目がはれる毒の木・ミフクラギ
人は生きていく上で、危険なものを知っておかねばならない。車、海、火、ハブ、ハチなど。同様に、危険な植物も知る必要がある。沖縄を代表する有毒植物が、ミフクラギ(別名オキナワキョウチクトウ)だ。枝葉や果実を傷つけると、有毒の白い汁が出る。
これは友人の体験談。結婚式の出席で本土から沖縄に訪れ、ホテルの庭でテニスボールサイズの赤い実をみつけ、何の実だろう? と触っていたら、結婚式が始まりそのまま参列。感動して泣いてしまい、手で涙をぬぐうと、目の周りが赤くはれ、翌日は皮がむけたという。目がふくれる木 → ミフクラギ、という名の由来に納得する話だ。特筆すべきは、有毒樹木がホテルの庭にあったこと。ミフクラギは花がきれいで、樹形も整う丈夫な木なので、緑化樹として植えられるのである。
沖縄県内のある公園では、ミフクラギの実を幼児が誤食し、救急搬送されたことから、公園内のミフクラギをすべて伐採する事態になった。被害者は気の毒だが、公園側の対処に筆者は賛成しない。なぜなら、ミフクラギとその仲間は沖縄〜熱帯アジア各地に植えられており、沖縄の海岸林にも比較的普通に生えているからだ。
つまり、沖縄で生きていく上では、ミフクラギを知り、気をつけねばならない。それを教えることこそが、公園や学校、家庭の役割ではなかろうか。
同様のことが、公園や米軍基地周辺によく植えられるキョウチクトウ(世界各地でも植えられる)や、沖縄の山野に生い茂るクワズイモにも当てはまる。これらの有毒植物を知らない人による中毒事故が増えたら、それは「もっと自然を学びなさい」という警笛と思いたい。
沖縄の木の見分け方や特徴を詳しく知りたい方は、奄美〜八重山の自生樹木全種を収録した著書『琉球の樹木』(文一総合出版)や、草花も含め1000種掲載した著書『沖縄の身近な植物図鑑』(ボーダーインク)もぜひご覧ください。
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