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Petrichor [小説]

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この匂い なんて言うんだっけ

駅に向かう近道
確かここも君が教えてくれたっけ
でもあの日はこの道を使わなかったな
今日は少し遠回りして帰ろうなんて言ってたら
雨が降り出して
濡れた服、気持ち悪かったわ
あの時は蒸し暑かったしね
でも少し 楽しかった
僕の中のあの日で止まった君と話してふと
虚無感に襲われるこの感覚
何回味わったらいいのだろうか
この先ずっとでしょうね
なんて笑ってるんだろうね

あーあ 思い出せないな
こうやって君との会話を少しずつ
なくしているのを感じる度
僕はこれから1人で生きていくのが
すごく怖くなってさ

この先は君が怒りそうだから言わないでおこう
君は怒ると怖いんだ
言わない代わりと言ってはなんだけど
君が好きだって言ってたこの匂い
なんて言うのかもう一度だけ教えてよ


海月みたいだ
Petrichor

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