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団結のドミナリア ドラフト ガイド

団結のドミナリア ドラフト ガイド(翻訳)

2022/09/06

by J2SJOSH

from MTG Arena Zone

やあ、みんなはドミナリアの命運を賭けたファイレクシアとの戦争を楽しんでいるだろうか。
少し遅れてしまったけれど、今日はこのドラフト環境を完膚なきまでに支配するための方法を伝授しよう…
っていう冗談はさておき、早速《シェオルドレッド》のぶっ飛ばし方を見ていこうか。

『団結のドミナリア』ドラフトで鍵となる考え方

今回の環境は近年稀に見る「前後関係が重要な」ドラフトと言える。
これはつまり、全てのカードが、デッキ内の他のカードとの相互関係によって異なる評価を得るということだ。
いわゆる「シナジー」は他のフォーマットにもある程度当てはまるものの、『団結のドミナリア』ドラフトではより顕著になっている。

では、ここから導かれる結果はなんだろうか?
それはつまり、勝率やピック率のデータを眺めているだけの人にとっては、数字が薬になるどころか毒にすら成り得る、ということだ。
同じ2色デッキでも、デッキの方向性によってピックしたいカードが変わってくる。

「この色とあの色の組み合わせだからこのアーキタイプ」という分類よりも、そのデッキが何をしたいかでアーキタイプを分けた方が分かり易いだろう。
主だったアーキタイプは、
・防衛
・ドメイン(版図)
・スペル
・古き良きクリーチャーアグロ

の4種類に分けられる。

防衛

防衛デッキの活躍は多くのプレイヤーにとって寝耳に水だったことだろう。
環境初期にはこのアーキタイプの強さを理解しているプレイヤーが少なく、強度の高いデッキをドラフトできたのも高勝率の一因となった。
鳥の群れに襲い掛かられ、為す術なく蹂躙される様はさながらヒッチコック映画のようだ。(訳注:アルフレッド・ヒッチコック監督のパニックスリラー映画『The Birds』より)

大群を指揮する《翼套の司祭/Wingmantle Chaplain》は、かつての《閃光の頂点/Zenith Flare》と比較されている。
ここで問題になるのは、仮に《閃光の頂点》をピック出来なかったとしても、サイクリングを活かせる代替品が他にもいくつか存在したために、デッキとしての体裁は保てた。
一方で《翼套の司祭》が取れなかった場合には、平均点以下の《壁》が手元に残るのみでほとんどデッキにならないのは、大きな違いだ。
Sierkovitzによれば、ドラフト一回につき各アンコモンはパックから平均0.9枚出てくる計算になる。
これはつまり、同一卓内での防衛デッキ許容人数は一人まで、ということになる。

また、多くの人が《盾壁の歩哨/Shield-Wall Sentinel》の高勝率に戦慄している様も見た。
これは、アルケミーホライズン:バルダーズ・ゲート環境初期に、優れたプレイヤーによって適したデッキで採用され高勝率となった《アイアン・ゴーレム/Iron Golem》に通ずるものがある。

《歩哨》はデッキの核となる《翼套の司祭》を水増しできるため、適切なデッキで採用すれば非常に優秀なカードとなる。
また、カードの取捨選択が上手くないプレイヤーでさえも、このカードを適切なデッキ以外に入れようと考えないのも高勝率を維持している理由の一つだ。

多くの人々がこのアーキタイプを目指してカードを奪い合うようになると、個々のカード勝率は少し下がるだろうと予想している。
しかし、ただ単に壁を詰め込んだだけのデッキをプレイしようとする人はいないだろうから、そうなるとアーキタイプとしての勝率は上り続けるだろう。

ドラフト指針としては、序盤に《翼套の司祭》をピックできた場合に防衛デッキを検討する。
先に他の壁を取ってから《司祭》が回ってくるのに期待するのは絶対に控えるべきだ。
《司祭》無し防衛デッキの酷さは筆舌に尽くしがたい。

カラーリングとしては、エスパー(青白黒)かバント(青白緑)のどちらを選んでも良い。
デッキの隙間を埋めるカードは積み上げた壁の一部であって、核ではない。
バントなら《花咲く蔦壁/Floriferous Vinewall》がマナ基盤を補強し、ドメインカードにも手を伸ばせるだろう。

ドメイン(版図)

