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七草にちかが抱く劣等感、そして葛藤【「♡まっクろはムウサぎ♡」W.I.N.G.感想ほか】

 2021年5月10日にアイドルユニットSHHis(シーズ)メンバー・七草にちかのP-SSRアイドル「♡まっクろはムウサぎ♡」が追加されました。コミュを読むと、プロデューサーに対する態度からにちかが抱えるコンプレックスが浮き彫りになります。本稿では制作陣と筆者のにちか像を明らかにし、「♡まっクろはムウサぎ♡」で浮き彫りとなったコンプレックスに触れます。

※注意書き:P-SSR「♡まっクろはムウサぎ♡」のネタバレを含みます。

制作P、演者(声優)が思い描く「にちか」像

 まず、本題に入る前に『シャニマス 』制作陣、そして演者のにちか像とはどのようなものなのか。像を明らかにすれば、にちかというキャラクターの違った側面を「♡まっクろはムウサぎ♡」のコミュで見られるかもしれない。そうした期待を抱きつつ、紐解いていきます。

 にちかについて言及されていたのが、5月16日にYouTubeとニコニコ動画で放送された「アイドルマスター シャイニーカラーズ生配信 SHHis初登場SP!(以下、生配信)」です。生配信にはシャニマス制作プロデューサーの高山祐介氏がメインMCを務め、SHHis (シーズ)・七草にちか役の紫月杏朱彩(しずき あずさ)さん、同・緋田美琴役の山根綺(やまね あや)さんが登場しました。

 生放送では高山氏と2人の声優(以下、制作関係者)がそれぞれのキャラクターの魅力を語るシーンが設けられていました。それぞれが話した内容は以下の通りです。

高山氏ナチュラルな部分が魅力的というか。W.I.N.G.編のシナリオでは、アイドルにすごく一生懸命っていうポイントが多く描かれていたんですけど、やっぱりそれだけじゃなくて。(中略)プロデューサーさんに生意気なところがあったりっていうのが、すごく可愛い、本当に等身大の高校生の女の子だと思います。
紫月さん「みんなの妹」っていうところにカッコが付いているのが、本当になんか「妹です!私が妹です!!」ってきている感じが凄いあって(笑)
なんかもう「あーそうしたら許しちゃおうっかなー」って思える部分とかいっぱいあるなーって思いました。
山根さん:「共感of共感な繊細さんの一面」。繊細さんなんじゃないかって。(中略) 人の気持ちをめちゃめちゃ考える部分がにちかちゃんにはあるなと思っていて、プロデューサーさんに「ツンツン」つ てやる反面、「人からどう思われるのか」っていうのをすごく考えていける女の子なんじゃないかなって。

 3人の制作関係者の意見をまとめると、にちかは「生意気だけど繊細で、妹感満載な等身大な高校生の女の子」になるでしょうか。

制作陣とユーザーとの間で乖離するにちか像

 さて、前項で制作者と声優(以下、制作陣)のにちか像は「生意気だけど繊細で、妹感満載な等身大な高校生の女の子」と結論付けました。それを踏まえ、1ユーザー(筆者)から見た「♡まっクろはムウサぎ♡」のにちかは少し違った印象です。

 「♡まっクろはムウサぎ♡」は① あたりますね、② もっとあたりますね、③ あた、④ やばいいきもの笑、⑤ 家という構成で、5つのコミュでは、283プロのヒナのコミュで展開された重めの話というより、にちかの“生意気さ”にフォーカスされていました。

 事務所の休憩スペースで練習しているにも関わらず、仕事中のプロデューサーに対して理不尽に怒ったり、わざわざ呼び出しておいて小馬鹿にするような態度を取ったりするなど、プロデューサー(ユーザー)の感情を逆撫でするような行為が多かったように思います。

