見出し画像

インフルエンザワクチンを受ける4つのメリット

ここ数年間は、コロナウィルス感染症に対するマスクを含めた感染予防対策の効果からか、流行をよく抑えられてきたインフルエンザですが、今年は既に流行していますね。
WHOの報告によると、世界での季節性インフルエンザは、年間なんと約10億例とのこと。うち、300万~500万が重症化し、(肺炎のような)呼吸器系の疾患で29万〜65万人が死亡しています。

今一度インフルエンザワクチンについての基礎的なところを簡単に振り返りましょう。



インフルエンザワクチン接種で享受するメリット

1: 感染するリスクが減る。

インフルエンザそのものが発症するリスクが減ります。例えば、2019-2020年のアメリカのデータによれば、インフルエンザワクチンは推定750万件のインフルエンザ発症を抑えたと推定されています。すごい数ですね。

2: 感染した場合でも症状や重症化を減らす

ワクチンを打ったからといって、完全に発症を防ぐということは難しいです。しかしながら、たとえ感染した場合でも、ワクチンを受けていると症状や重症化が減る可能性が上がります。多くの研究で、ワクチン接種を受けた患者は、接種を受けていない患者に比べて集中治療室(ICU)への入院や死亡のリスクが低下したと言われています。

3 : インフルエンザによる合併症のリスクも下がる。

インフルエンザワクチンは、特に特定の慢性疾患を持つ人々に大きな予防効果を発揮すると考えられています。インフルエンザそのものだけでなく、インフルエンザによって引き起こされる合併症の危険性も下げることができると言及されており、心臓の疾患を持つ人のうち一部の心臓病の発生率を低くした、あるいは慢性的肺疾患の急性増悪のリスクを削減したなどの報告があります。

4:社会全体の健康に貢献できる。

ワクチンを受けることで、自分だけでなく、周りの人々も守ることができます。感染拡大を抑えることができる集団免疫の形成に貢献することで、学校の休校や仕事を休むことによる経済的損失の減少も期待できます。

ワクチンの持続期間

インフルエンザウィルスは毎年変異するため、残念ながらワクチンの効果の持続期間は、だいたい1シーズンです。毎年新しいワクチンを打つことが推奨されています。

ワクチンの副反応

ワクチンを受けると接種部の腫れや痛み、発熱などの軽い副反応が出ることは確かにあります。しかし、これらは一時的なものがほとんどであり、重篤な副反応は非常にまれだと多くの研究で示されています。医学なので100%大丈夫ということは言えないですが、利益とリスクを天秤にかけると、ワクチンの受けるメリットの方が大きいと考えられます。
ワクチン接種の前には、重大なアレルギー反応の経験があるか、過去にインフルエンザワクチンから副反応が出た経験があるかなど、病歴をしっかり伝えることが大切です。重篤なものとしてはアナフィラキシーが有名ですが、アナフィラキシーが起きてしまったら、アドレナリンという薬を迅速に筋肉注射して治療します。


まとめ

インフルエンザワクチンを受けると、
1: 感染するリスクが減る。
2: 感染した場合でも症状や重症化を減らす
3 : インフルエンザによる合併症のリスクも下がる。
4:社会全体の健康に貢献できる。
などのメリットがあります。

インフルエンザワクチンは、私たち個人、そして社会全体の健康を守るための重要な手段です。その予防効果についての確かな根拠は存在します。インフルエンザにかからないことで、日常生活や仕事、学業を思う存分楽しみたいものです。
当院でもインフルエンザワクチンの接種を開始しておりますので、接種ご希望の方は、ご予約またご来院をお待ちしております。

参考文献:

1:World Health Organization. Influenza (Seasonal). WHO, 2022.
2:Centers for Disease Control and Prevention. Vaccine Effectiveness: How Well Do the Flu Vaccines Work? CDC, 2021.
3:Centers for Disease Control and Prevention. Possible Side Effects from Vaccines. CDC, 2019.
4: Fine P, Eames K, Heymann DL. “Herd immunity”: a rough guide. Clinical Infectious Diseases, 2011.


わたライフクリニックHP


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?