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2024年『オデッサ』東京公演観劇感想-念願の三谷さん作品初生観劇!!


はじめに


 開放された機材席にて、三谷さんの3年半ぶりの新作、『オデッサ』観てきました!!!!!
 私にとっては念願の「三谷さんの作品をついに生で!!!客席で観ることができる!!!」記念すべき初の機会で、それはそれはわくわくどきどき胸は高鳴り、最高に期待して池袋のプレイハウスへ!
 徹底した伏線の回収、言葉あそび、大真面目に行動してる人物たちがすれ違っていく時の絶妙な面白さ、、、私の大好きな要素がこれでもか!!!と詰まった、それはそれは濃い1時間45分でした!
 とにかく今回はいつにも増してスピード最優先で書き殴るので、回想しつつ箇条書きです。

<この感想はネタバレを含みますので、気になる方はご観劇後にお読みください>

プログラム

 観劇前に読んでもネタバレしないように作ってあって流石。が、もう冒頭の三谷さんのパートから案の定面白すぎて、座席で肩を震わせて開演前から声を殺して笑ってた(笑)。
 御三方それぞれのインタビューも鼎談もとても読み応えあり、稽古場写真は柿澤さん(以降カッキーさん)の髭あり写真も髭なし写真も両方あり(笑)、本編では終始冴えない感じの衣装・ヘアメイクの迫田さんが実はすごい男前なのにほぉぉと後からプログラム二度見して見惚れたりし(今回初迫田さんだー、と思ってたのに、これまで私何度も映像で観てるんじゃん!!!と経歴読んでびっくりしたり/それだけお役によってガラッと変えられるタイプの役者さんなんだろうなと/あぁぁこの人かー!と迫田さん確認をやってみたい)、そのほかシェイクスピア対談や字幕の苦労話もたっぷり読めて満足♪

開演前

 三谷さんによる、鹿児島弁と英語でのアナウンスに他のお客さんと一緒に沸いた(笑)。誇張じゃなく本当に「どよどよ」とみんな受けてて(笑)、終わったら拍手まで起きてた(笑)。
 私もマスクの下でにやけまくりながら楽しく聴いてたうちの一人で、完全に頭の中には『ショウ・マスト・ゴー・オン』の配信で観た、舞台袖でマイクに向かう三谷さんの姿が(笑)。英語アナウンスは、多分わざとだと思うんだけど、本来"S"の音になる筈の発音が"SH"になってたり、"L"と"R”が逆になってたり(上演中、非常灯は消しますので〜のlightとかがrightだったり)、殊更にしかもそこをすんごい強調して話すのがまたおかしくて、あっちこっちで笑いが起きてた(笑)。
 舞台設定のナレーション中は、テキサスの解説中、ついつい頭の中に茶色の布がブワーっと縦方向に流れたり(笑)。
 機材席だし、字幕あるのに見切れとかあったらどうしよう、と一抹の不安はあったものの、流石プレイハウス、舞台はどこも見切れることなく(当日私より前方側に座ったらしたR列のお客さんが誰も前のめりにならないちゃんとした方ばかりだったお陰も大きい)、ストレスフリーで無事に楽しめた。

あらすじはシリアス、なのにほんとに笑って笑って笑いまくった!!!

 殺人の容疑を実質かけられている旅行客、聴き取りをする警部、間に通訳として立つ青年、の三名による会話劇という、事前の公演案内や作品紹介にあった通りの「シリアスな設定」なのに、期待以上に抱腹絶倒な場面が次から次へと畳みかけるように繰り出されてきて(笑)、涙や笑い声が抑えきれないくらい笑って笑って笑いまくった(笑)!一階席も二階席もどっかんどっかん沸きに沸き、あぁこの「生のお芝居を観ながら、脚本の妙に役者が存分に応える贅沢な空間を客席みんなで共有できる歓び」みたいなの、これが生での醍醐味だよね!!!と気持ち良かった!
 元々すれ違い系の喜劇大好きだけど、今回の、文字通り体張って全身全霊で爆走級にすれ違う御三方が本当に最高で(『SOVA』!!!とか/笑)、中でもカッキーさんがほんっとに尋常じゃない奮闘っぷりで(笑/想像のさらにはるか上だった)、よくやった、本当よくやった。。。!!!!!と自分の立場は一瞬謎になるけど、心の底から労いまくりたい。この日起きてたスタンディングオベーションは「脚本面での面白さ」だけじゃなく「三人とも見事よくやりきった!!!!!」も少なからずあってのものだよね!と回想(少なくとも私はその両方で立たずにはいられなかった)。
 カッキーさん、壮絶な疲れ具合の稽古を経たらしいけど、それだけの成果は見事舞台から頂きました。プログラムでなんかものすごい自分に厳しいこと書いてたけど(考えすぎだよ〜と思いながら読んだうちの一人)、「成し遂げてるよ少なくともこの作品でさらに!!!!!」と叫びたい。御三方全員の素晴らしさが見事に噛み合ってのあの空間だったけど、それでもカッキーさんの役は作品自体への根本的な責任の重さが尋常じゃなく、でもあの大変さをきちんと「青年"役"大変すぎる」じゃなく「青年大変すぎる(笑)」って本編に没頭させるベクトルで痛感させてて、この感想書いてる間も口はにやけっぱなしだし、次から次へと思い出し笑いが襲ってくるくらい、何度もしつこいけどすごい完成度だった。
 
