積読について

 やらなければいけない、としきりに思っている。積読をよむことだ。文芸誌や実用書、文庫からペーパーバックまで、二十冊ほど本棚に積んである。少ないほうだと思うが、いざ手にとっても、いっこうに進まない。他のことについ気をとられてしまう。購入したときの読みたいという気持ちは、本棚におくうちにすっかり揮発してしまった。
 そもそも積読本は好きで買ったものだ。はじめて手にとったとき、読めばこういうことがわかる、と思い描いた。読書後の変化を期待し、読書して有意義にすごす時も夢みた。
 だから積読消化は、ささやかな自己実現だ。過去の選択に責任をとる。この点で夢を叶えることと違いはない。
 いろいろ言っても仕方がない。さあ、読もう。知識の海をおよいで、かつて思い描いた未来へいこう。ちょっとスマホを確認したらすぐに……。