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背筋を伸ばして会えるように

たくさんの人に慕われる貴方の
その優しさに
当たり前のように甘えてばかりだった
思い返すと
嫌になることの多かった現実の中で
貴方はただ清らかに
見返りを求めない愛を教えてくれた人だった

環境は変化し会わなくなって
電話に出れない事が増えて
確かに大切だったはずなのに
私は自分の事ばかりだった


いつも気にかけてくれていたあなたの優しさを
全然大切に出来てなかった事に 今更気付く

忙しい毎日の中で
思い出すことが少なくなっても
私の幸せを願ってくれていた事だけ
忘れずにいられたから
くさりそうになったり、諦めてしまいそうな時
無意識に貴方が
背筋を伸ばしてくれる存在だった

最後に電話をくれたあの夜
もっと聞いてあげれば良かったのにね
大丈夫だよ、なんて
私の言葉はどれだけ頼りないものだっただろう
それでも
あの大丈夫は、あの時の私の精一杯
心からのものだった


真夜中の公園ではしゃいだあの夏の花火
食べたいと駄々をこねて作って貰ったオムライス
背伸びして買ったサムライの香水
今でも聴くと胸がしめつけられる月灯りの下で

忘れたくないこと、もっとあった筈なのに
思い出したくない過去は残ってるのに
忘れたくない宝物だったはずの日々は
てのひらからこぼれ落ちていく



あの年流行った世界の中心は、貴方だった



どれだけありがとうを言っても足りない
あなたがしわくちゃのおじいさんになっても
会えばきっとまた焦がれてしまいそうな気さえする

今度は上手にありがとうを伝えられる様に
次会う時はもっと胸を張って今までを語れる様に
私の幸せを聞いてほしいし
あなたのその後の人生も聞きたい
私はいつもあなたのような人になりたかった
そう伝えたら
きっとあの頃みたいに
茶化して笑うんだろうね

その時まで
どうかその時が来るまで
今度は私に貴方の幸せを願わせて

出逢うべくして出逢う人がいるなら
私はあなたに出逢うべくして出逢えたのだと思う

そうじゃなきゃ
きっともっと真っ暗だった

例えこの先道が交わることはなくても
再会の時はもう少しだけ
あなたに誇れる私でありたい

それを支えに頑張れるから

それまでただ遠くから
あなたの幸せを願っています

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