マシューボーンの「ロミオとジュリエット」2024420

自分の中でマシューボーンと言えば、「精神病院が好きなちょっと小難しい話を作る監督」でした。

映画「アーガイル」の監督も務められていたそうで、
「アーガイル」役と「マシューボーンの白鳥の湖」で主役をされていた方が同じで、それがマシューボーンである。というトンデモ勘違いをしていた私は「アーガイル」を見た後「マシューボーン鬼かっこよくなかった?!」と周囲が二度見するような感想を歩きながらまき散らしていたのはさておき。

マシューボーンは「アーガイル」のイケメンではないらしい。という新たな情報を手にしたところでいざ本作へ

今回の「ロミオとジュリエット」
話、めちゃ分かりやすかったです。
前回の「白鳥の湖」は終始「????」だったのですが、今回は夏場の冷や麦くらいするする入ってくる。脳みそに。

クラシックバレエ版と同じくプロコフィエフの音楽を使いながら、もちろんただの「ロミオとジュリエット」ではない。

舞台は14世紀のイタリアではなく、近未来。反抗的な若者たちの矯正施設“ヴェローナ・インスティテュート”で物語は繰り広げられる。

対立するモンタギュー家とキャピュレット家という存在は無いが、理不尽な抑圧の中で若者たちが抱える生きづらさは共通のテーマだ。

原作ではジュリエットに密かに想いを寄せる従兄のティボルトは、ここではジュリエットを蹂躙する看守であり、二人の恋人たちを支援するローレンス神父は女性に変わっているものの頼れる存在のまま、そしてロミオの親友であるマキューシオはゲイとして描かれていたりと、マシュー・ボーンならではの“ずらし”を発見するのも楽しみの一つかもしれない。

https://horipro-stage.jp/stage/mbrj2024/

場所もキャラクターも全然違うのですが、話の流れ方がおんなじ。崩す?変える所と同じにする部分が絶妙で、すんなりとみる事が出来ました。

理解のしやすさって舞台を見るうえで割と大切だと思うんです。
「?」ってなって、あとからじっくり咀嚼する作品も大好きなのですが、それはあくまでエンディングなどの「一部分」だからこそ。そこかしこで「?」だらけだと、私の様な海馬が2㎝くらいの人間には厳しいのである。

マキューシオが個人的に良かった。あーいうせくしぃで触れたら切れそうな危なっかしさとアツさをもつキャラクターすきなんだよなぁあたしゃ

看守、恐怖

先日、点滅する青信号を走って渡ろうとした際に比較的普通体形の男性と軽くぶつかってしまったのですが、非常に痛かったんです。
人間という物体は、速度を上げるとここまでの破壊力を持つのか。とびっくり。

そんな経験をしていたので、看守役のアダム・ガルブレイスさんが怖くて仕方がない。

演者さんも、ぶち切れ看守が突進してくるシーンとか役としてじゃなくて本気で肉の塊によるもらい事故にびびってるんじゃないか。と余計な推測をしてしまった。

看守のレイプされたトラウマからロミオが看守に見える幻覚におびえるジュリエット。観客自身もロミオが消え、看守のみが視界にうつることでまるでジュリエットの視界をシェアしているような気持になり、彼女の世界の恐怖を味わうことが出来ます。

何よりも愛する人を自らの手で殺めてしまうジュリエット。そしてそれを責める態度はおくびにも出さずに優しく受け止めるロミオ。彼は彼女を愛していて、彼女の抱える辛さを理解しているからこそとれる態度に思わずうるっときてしまった。

驚きの身体能力

簡単そうにするのがプロだとよく聞くが、今回のダンサーさんたちはまさにそれだと思う。

なんだか簡単そうに体を動かしているのだが、それを自分が今から踊る前提でひとつひとつ見てみると、一動作目から関節が悲鳴をあげ、靱帯がミシシといいそうな動きをされている。人間ってこの角度まで反れるんだぁ。へぇっこんなにGに対抗できるんだぁと可能性を突きつけてくださる。
ちょっと日常で重い物持ったくらいで腰が、、と言ってる自分が情けなくなってくる
頑張ろう人類

そんでもってみなさん美脚。余計な脂肪のない磨き抜かれた美しい筋肉のおみあし。


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