脳性麻痺女性の妊娠出産
脳性麻痺女性の妊娠出産の現状について、皆さんはどのくらいご存知ですか?これまでウィルチェアファミリーでは様々な障害を抱える方にお話をお伺いしてきましたが、その中でも脳性麻痺の方の情報は少なかったのではないでしょうか?特に脳性麻痺と一言で言っても、その症状や障害状態は多岐に渡ります。
「情報がなくて先のことがわからない!」
「私は赤ちゃんを産んでもいいの?」
「やっぱり産むとなると帝王切開しかないのかなぁ?」
「どうやって育てていく道があるかな?」
「娘もいつか赤ちゃんを産めるの?でも体は大丈夫なの?どんなリスクがあるの?」
「うちの子は脳性麻痺なんだけど、いつかママになる可能性はあるの?」
当事者だけでなく、不安に思われている親御さんも多いのではないでしょうか?そこで今回は脳性麻痺女性の妊娠出産について調べてみました。
※男性についてはこちらのInstagramに、海外の情報を参考にまとめてあります。
脳性麻痺とは?
何らかの原因で周産期に脳にダメージを受けたことにより、2歳までに運動機能や姿勢保持などに障害が発生したものを脳性麻痺と言います。その症状や程度は多岐に渡り、ほとんど障害が見た目にわからない方から、寝たきりで24時間介護を伴う方まで状態はさまざまです。
これまで脳性麻痺の発生率は出生1000人に対し2人発生すると言われてきましたが、最近の研究では1000人に対し1人程度と減少傾向にあるようです。
内閣府の平成25年版障害者白書障害によると、在宅脳性麻痺者数は18歳以上約5万4千人、18歳未満は24,100人に上るとされています。
脳性麻痺女性の妊娠出産、先輩ママたちに聞いてみました。
※服薬は治療上の有益性が危険性を
上回ると判断される場合にのみ投与される場合もありますので
服薬に関しては必ず医師に相談してください。
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脳性麻痺女性の妊娠出産、そのリスクは?
脳性麻痺女性の妊娠出産リスクとして、海外の研究では主に以下のようなものが挙げられています。
スウェーデンの研究
✓早産
✓帝王切開
✓誘発分娩
アメリカの研究
✓経膣分娩 60%
✓帝王切開 30%
✓早産 20%
✓妊娠高血圧症 12%
✓妊娠糖尿病 14%
✓産後うつ 30%
脳性麻痺が生殖機能に直接影響することはなく、薬の服用はリスクよりベネフィットが上回る時、可能な場合もあるとのことです。
分娩中に痙攣が強まり硬膜外麻酔が難しくなると判断されたり、分娩が上手くいかないと判断された場合、予め帝王切開をすすめることがあるようですがこれらのリスクはあくまでも海外での研究です。
日本においては最近の研究があまりないようですので、主治医にご相談ください。
脳性麻痺女性の妊娠出産、備えることは?
海外の研究では脳性麻痺女性は産後うつの発症率が比較的高いとされています。
出産後にはすぐに育児が待っていますので、周りの脳性麻痺のママたちの情報や育児の情報を早めに得て、産後後うつへの備えや、体の状況が悪化したり、回復に時間がかかる可能性も視野に入れ、家庭内の役割分担や周りのサポート体制をしっかり組み上げておかれることをお勧めします。
まとめ
近年では、街や学校のバリアフリー化や障害のある人の雇用促進など社会の変化により、結婚や出産をライフイベントに取り込む障害のある人が増加しているようですが、脳性麻痺者の妊娠出産育児の情報はまだまだ少ない現状です。
もちろん情報のない中でも、脳性麻痺を持ちながら妊娠出産育児を経験されている方もいらっしゃいます。ですが同じ障害名を持っていても障害の程度は多岐に渡ります。
そのため少ない情報を鵜吞みにせず、ご自身に合った方法を主治医と相談し、しっかり納得されることが大切です。その上で妊娠出産に挑まれる際は、妊娠前からサポートをしっかり備えておくことが安心とスムーズな自己実現に繋がるのではないでしょうか?
ウィルチェアファミリーでは脳性麻痺の方々の妊娠出産や育児、
家族形成についても情報を集めていますので、皆様からの情報提供をお待ちしております。
ウィルチェアファミリーは皆さまのサポートで活動しています。
今後の活動継続のためにサポートをよろしくお願いいたします。
この記事を書いた人
参考:
https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/h24hakusho/zenbun/pdf/h1/furoku07.pdf
https://obgyn.onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/aogs.13773
https://www.yourcpf.org/wp-content/uploads/2020/05/Preparing-for-Pregnancy_FINALv2_single.pdf
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