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就職できない私

 

 就職できない...
 就職できない人 特徴...
 就職できない 死ぬしかない...
 就職できない 無能...

 私みたいな就職できない人はどんな風に思っているのかと思って、ググってみた。スマホに「就職できない」って入力しただけで、いろんな候補が出てきた。私みたいに思っている人はいなくはないんだなとぼんやりと思う。
 働きたくないわけではないけれど、とにかく仕事を得るための就職活動がうまくいかないのだ。世の中で就職活動でどんどん受かる人というのは一体どんな風にしているのかわからない。

 アメリカで大学と大学院まで出て、就職活動をしたけれど仕事を得ることができず、母のつてでアルバイトをしながら、最初の派遣の仕事につくまで一年以上かかった。怠けていたわけでもないけれど、履歴書を送ったりするのは別として、延々と落とされ続けると一体何が悪いのかわからない。世の中に、就職活動の面接で落とされた試しがないという人に会ったことがあるけれど、どうしてその人がそういう風にいられるのかさっぱりわからないまま最初の就職活動は終わった。

 大手の企業での派遣社員の仕事だったため、派遣会社が会社に子会社として入っていた。働き初めてしばらくして、事務的な手続きをしたときに面接を担当した四方田さんに偶然会った。挨拶をして、新しい環境や、同僚の派遣会社の人のこと、仕事のことなどのことを少し話した後に思い切って聞いてみた。
「一つお聞きしたいんですけど、どうして四方田さんは私のことを採用したんですか?今までずっと就職活動をして散々面接もうけていたんですけど受からなくて、どうして落ちたのかもわからなかったので、どうして採用されたのか知りたいんです。」
理由として彼女が言ったのは「なんとなく、ちょっと変わった人が欲しかったの。」だった。
 なんとなく変わった人が欲しかったというそんな理由で採用された私は、働き初めて意地悪されることが多かった。ちょっと変わった人だったから意地悪されることが多かったのかどうかはさっぱりわからなかった。殆どの派遣社員の人は満期まで働くことなく辞めて、私はというと結局満期までは働いた。次に就職活動するまでに10年近くかかることを知らずに。

 


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