既婚障害者家庭の経済事情アンケートの結果

皆さまアンケートへのご回答ありがとうございました。62件の回答をいただきました。1月にTwitterでこのような簡易アンケートを実施しました。


障害のある人との結婚を躊躇するのは、自分の負担経済困窮

障害のある人との結婚には経済困窮を伴うというイメージが強いようですが、実際に既婚障害者家庭の経済状況は困窮しているのでしょうか?

ということで今回、アンケートを実施させていただきました。

社会調査とするには母数が小さいので、あくまでも参考程度に思っていただければ幸いです。

それでは結果を見ていきましょう!


経済アンケート結果

家族構成など

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今回の回答者は20代から40代の方が大半です。

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夫婦のうち、夫が障害を持っているケースが多いようですが、どちらも障害を抱えているケースも約10%ありました。

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ウィルチェアファミリーの特性上もあってか、障害内訳は肢体不自由が大半を占めていましたが、内部障害・聴覚障害などの方にもご回答いただけました。

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20代~40代のご夫婦が多いこともあり、結婚5年から20年の方が多いようです。

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意外だったのは結婚後受傷よりも、障害を持った状態でご結婚されたご夫婦が多かったことでした。

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回答いただいた世帯では20代で受傷後に結婚される方、次いで先天的な障害を持っていて結婚される方が多いということがわかります。

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2~4人家族の方が大半を占め、子どもがいる方が約70%。子どもの人数は1人か2人が多いようです。


仕事や収入

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障害のある既婚者の職業で多いのは無職・主婦(夫)で、次に会社員・公務員などで正職員としての雇用、そして契約社員でした。何らかの形で社会に出て働いている方の方が少し多い(約45%)という結果でした。

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障害のある方の就労収入はお仕事をされている方で200万未満~800万と開きがあり、中には800万円以上を稼ぐ方もおられるようです。300万未満の方も多いですが、働いている方の収入としては障害のない人もある人もそれほど大きな差はないのかもしれません。

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一方パートナーの方は無職・主婦(夫)の方が少なく、約85%の方が何らかの就労をされているようです。

日本の夫婦の共働き世帯数は48.8%、今回のアンケートから読み取れる共働き世帯は約45%ですから、大差は見られませんが

男性が障害のあるケースが多いことから、夫婦の役割の変容を上手にされている世帯が多いのかもしれません。

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家計を支えているパートナーが多いように見受けられます。

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年金等収入は約半数が200万円未満で貰っていない方も11%おられますし、逆に年金等収入に助けられている方もおられるようです。

障害があって働くことが困難な方の未就労部分を、年金等収入が補う役目を果たしているとも言えるでしょう。

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世帯年収についても一般世帯年収との大差は見られず、年収500万以下が約半数となっています。

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ですが中には生活困窮していて、援助を必要とする世帯もあることがわかります。一般の生活保護受給者は各都道府県1~3%程度を示していますが、ここでも生活保護受給者数は一般と大差なしの結果です。

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地域性にもよりますが、障害、特に下肢障害があると車の保有率は上がるように感じられます。

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一般統計による日本の持ち家保有率は61.7%、このアンケートでは59.7%ですからここも障害の有無に大差は見られません。

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障害があるがゆえにどうしてもかかってくる費用というものがあります。これは毎年同じくらいかかるというものではなく、必要な年は驚くほどかかりますし、ほとんどかからない年もあるので開きが出たのではないかと思われます。

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障害があるとスポーツ活動にも多額の費用が掛かることがあります。チームや練習場所が遠かったり、必要な車椅子や装具が高額な自費になったり、修理費が嵩むケースも多いのです。

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お金や収入に関して、困っていることは何ですか?

・障害を負ってまだ1年ですがゆくゆくは自分の収入も作りたいと思っています。年金に頼らず生きていける手段を知りたいです。

・夫は外の仕事のため雨が降ればお休みで基本給もなく早朝残業代もつかず日給月給で月の給料が不安定なところ障害者年金の支給手続きがまだまだ難しい。

・障害基礎年金の配偶者加算がない。

・困っていません。

・もっとお金が欲しい。

・主人がお金をくれない。

・不妊治療費が無い。

・今は大丈夫ですが、自分の障害年金だけでは生活できないので配偶者の病気や死が不安になります。単身の場合、持ち家や車があっても生活保護が受けられるか心配です。

・受傷してから仕事ができないでいる。

・元々夫より妻の収入が高かったので、受傷後の妻の復職の際、給与が下がってしまって生活レベルが変わるのではないか不安。

・ヘルパーを使うため、個人事業者になれず、フリーで仕事をしている形になり、税金の控除が受けにくい。

・主人がもうすぐ定年なのですが、その後の生活資金がなく、不安。

・子供を育て上げるだけの資産をこれから作れるか不安がある。

・日常的に困る事は無いです。親や子供・孫たちの冠婚葬祭・祝事などはツラい。

・生活をしていくことだけで必死。娯楽ができる余裕が無い。

・今後の年金の破綻が心配です。

・夫婦のうち1人しか働いていないので収入がギリギリ。

・お金に関して困っていることはない。受傷前の職務経験を生かし、受傷後も正社員で働けているため。


まとめ

今回、回答をいただいた中には経済的に困窮していると感じている人は約30%でした。

多かったのは30代夫婦、夫が20代で受傷後に結婚し、結婚5~10年目。家族は2~4人で子どもは0~2人。主夫か無職又は会社員をしており、年金収入は200万未満。就労収入は300~500万円。

パートナーは働いていて収入は200万未満から500万円が多く、世帯収入としては年収300万~800万程度が大半を占めています。

経済援助を受けているのは全体の約16%で、車は1~2台を所有。持ち家を持っている人が全体の約60%に上り、年間でかかる福祉のための費用は30万未満が最多。300万という世帯もありましたが、これはかかる年とかからない年があったり、障害状態により開きがあるものだと思われます。

スポーツのための費用は専用の車椅子や義足、道具・遠征費等は障害のない人より多くかかることが多いのですがほとんどが年間30万円未満でした。

経済状況への満足度としては、満足している・不満がない世帯が約46%、どちらでもないが約23%、不満がある世帯は約30%でした。


ここでの結果を見る限りでは、次のように言えます。

障害は困窮の一因にはなり得るが、障害者=経済困窮ではない

ご本人に障害があっても、世帯として経済的に成り立っている家庭は多く、世間の意識との乖離が生じている可能性は高いのかもしれません。

もしかしたら、経済的に安定している人の方が結婚しやすい傾向にある可能性もありますが、その実情はこのアンケートからは汲み取ることはできませんでした。

あなたはこのアンケート結果を見て、何を感じますか?



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