 宮澤さんの警部も流石当て書き!な最高のはまりっぷり。こういう、「本人真剣なんだけど、それだけにすれ違いが起きちゃった時の可笑しさの増幅されっぷりが凄い、笑いと緊張感の塩梅がシビアに求められる役」も絶対外さない俳優さんだよなぁ。。。!!と惚れ惚れ。今回の警部は小学生になる子をもつお母さんでもあって、ところどころ「わかるわかる!!!」とシンクロしてうんうん心の中で頷いてたんだけど、お母さんやりつつあんな深夜まで働きつつな姿と、真相に届きそうで届かない時の「むー!」と悔しそうにする可愛さが併存してて、宮澤さんならでは!!!だった(ちゃんと可愛いのにあざと可愛さは無くてちゃんとほんのりコメディ側に振ってある)。
 私が最初に生で宮澤さんを拝見したのは『シスター・アクト』のメアリー・ロバートで、何回リピートしても毎回必ず新鮮に心動かされるお芝居でとっても印象的だったのを今も昨日のことのように思い出す。
映像越しですら観る度にどんどん好きにさせてくださる俳優さんなので、次の作品も楽しみ。

 全部あらすじを理解したうえで、ぜひ迫田さんを冒頭からもう一回追いたい。めちゃくちゃ油断させる冒頭と、笑いをひたすら生み出す前半、緊迫感あるクライマックスのメリハリは勿論、肚の中で旅行者がどんな風にあの一部始終を見てたのかも探りながら観たい!!!そして上で書いたのの繰り返しになるけど、過去作品の迫田さん探しをやりたい(笑)。役によってほんっとに別人になっちゃうくらい俳優として透明になれる人が好きなので、こちらも次の舞台で拝見できる日が楽しみ。

字幕最高!!

 警部と青年だけの時は「英語で会話している、という設定で、上演は日本語の共通語」、青年と旅行者だけの時は「鹿児島弁で会話している、という設定で、そのまま上演も鹿児島弁」、三人揃ってる時は「警部と青年の会話は英語、青年と旅行者の会話は鹿児島弁」で、「今誰と誰が何語で話してるか」が無理なく解るようにデザインされてて、「あーーー!!!だからただの日本語・英語の2言語じゃなくて、方言入って3言語モードにしてあるんだー!!!??すご!!!」と、雷に打たれたような衝撃。今回観る前までは「鹿児島弁は何用なんだろう?なんか共通語vs鹿児島弁vs英語でトリッキーなフレーズとかあるのかな?」と気になっており、勿論「おてっさ〜♪」とか登場するけど、状況説明を明確にするための方言だったのね、と。

 この「三人揃ってるときの英語タイム」に補助として背景に映し出されるのが日本語字幕で、これがめちゃくちゃいい効果を発揮しており、漫画みたいな遊び心もあってニクい演出だった!!!

 「英語を日本語にただ訳しているだけ」の筈なのに、明らかに警部が話した英語より多い語数が次々繰り出されて謎に盛り上がっている青年と旅行者を前に、警部が不信感を募らせていく場面とか、「何話してるの?」「絶対違う話してる!」がちょうど警部の体の周りを囲むように、ほわんほわんと一つずつ浮かび上がって来るのとか(笑)、突然原文の英語がまんま映った上に「みなさんも一緒に訳してみましょう!」って三谷さんからのメッセージみたいなのが添えられてるのとか(笑)、はたまた事件の状況がスターウォーズのオープニングみたいに平べったく手前から奥に向かって流れていくのとか(笑)、縦書き和風フォントで俳句が登場するのとか(笑)…枚挙にいとまがないくらい!
 音響照明と並んで相当なタイミング勝負の世界だと思うのに、プログラムを探しても字幕操作の方々のお名前が出てこないのが寂しいのだけど、当日のカーテンコールではしっかりきらきらした星マークと一緒にお名前が投影され、キャストのみなさんがわーー!!!と称える仕草をしてらして、客席も力一杯拍手だった!三谷さんが「まだ誰も掘っていない貝が埋まった砂浜」と表現された演劇x字幕の演出、今後もすごい楽しみ!!!!!!!
 ちなみに、三人揃うたびに舞台奥の壁がぐーっと手前に迫り出して来てたのは一体なんだったんだろう?と謎だったのだけど、どうやらまさにこの「字幕のため」だったっぽいと観劇後プログラムを読んで気づいた。なにかが物理的に壁の向こうに隠されてたとかじゃなくて、ピッタリの位置に文字を出すための距離だったのか!と合点。

