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大いなるハシビロコウに魅せられて

一目ぼれだったと思います。
割と直観は鋭いほうで、出会った瞬間にビジョンが見えるようなことが時々あります。

「ダーウィンが来た!」というNHKの番組でハシビロコウが特集されていました。もう12年も前のことのようですが、あの頃のいわゆるビビビッとくる感覚はとてもよく覚えています。

大きな体躯に鋭い眼光。蒼く美しくみっしりとした羽毛。
獲物が近寄ってくるまで気配を消してじっと待つその忍耐力。
普段動かないからこそ圧倒される、大きく広げられたた翼の迫力。
決して無愛想なわけではなく、親しいと思う相手にはお辞儀をしてくちばしを鳴らして感情を伝えるところもいとおしい。

ハシビロコウの魅力に目覚めてから、初めて実物にお目にかかったのは那須どうぶつ王国でした。
かなり間近でそのご尊顔を拝見できた記憶があり、泰然自若として微動だにしないその立ち姿にますます魅せられました。友達と来ていたので、「いつまでそこにいるの?」と笑われ、引きずられるようにハシビロコウのもとを後にしました。

ああ尊い

それまで意識したことなかったけれど、上野動物園でも飼育されているということに気付き、時々赴いては、小一時間ハシビロコウの柵の前にたたずんだりなどしています。
上野動物園のハシビロコウはけっこう動きます。翼を広げて大胆に池を飛び越えるパフォーマンスを見せてくれた時は、これがアイドルがファンサしてくれた時の気持ちなのかもしれないと思いました。

かなりマニアックな好みであると自認していましたが、意外と同志はいるもようで、「ハシビロコウ」ワンテーマでムック誌も刊行されています。私は当然そのムック誌を買いました。2種類持っています。

お面はともかくふせんはほしいよね

あのベストセラー作家の伊坂幸太郎さんがなんと、ハシビロコウが特別な存在感を放つ「クジラアタマの王様」を著したというので、もちろん読みました。
クジラアタマとはハシビロコウことです。
夢に引きずられる現実に翻弄される作品なのですが、ハシビロコウの出てくる夢でならうなされてもいいと思いました。

ハシビロコウグッズはご存知でしょうか。
ハシビロコウが好きな人が描くハシビロコウと「どうやら人気があるみたいだ」と思うだけの人が描くハシビロコウでは、絵柄が全然違っていて、“ハシビロコウのわかり手”が描いたであろう、個人のハンドメイド作家さんのグッズの方が好みのものが多くありました。
それでも昔と比べてずいぶんとグッズも開発されまして、絶対に家にあったら邪魔なので買わないけれど、市販の製品で一番ほしいのはハシビロコウの傘立てです。現実的に次に狙っているのは枕タオルになるくらいの大判のフェイスタオル。Tシャツは素敵なものもたくさんあるのですが着こなせる気がしなくて、入手を断念しています。

ハシビロコウは描くだけでも癒されます。
私が好きなハシビロコウってこういうのなんだよなぁってイラストを描いて自己満に浸ったりもしました。

突然マジックで描いたにしては好みに仕上がった

今はPCの壁紙やサブバッグなどいろいろなところにハシビロコウを忍ばせているので「ハシビロコウ好きなんですか?」と声をかけられることが増えました。同じように好きだという人と時々出逢います。
仕事上の付き合いであっても、ハシビロコウが好きということで、一瞬で距離が近付くようなことがあります。なんなら勤め先の社長に、「ハシビロコウ好きなの?興味深い鳥だよね。僕、シンガポールで撮影したんだよ」と仕事とは関係なく社長からハシビロコウの写真がメールで送られてきたこともありました。

わかり手によるイラストよき

ハシビロコウという特定の動物のジャンルなので「推し活」というほどのことはできていないし、愛の深さについても、自分でもいまいち自信が持てずにいるのですが、大いなる「ハシビロコウ」的なものと私との距離はちょっとずつ近付いているような気がしています。
けれど、最終的にハシビロコウと私はどういう関係を目指していくべきか、どのくらいの距離感が適切なのか、まだその答えは見つかっていません。

ハシビロコウの魅力はもっともっとたくさんの人に届けていきたいのですが、他の好きなものと違って、好きという気持ちが大きすぎて、なぜ人気なのか、なぜ好かれるのかを冷静に分析することができません。今日もこのnoteをちっとも系統立ててまとめられないことが悲しいです。
これは適切な距離感といえるのでしょうか。

一方で、もしも人間でこういう人がいても、きっと私はどうやってお近づきになれるかをとっても考えてしまうと思います。

ちょっとやそっとのことでは無駄に騒いだりしない落ち着き、手に入れるまで決して獲物を諦めない忍耐強さ、クールな第一印象と親しい人への礼儀正しさとのギャップ、場になじみながらも気付いてしまうと目を離せなくなる存在感…そんな要素を兼ね備えた人。

そんな人がいたらきっととても魅力的なんだろうなぁと思いをはせるのでした。

上野動物園のハシビロコウはちょっと距離が遠い

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