① あたりますね
② もっとあたりますね
③ あた
④ やばいいきもの笑
⑤ 家


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 そうした行為からは妹感よりも(筆者は独身ですが)、“娘”のように感じてしまい、年頃で反抗期の娘を持つ父親のような気持ちでにちかのコミュを読んでいました。

現実とコンプレックスの狭間で にちかが抱える問題

 前項で「5つのコミュでにちかの“生意気さ”がフォーカスされている」と述べましたが、この“生意気さ”を発生させている原因は、コンプレックスが根底にあるものと思われます。 

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 ②③④のコミュでプロデューサーが別業務に追われていてにちかの相手をしっかりとできなかった結果、にちかがヘソを曲げてしまい、生意気な態度をとった姿が描写されています。

 ②③④のコミュにおけるプロデューサーの別業務とは、ほかの283プロダクションのアイドルに関係することだと思われますので、にちかはほかの283プロのアイドルと同列に扱ってもらえないことに対し、コンプレックスを抱いてしまったのではないかと想像できます。

 また、にちか自身も自分が夢見る“平凡な女の子”という自覚はあるものの、一人のアイドルとしてほかの283プロのメンバーと同じように接して欲しい……という願望のような葛藤も透けて見えたような気がします。

 “生意気さ”そして原因にフォーカスすると、ただのムカつくキャラクターだと勘違いしてしまいますが、思い出して欲しいのは山根さんが述べていたにちか像です。

「人からどう思われるのか」っていうのをすごく考えていける女の子なんじゃないかな

 山根さんの発言、そしてにちかのサポートコミュで美琴にメールを送る際、非常に悩んでいた姿からも分かるように、彼女は「人からどう思われるのか」に対して非常に敏感。はるか昔、筆者が高校生のころを思い返してみても、そうした性質は思春期の子どもにはあるような気がします。なるほど。「生意気だけど繊細で、妹感満載な等身大な高校生の女の子」という制作陣の見解はどうやら間違いなさそうです。

「あこがれのアイドル」以外に教えてくれた、活動を続けるための野望

 コンプレックス以外で注目したいのは、⑤のコミュでアイドル・八雲なみへの憧れ以外にアイドル活動を続ける理由を述べたことです。

いつか建てたいって思っているんですよね……
ビッグになって!

家族のための家

 そして家族を想い、見せた笑顔……どのような表情だったのかを知ることはできませんが、きっとW.I.N.G.コミュで見せたような苦しく辛そうな顔と一緒ではないはず。にちかの今後のアイドル活動において、プロデュースする我々ユーザーが「100%の笑顔だった」といえる姿は見られるのでしょうか。

「♡まっクろはムウサぎ♡」コミュはあくまで始まりにすぎない 今後の成長に期待大

 さて、これまでにちかはどのような人物なのか、または抱えるコンプレックスとは一体なんなのかを明らかにしました。キャラクターの性質上、マイナス面にフォーカスしましたが、コミュでの出来事はあくまで、これから続く“アイドル活動の序章”にすぎません。

 にちかは性格面を含めさまざまな部分で“アラ”が目立つキャラクターかもしれません。そもそも16歳の高校生の少女ですし、父親を早くに亡くしているという家庭環境を加味すれば、ほかのキャラクターと比べて未熟なのは仕方ない、と言わざるをえないでしょう。

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 しかし「ファン感謝祭」「G.R.A.D.(グラッド)」そして「Landing Point(ランディングポイント)」、これから追加されるさまざまなコミュを通じて成長するのは明白なわけです。そう考えると成長の余白が大きく、非常に魅力的なキャラクターといえるのではないでしょうか。

 生放送で高山氏、声優の2人が語ってくれた「生意気だけど繊細で、妹感満載な等身大な高校生の女の子」は、はたしてこれからどのような成長を遂げるのか。そして「うざい」「嫌い」などの意見が多く挙がるシャニマスユーザーの印象を変えられるのか。今後の物語や我々ユーザーの変化に期待し、本稿の結びとします。ここまでご覧いただいた方、長々とありがとうございました。

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