先生より、良い句。
*「乳飲み馬」が季重なりではないのか?の質問に対し、実際に季語でなないにしろ、乳飲み馬は、季語「春駒」「馬の仔」を彷彿させる。
表現は違うけれど実質的には春を思わせるため、薫風をはずして、馬の仔として詠んだ方がよいかもしれない。
(それがあって仙田先生は、お取りにならなかったとのこと)


若楓しののめ色の葉先かな

特選(2点)ひとつ、並選(1点)ふたつ(うちひとつは仙田先生)、予選(0点)ひとつ、計4点をいただく。
*とても丁寧な観察をしている句。
*若楓の葉の縁の赤い色を、明け方の東雲色としたところがよい。
*これからの未来をも詠んでいるように思えた。
*仙田先生より、大変美しい句。「しののめ色」が素晴らしい。


箱根路のスイッチバック七変化

並選(1点)ひとついただく。
*スイッチバックがあることで、鉄道で箱根に行っていることがわかる。
あの路線はまさに紫陽花が美しく、それを詠んでいる。
*仙田先生より、「絵葉書句」。もっと驚きがあってもいい。


【席題・青嵐・夏の海】

夏の海赤きパドルの二梃かな

特選(2点)ひとつ、並選(1点)仙田先生よりひとつ、計3点いただく。
*夏の海がよく表現されている。
*仙田先生より、が効いている。


八丈のお鉢巡りや風青し

並選(1点)仙田先生よりいただく。

*八丈島のお鉢巡り、季語「風青し」によく合っている。よく出てきた。

     ・・・・・

今回は、五句全てを選んでいただけたというとても幸運な回となった。
特に、特選が二句、仙田先生にも並選を三句いただけたこと、非常に光栄である。

そして、今回は積極的発言が多く、非常に勉強になった。
以下、箇条書きで記す。

結社によっては「新樹光(しんじゅこう)」という季語を、季語として認めないところもある。どう考えるか。
(新樹で十分光をイメージできるから、敢えて、光、はいらないという説)

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今回も「新樹光」で詠まれている方もいて、悪いとは思わない。

結社によっては、外側と内側の句(例えば「青嵐」の季語を、キッチンからの光景で詠む)に対して、よく言われないところもあるがどうなのか。
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外と内のものを合わせると、言葉がスパークしないことが多々あるのは事実。

結社によっては「車窓」からの季語を認めないところもある。
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車窓を認めないと、窓からの景色も全て認められないことになるので、そこまではいかがなものかなと。

俳句にルビを振ることについてはどうなのか。(実際に振っている句はある)
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ルビを振らないといけないような、無理やりな言葉の使い方は、おすすめしない。
音数合わせのために、例えば「飛行機」を「飛機」と表現したりすることも、好まない。


春の海、夏の海、秋の海、冬の海、それぞれの違いをよく把握する。
波の高低、荒さ、見通しの良し悪し(空気の澄み具合)など。


仙田先生は、やはり、ひとつひとつの句をとてもじっくりと吟味なさる。

・内容として辻褄があっているか。
・単なる絵葉書句ではないか。
季語は適切か。
無理のない句か。
・必要のない言葉は入っていないか。(但し、必要か否かの判断は要経験)
・例えば「島」ひとつにしても、そこに島はあり得るか?実際の島なのか、人工島なのか。

最後のまとめのお言葉に、今後も質問や意見交換など「ブレインストーミング」な句会にしたい、と仰ったことに、仙田先生らしい発言だなあと個人的に笑みがこぼれた。

今回も非常に学び多き句会であった。


「俳句界6月号」 掲載作品三句

仙田洋子ZOOM句会 第三回
【佳作】
白神の母なる森や春の鳥   卯月紫乃

「俳句界6月号」P.153

仙田洋子ZOOM句会 第四回
【佳作】
ゆるりゆく琵琶湖疏水や桜東風   卯月紫乃

「俳句界6月号」P.154

雑詠 角川春樹先生 「河」主宰
【佳作】
ホイップの角ぴんと立ち春兆す   卯月紫乃

「俳句界6月号」P.191

    ・・・・・ end ・・・・・

タイトル画像:白神山地、十二湖「脇壺の池」

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