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映画のミカタvol.3/熱き魂の叫び!アクション映画の魅力。

『アクション映画』の定義って難しくないだろうか?ためしに検索に打ち込んでみると、サイトによっても、扱う作品がかなり違う。もしこれが”ダーク・ファンタジー”だったら、これほど変わることはないかもしれない。アクションの要素が全くない作品の方が、メジャー作品では難しく、映画にはつきものでしょう!ということかもしれない。言うなれば、アクション(と恋愛)は映画における”主成分”、ありふれているといえばありふれている。だからこそ扱いは難しく、陳腐にもなりやすい。

テーマ毎に本コーナーのセレクションを担当頂いている方に「アクション映画のお手本のような作品」と言わしめたのがご存じ、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』だ。壮大な世界観と、エッジの効いた展開、気の遠くなるほど緻密に作りこまれたビジュアル、キャラクターの魅力……どれをとっても伝説レベル。エンタメとして楽しめるにとどまらず、上記の理由でコアな映画ファンの方々に”別格”として支持される本作からは、まさに「魂の叫び」ともいうべき熱い想いが伝わってくる。

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【マッドマックス 怒りのデス・ロード】2015年:オーストラリア・アメリカ合作/監督:ジョージ・ミラー/主演:トム・ハーディ、シャーリーズ・セロン

最近、この『デス・ロード』を始め、新たに好きになる作品に出会う度に感じるのが、”ストイックさ”だ。もっと若いころ映画は、ポップコーン片手にくつろいで、あるいはお喋りしながら、誰かと”眺める”ものだった。1~2時間の暇つぶしとして楽しい、そんな役割もたしかにあるしそれも大事だったんだと思う。けれども、時に息苦しいほど、その世界に、作り手の想いに、どっぷりとシンクロする――そんなふうに映画を観たいと今は思う。

『デス・ロード』ではトム・ハーディ演じる主人公マックスがいきなり「Blood  Bag!」(「おまえ輸血袋な!」)と捕獲される冒頭シーンに気が遠くなりつつ、サディスティックで猥雑で恐怖を感じるシーンでも、文字通り”体を張った”熱さと気迫がどのシーンからも伝わってきて、尊ささえ感じる。骨太なアクションシーンの裏に、子どものように繊細で、瑞々しい感性が宿っている。

画面で切り取られた”見世物”としてのハリボテではなくて、作品の細部に至るまで、文字通りの”魂”が宿っているからだろう。想いだけではカタチにならないが、想いがなくては何も始まらないのだと、良い映画に出会う度に教えられる。本作が「お手本」であるのは技術面のクオリティだけでなく、そんな熱い想いがあってこそなのだと知るとともに、その想いに呼応することができる感性とセンスを、いつまでも保てる自分自身でいたいと願う。

(了)

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