お次はドメインデッキだ。
こんな風に叫んでる人をもう何回見たか分からない。
「おぃい! 5色の糞デッキに負けちまったぞ! なんでヤツらは事故らないんだ? 一体全体なんだってんだよ?」
まず初めに訂正すると、ほとんどのドメインデッキは実際には2~3色構成で、そこに少しだけ他の色を足しているか、あるいは全く足していない。
彼らは単にデュアルランドを追加して、ドメインカードの効果を高めたり、シングルシンボルのカードを足しているに過ぎない。

この環境のマナ基盤は本当に優秀で、多色が咎められることは滅多にない。
特に土地スロットがコモンのデュアルランドに変わっている事が多いため、多色化は容易になっている。
となると、「いつ」それらの土地をピックするかが、ドメインデッキ参入への鍵となる。
一般的には緑がベースになるだろうから、早期に緑絡みのデュアルランドを取ってしまう。
そして、色が合わないデュアルランドであってもドメインを満たすためにピックするのを恐れてはいけない。

あまり言及されていないドメインデッキの利点として、プレイ可能なカードの幅が広がる点がある。
どういう事かと言うと、対戦相手がこちらの取り得る選択肢の全てを予想するのが不可能になるということだ。

卓内には十分な数のドメインカードとマナサポートが存在するものの、2色デッキで使うには物足りないカードが多数存在するのも事実だ。

《メリアの先導/Meria's Outrider》は5マナ4/4到達持ちで最大5点を本体に与えるドメインカードとしてひと際目立っている。
この環境では「飛行」によって最後の数点を削りきる手段が豊富なため、それを妨害する「到達」は評価が高い。
加えて、《メリアの先導》はいかにも「到達を持っていない」見た目なので、BeersSCの様なプレイヤーは気付かずに飛行で殴ってくるだろう。

もう一枚有用なカードと言えば《影の予言/Shadow Prophecy》が挙げられる。
基本の土地タイプ一種類につき一枚のカードしか見られないため、2色デッキでは滅多に使わない。
しかし5タイプが揃っていれば、上から5枚を見てベストな2枚をハンドに加えられるようになるため、ほとんど3マナの《時を越えた探索/Dig Through Time》のように機能する。

ドメインというアーキタイプ内においても、個々のデッキによって内容もゴールも変わってくる。
赤緑をベースとして《二ショーバの喧嘩屋/Nishoba Brawler》と《日光浴するルートワラ/SunBathing Rootwalla》を《ガイアの力/Gaea's Might》で後押しするアグロタイプは序盤から対戦相手に圧をかけていく。
上記のゲームプランは「全ての色の、大振りなエンドカードを、対戦相手に叩きつけるドメインデッキ像」からは大きくかけ離れたものだが、これもアーキタイプとしてはドメインなわけだ。

私が言いたのは、団結のドミナリア環境では個々のカードパワーよりもシナジーの方がよほど重要ということだ。
カードをピックする毎に、既にピックしているカードと、今後取れるカードの見積もりによってカード評価を調整していく必要がある。

スペル

《静電式歩兵/Electrostatic Infantry》、《ギトゥの増幅士/Ghitu Amplifier》や《戦闘魔道士の隊長、バルモア/Balmor,Battlemage Captain》によって序盤から脅威を展開し、《下支え/Shore up》によるクリーチャー保護と除去で道を切り開くテンポデッキ。
《機を見た干渉/Timely Interference》は戦闘で相手を打ち取る以外にも、単にサイクリングついでのスペルトリガーとして使える器用さも併せ持っている。
イゼットカラーをベースとしたこのアーキタイプも、ピックしたカードによって方向性が分岐していく。

安価な呪文の連打によって、安く・早く《トレイリアの恐怖/Tolarian Terror》を出して戦場を制圧するのが目標のバージョンも存在する。
《胸躍る可能性/Thrill of Possibility》と《本質の散乱/Essence Scatter》を駆使すればすぐに下準備は整うだろう。
まるで《タルモゴイフ/Tarmogoyf》コントロールを使っているようだ。

黒をベースとしてスゥルタイ(青黒緑)や場合によってはエスパーカラーのスペルコントロールデッキも存在する。
これらは典型的なコントロール然としていて、除去と打ち消しによって対戦相手のクリーチャーを無効化し、たった一体のデカブツでゲームを決めようと目論んでいる。
そう、《トレイリアの恐怖》はここでも核となる一枚なんだ。

