2020年日傘の話
2週前の週末、1竿の日傘を購入した。
そろそろ夏が来る、と感じるたびに『素敵な日傘が欲しい』との思いを募らせることを繰り返し、早10年弱が経つ。
しかしながら、日傘特有の “どうにもこうにもフェミニン” な装飾や模様が落ち着かない。
日傘のメインターゲットユーザーの趣向であるからなのか、華奢な持ち手や淡い色調の柄模様(リボンや小さなハート、星など)、遮光性が高いとされている紺や黒などの暗い色のものはフリルなどの装飾が必要以上に追加されていることが多々ある。
もっとシンプルな男性用のものを選べばいいんじゃない?と言われるかもしれない。しかしその場合『使ってウキウキする気分になるお気に入りの日傘』『お出かけにわざわざ持って行きたい日傘』とはならず、機能性のみを帯同することとなり、ファッションの一部としては受け入れ難いのだ(随分とわがまま)。
ポップな可愛さを兼ね備えたシックな日傘が欲しい。晴雨兼用、というよりも、日傘用の傘が欲しい。長々と前置いて来たが、私が日傘に求める条件を下記に述べる。
1.模様や柄がシンプルでありつつも、“外出時に持っていきたい” と感じる見た目であること(難易度★★★★★:前略)
2.持ち手が木製または竹製であり、Jの字の形あるいは腕を通せる長さの紐がついていること(難易度★★★★☆:紛失防止、持ち歩き時の使いやすさ)
3.UV遮光率が99%以上であること(難易度★★☆☆☆:日傘としてのポテンシャル)
4.価格が5,000円以下であること(難易度★☆☆☆☆:紛失時の悲しみ回復度合い、あくまで消耗品であるという認識から)
5.2段折式の折りたたみ傘であること(難易度★★★☆☆:出先での畳みやすさと傘のシルエットの好み)
難易度を星5つで示したが、条件3〜5をクリアする製品は少なくなく、やはりボトルネックとなるのは条件1と2のデザイン性である。加えて条件1が厄介なのは、条件2〜5のように客観的に数値化できる条件でなく、自らの感性に響くかどうか、というなんとも不安定で曖昧な要素であるからだ。
そんなこんなで夜な夜なネットショッピングサイトや画像共有アプリを徘徊したり、出かけた先の店舗で大体入り口付近に掛けてある傘コーナーを物色しては、「実際に開いて見てくださいね〜」などという店員の声を受け流しながらボタンを外してみたりする。
結局買わず仕舞のまま7月も末に差し掛かり『日傘セール』なんてものが始まってしまった頃、暫定的に今まで使っていた『日傘使用メインの雨傘兼日傘』を電車に置き忘れた。
それは2018年夏に3,500円程度で購入した、晴雨兼用の折りたたみ傘。6枚で構成される傘布のうち2枚がベージュ、4枚が黒というバイカラーの色調が気に入って買ったものだった(条件1,2,4,5をクリア)。
『晴雨兼用』をいいことに、2019年夏には専ら雨傘としても常用していたことから石突付近にカビを生やしてしまった上に、カバーも紛失していたことから特段心残りもなかった(残しておく必要のない過去の恋愛の記憶も付随していたことも後押し)。もういいや、と半ば放り投げるような気持ちで紛失 “させた” のかもしれない。
しかし2020年夏は例年にない猛暑。世間の自粛モードで出かける機会も少ないといえども、少し外へ出ようものなら汗が吹き出す。日焼け対策がしたいというよりも日陰が欲しい。先述のセールやら何やらに乗っかってもう何でもいいから買ってしまおうか、と考えていた矢先、不意に出会ったのがソフトクリーム柄の日傘である。
か〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
なんだこれ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ソフトクリーム???しかも溶けてる〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かわいいいいい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜買う(強い意志)
この製品、傘表の色が黄色・ネイビー・赤・水色の4色展開、傘裏は『○△□』『電球』『ソフトクリーム』というどれもこれも他の日傘では見たことのない色合いと柄。
迷いに迷った挙げ句(15分程度店頭で立ち尽くす)、ソフトクリーム柄のネイビー色のものを購入した。
「私が日傘に求める5条件」についても、ほぼすべて満たすものであり、もう最高な日傘に出会えたぜバンザイとしか言いようがない。
1.模様や柄がシンプルでありつつも、“外出時に持っていきたい” と感じる見た目であること ⇒◎
2.持ち手が木製または竹製であり、Jの字の形あるいは腕を通せる長さの紐がついていること ⇒◯(デザイン的にプラ製の持ち手のほうがしっくり来るものであり、長めのゴム紐がついているのでOK)
3.UV遮光率が99%以上であること ⇒◎(遮光率99.9%)
4.価格が5,000円以下であること⇒◎(3,200円+税)
5.2段折式の折りたたみ傘であること⇒◎(二段階式折りたたみ式、しかもネームバンド幅が広い)
なお、今回購入したソフトクリーム日傘の392 plusmというブランドを展開するのは、大阪に本社を置く創業70年近い老舗洋傘メーカーの株式会社三国(https://www.mikuni-umbrella.com)。
グッとくる見た目だけでなく、日傘としての機能性をしっかりと備えた意匠は、その歴史あってこそなのかもしれない、と少し深読んでみたりもした。
冒頭では、日傘の “フェミニンさ” について少し苦言を呈したが、この猛暑によって日傘を使用する層が広がり、そのデザインも多様化してきているのかもしれない。
また以前であれば、人が多くいる場所での日傘使用は、ときに白い目を向けられうる対象となっていたが、今年の夏は『日傘を使用することによるソーシャルディスタンスの確保』と謳われたりもしているようで、切り口を変えれば見方も随分変化する、ということを感じている2020年夏の昼下がりである。
【小越悦子日傘歴】
2010:日傘デビュー(通学時使用、MONO COMME CA黒地に白ドット柄)
2012-2017:日傘未使用で元気に過ごす。なんとなく日傘を探したり、時に家族所有の日傘を借りることも。
2018:日傘探しに奮闘。晴雨兼用日傘を購入。
2019:2018購入品にカビを生やす。
2020:ソフトクリーム日傘購入。
【参考】
「ミラトーレ折りたたみ傘「2段折」と「3段折」の徹底比較!」小宮商店楽天ショップ. https://item.rakuten.co.jp/komiyakasa/c/0000000238/, (2020.8.16閲覧)
「傘の各部位の名前と取扱説明」心斎橋みや竹公式ホームページ. https://www.kasaya.com/takumi/manual/02.html,(2020.8.16閲覧)