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虫垂炎になって謝罪を求められたこと

 急性虫垂炎で入院した。本当に痛かったけれど、病院に入ってからは熱が出たりしている上に絶食中でただひたすらぼんやりしていた。緊急で運ばれて入院するっていうのは結構悪くなっているものだと実感した。虫垂炎みたいな症状はストレスで免疫が弱っていると出るという説明を聞いていたので、これもうつ病の延長上にあるんだなとぼんやりしていた。兄姉には入院したことは黙ったままで、取り敢えず母にだけ電話をして、急性虫垂炎で入院したことだけ知らせた。北陸に住んでいるので都内に出てくるともあまり思っていなかったが、代わりに母方の叔母が様子を見にくるという話になった。必要なものはみんな持ってきて、誰かが来てもこなくてもあまり変わらなかったけれど、3日後に様子を見にきてくれるらしかった。

 24じかん天敵に繋がれていての絶食生活はお腹が空いたとかそんなことは全くなかったけれど、とにかく飲み物を飲みたかったのが辛かった。口の中をすすいでなんとなく騙し騙し過ごしていた。そうこうしているうちに週が明けたら食べられはしないけれど、水分ならとってもいいという話になった。糖分などの入ってない飲み物ならなんでもいいというので、売店で売っている無糖のアイスコーヒーを飲んでいた。

 そんな時に叔母が顔を見にきてくれるというので、くる途中にあるタリーズでアイスコーヒーをお願いすることにした。叔母がアイスコーヒーを持ってきてくれて、ラウンジでコーヒーを飲んでしばらく一緒に過ごして帰っていった。

 誰の手も煩わせず一人で入院できるものだなと思っていたけれど、私の様子を見に来た叔母が母や母の従兄弟とのグループラインで突然母の従兄弟のおばさんに、私が母に心配をかけたのだから謝罪すべきだと言われて驚いた。まさか、急性虫垂炎になったことで誰かに謝らなければならない状況に陥るとは思わなかった。私が怪我を顧みず何か無茶なことをした挙句に怪我をしたというわけでもなく、なんだったらこの類の虫垂炎はストレスで免疫が落ちるとこういう症状が出ることと、そういうときは患部がないので手術をしないという選択をとられたこと、もし再発したら同じ状況でも手術するという話までされたのに。

 毎月風邪をひいたり百日風邪になったり、2週間くらい熱が下がらないという日々が続いて、色々検査をしたり私が祖母の面倒を見るので大変な思いをしているということなどを考慮されて、心療内科に行くように言われた挙句に鬱病になったということも背景にあったし、原因不明の腰痛もうつ病から来てるということもあったので、ストレスやうつ病的なものが健康を害するのは身をもって知っていたけれど、ここで同じ原因で虫垂炎になってもあまり驚かなかった。でも、虫垂炎になって親に心配をかけたからという理由で謝罪しろと言われたのは驚いた。私がグループLINEで謝らないと収まりそうになかったので何のために謝っているのかはわからないけど、一応形式上謝った。でも、心の中でうんざりしていた。

 退院して、いつも行っている鍼灸の夫婦でやっている先生のところで病院に入院した経緯と、自力で全部準備して誰にも頼らないでうまくやって退院した話をしたら先生が開口一番「えらい!」と言ってくれた。全部一人でやって偉いと。そして私が謝罪を求められたことに関しては意味がわからないと言ってくれた。突然救急で病院にいくような人が何から何まで全部自分で準備して誰の手も借りないでなんて普通はできないんだから気にしないでいいと言ってくれた。そういう風に言ってくれる人がいてよかったと思った。



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