黒は《アーボーグの奪還/Urborg Repossession》と《ガリ骨のボータック/Bortuk Bonerattle》をキーパーツとした墓地活用デッキにも進める。
本当に懐の深いフォーマットだよ。

アグロ

アグレッシブなデッキはこの環境でやれるだろうか?
答えはYESだ。
マナベースにピックを回す必要性がなく、トークン戦術とすこぶる相性の良い《英雄的突撃》を遅い巡目で取ることもできる。
対戦相手と比べてあなたのピックしたカードの質は高く無いかもしれないが、手札の派手なカードも使う前に死んでしまえば元も子もない。

ここでアグロデッキについて深く掘り下げるつもりはない。
ボロス(赤白)とオルゾフ(黒白)の二種類は、軽量クリーチャーとトークン戦術を有し、対戦相手が体勢を整える前に踏み潰してしまえる。
アグロ以外のデッキタイプが“解明”されて最適化した後で、アグロデッキが勝率を維持できるかどうかは非常に興味深い。

環境理解

環境の速度は中~遅くらいで、下準備をするのに十分な時間がある。
最近の多くのセットに比べると、テンポ重視ではなくなっている。
これは、実際のカードアドバンテージが重宝されるということで、《銀の精査/Silver Scrutiny》などは当初よりもかなり評価を上げている。

断っておきたいのは、いくらテンポ重視じゃないとは言え、曲がりなりにも最近のカードセットだ。
最初の数ターンに何もせずに許されるわけがない。
軽い妨害など何らかのアクションは必須になる。

サイドボード向けのカードも多いため、この中速環境はBo1よりもBo3でより有利に働く。
《塵と化す/Smash to Dust》のような明確なサイドカードについてのみ言及しているわけではない。
《ジョダーの写本/Jodah's Codex》を例にすると、互いに決定打を投げ合うドメインデッキ同士のマッチでは完全なるゲームブレイカーとなるが、アグロデッキに対しては見たくもない悲惨なカードとなる。

シングルシンボルとダブルシンボルではカード評価に大きな違いがある。
これは多くのデッキが3色であったり、色を足しているからだ。

なぜ《邪悪を打ち砕く/Destroy Evil》はこんなに強いのかとよく尋ねられる。
最大の要因の一つは、《トレイリアの恐怖》、《ヤヴィマヤの滞留者/Yavimaya Sojourner》、《のたうつ分解者/Writhing Necromass》といったコスト低減クリーチャーの多さだ。
そういったデカブツを擁さないデッキに対しては、過剰な追放エンチャント(訳注:《市民の拘束》など)を破壊する手段として利用できる。
どんなデッキにも一枚入れておいて損は無いだなんて、最高すぎるカードだよ。

ここでちょっとした小話。
もしあなたが《機を見た干渉》をキッカー込みで使用し、「威迫」持ちのクリーチャー単体で攻撃した場合、対戦相手はダブルブロックを強いられる。

全体除去

ゲームをこなしていく内に、全体除去をフル活用できるタイミングを計れるようになるだろう。

セット中で、全てを無に帰す全体除去は《カーンの酒杯/Karn's Sylex》のみだ。
しかし、対戦相手に猶予期間を与える上に、全てを取り除くまでにかなりのマナが必要になるため、コスト低減クリーチャーの多い環境では「問答無用」のカードではないかも知れない。
裏を返せば、デカブツがこちらの場にいる場合は、注ぎ込むマナを調整できるのが利点になる。

もう一つの大型除去は《時の火炎嵐》で、これはタフネス5までの全てを綺麗サッパリ除去しつつ、最大2体のクリーチャーを逃がせる可能性がある。
しかし、相手はタフネスの高いクリーチャーで対抗したり、こちらの戦線を拡大させようと仕向けてくるだろう。

ドメインデッキにおける《底への引き込み/Drag to the Bottom》は《神の怒り/Wrath of God》と同義かもしれない。
2~3色のデッキで盤面を綺麗にするというそこそこな仕事をこなしてくれる。

《締めつける瘴気/Choking Miasma》と《巨竜戦争/The Elder Dragon War》は2点分のダメージを与えるが、《塵と化す》はたった1点なので引き続きサイドボードを温めてもらおう。