大量の伏線と、鬼の回収

 三谷さん作品ってことは、もう全部伏線だし全部回収だよね!!!みたいな前のめりの期待がそもそもあったので(実際には全部じゃないんだろうし、わざとのダミーや遊びもあるんだとは思うんだけど)、冒頭アルマジロが飛び出して来た時も(あれグッズコーナーにあったら買ってく人出るんじゃないかってくらいすごいインパクトだった/笑)、カチンスキー警部が林檎を買いに出ていった時も、「ふふふふふ、これが後でどう効いてくるのかっ?!!!」と心の中でニヤニヤしながら待機、見事にそれぞれみんな回収されていって、はぁぁぁぁだからかー!!!!とか、やっぱり三谷さん作品だー!!!!!とミーハー心が隅々まで満たされた。

 ミステリーによくある「この列車が終点につくまでに!」とか「○○がこの部屋に来るまでに!」みたいな解決までの残り時間&ペースメーカー役を今回は舞台奥にかけられた時計がおそらく担っていて、上演時間を知ってる観客側からすると「お、そろそろ折り返し…」とか「あと20分、ここからどうなる?!」とかわくわくしながら観る楽しみもあり、そこもにやり、だった。
 
 中盤で児島がオレンジのファイルをチラッと見てパタンと閉じるところで、「あ、まさか」と展開に予想がついてしまったのは私にしてはめずらしく勘が良いケースに当たってしまい、ラストのどんでん返しでそこまで驚けなくてちょっぴり勿体なかったのだけど(うそー!ってなりたかった)、しかしその後のオチがまさかの井戸って(笑)。被害者の井戸のエピソードをここで回収するのか(笑)!!!!!と震えながら笑ったり(笑)。
 
 本編ラスト、一人残った青年が、今日のおさらいをするかのように、出てきたキーワードを一つ一つ、しかもこれまた終盤に出てきたカチンスキー家ルールのしりとりで繋げていくのがまたオシャレで、「三谷さん!!!!!!!!」と唸った。選ばれる言葉がいちいち「くすっ」と笑えるもので、映画でいうところの、エンドロールの背景に映るとっておきのチョイスの画を辿るような趣きがあって、余韻を噛み締めながらお芝居が終わっていく流れのがとても美しくて気に入った♪

 カーテンコールでは、後ろに映った映像をテキサスらしく、且つ本編でもキーワードだった銃(!)で警部が撃って行って、「Otessa」が「Odessa」に変わってくのも粋で、とことんまで隙なく笑いを挟み込みまくる三谷さんのこだわりにまた客席みんなで笑い(笑)。いつか「おてっさぁ」ってネイティブの鹿児島言葉で聞ける機会が来たら「これかーー!!!!!」って叫んじゃいそう(笑)。

音楽

 ついに荻野さんの音楽を生で聴けた〜♪生オケの良さって格別だと思っているので、ピアノ・リコーダー・ハーモニカ全部お一人版だったけど、やっぱり客席と舞台の呼吸を読んで音を重ねてもらえる贅沢さっていいよねぇ。。。!としみじみ。
 カウボーイハットにウエスタン!なお衣装で素敵だった♪
 今月(2024年1月)末、WOWOWで荻野さんの『荻野清子GoGoコンサート〜三谷幸喜を歌おう〜』が放送されるそうなので、録画してそちらも楽しみにします!

最後に

 1時間45分で3人しかcastいないのに1万円超えなんて強気!!ってコメントもチラ見しましたが、生でこんな楽しくきっちり完成したエンターテイメントを味わえるなら、全然高くない!!!と満足でした。
「あーあすこも好きだったー!」となんらか思い出したらまた見出し付けて書き足します。

 大切なお時間でここまで読んで下さった方、ありがとうございました!

参考にしたもの

公式プログラム
公式サイト


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