《一時的封鎖/Temporary Lockdown》はトークンデッキを狙い撃ちにするサイドボードになる。

《ザルファーのフェイジング/The Phasing of Zhalfir》については語るだけ野暮だ。あれはMagicのカードではない。

コンバットトリック

注意すべきコンバットトリックの最右翼は《盾、構え/Take Up the Shield》で、これは相手の守りを完璧に退けつつ、場により良いクリーチャーが残る。
《機を見た干渉》に関しても同様で、美味すぎる話(コンバット)には用心して挑む必要がある。

青マナを立てている対戦相手のクリーチャーを対象に取る時も注意が必要だ。
《ヤヤの火災旋風/Jaya's Firenado》を《下支え》でスカされたら目も当てられない。

《激しい戦いの祝福/Battle-Rage Blessing》も上手く使えるかも知れないが、そこまで多く見かける機会はないだろう。

注目すべき他のパンプスペルと言えば《英雄的突撃》と《連合の力/Strength of the Coalition》だが、これらを採用するデッキの横並べ戦術と非常によく噛み合っている。

《ガイアの力》もコンバットトリックに含まれるが、ドメインとのマッチアップでだけ気を付けていればいい。
《壮大な成長/Colossal Growth》と《猛然たる怒声/Furious Bellow》も気にかけるべき単一を対象としたパンプスペルだ。

《双業火/Twinferno》について言及し忘れていたけれど、単に「二段攻撃」を得るだけのカードを嬉しがる人は多くないだろう。

打ち消し

最も一般的に使用され、この環境でベストな打ち消しは《本質の散乱》。
ゲームに勝利するためにはほぼクリーチャーをプレイするしかないので、対戦相手がタップアウトするのを待つよりは、価値の低いカードで何とか《本質の散乱》を釣り出す方が得策だろう。

《アーテイの嘲笑/Ertai's Scorn》にも非常に満足している。
人間の心理として、“打ち消させたい”カードをプレイしてから“通したい”カードをプレイする傾向があるため、後者を安く打ち消せるこのカードは私好みだ。

相手が青白1と立てている場合は《交渉団の保護/Protect the Negotiators》に警戒せよ。
リスクを取る前に、落ち着いて対戦相手のクリーチャー数を数えよう。

《復活したアーテイ/Ertai Resurrected》は素晴らしいカードだが、レアなのでそこまで気にする必要はない。
《否認/Negate》はゲーム1で見たとしてもそこまで驚かないが、ほぼサイドボードカードとして考える。
《ヴォーデイリアの呪詛抑え/Vodalian Hexcatcher》に至ってはもはや炎天下の生ゴミに近い。

ボム

以下は疑いようのない初手級ボム。
順不同で、「ミシック級アンコ」「ミシック級コモン」よりも優先してピックする。

・怒りの大天使
・巨竜戦争
・《群れの渡り/Herd Migration》
・《クウィリーオンの獣呼び/Quirion Beastcaller》
・《解放されし太古、リース/Rith,Liberated Primeval》
・《セラの模範/Serra Paragon》
・《シルバーバックの古老/Silverback Elder》
・《黙示録、シェオルドレッド/Sheoldred,the Apocalypse》
・《晴天のスフィンクス/Sphinx of Clear Skies》

ミシック級アンコモン

アンコモンだが、アンコモンの強さではないもの。

・《ニショーバの喧嘩屋》
・《ファイレクシアの宣教師/Phyrexian Missionary》
・《潮に仕えるもの、タトヨヴァ/Tatyova,Steward of Tides》
・《翼套の司祭》

ドラフト非推奨カード

一部の人が独り言のように言及しているカードだが、基本的にはパスすべき。

・《混沌性変異/Chaotic Transformation》
・《永久の水蓮/Timeless Lotus》
・《スランの門/Thran Portal》
・《タイタンズを組織する/Urza Assembles the Titans》

まとめ

以上で団結のドミナリアのドラフトガイド第一版を終わりとするが、これらの情報は常に新しくなり続けている。
かなり面白いセットだし、引き続き時間の許す限り深く潜っていきたい。
また追加のガイド記事を書くつもりだ。

常にフィードバックを求めている。
イイネもワルイネも知らせてほしいし、愛犬の画像だって大歓迎さ。

元記事
https://mtgazone.com/dominaria-united-draft-guide/

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