2022J1第17節
行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。よどみに浮ぶうたかたは、かつ消えかつ結びて久しくとゞまることなし。
盛者必衰の色が殊更強いJリーグを年間全試合観るにあたり、(DAZNの視聴期限が来ても)あとで振り返るための外付け・記憶の引き出し。個人的に好みだったシーン、"おっ"と思ったシーンを節ごとに格納していきます。需要は私自身にあります。
清水×福岡
福岡:CBは奈良とグローリ。左SHには北島。北島を除けば中断前の浦和戦と同じスタート。
40'00"
権田から始まったゴールキックを受けた立田にSHの北島が詰める。斜め前の片山へのパスコースを見せておいて、運ぶドリブルで逆を取ってラインを越える。
軽いキックフェイントのモーションで中村の足を止めて脇の白崎へ、中村が惑ったところでリターン。
割れたCHの間をさらに運んでハーフウェイラインを越えたことでグローリの足を止め、その背後へ斜めに走った神谷へ右足アウトサイドで鋭いスルーパス。奈良を釣り出す。
志知がCB2枚不在のエリア内へカバーに走り、ビハインドサポートに入った西澤と神谷、奈良で2対1。
余裕を持ってクロスが上がり、福岡のエリア内はグローリがニア、志知と前嶋がファーに立つスクランブル。
西澤の高速クロス、サンタナの当て勘も優れた個の技術だが、立田のラインを二つ越える見事なプレービジョンと神谷のフリーラン、福岡の一番嫌なところに一番怖い選手が立った的確な役割遂行。清水はチームとして必然の得点。
湘南×FC東京
東京:右のIHに渡邊凌磨。WGは右に永井、左にアダイウトン。右SBは長友でなく中村帆高。
10'50"
ハイボールを丁寧に大外の中村に落とす永井。中央からディエゴオリヴェイラと永井のコンビネーション。舘のナイスカバー。
12'50"
町野がIHとSBの間に下り、対応した森重と木本の間、青木の背後に斜めに抜ける瀬川。
17'00"
田中の利き足を囮にしたさりげないフェイクとターン。安部を外して逆サイドへ届ける。
18'30"
田中聡の球際のうまさ。先ほどとは逆に安部の眼前にボールを晒す形となるが、とっさに増やしたワンタッチと180°以上に身体を開いて相手の矢印の外に逃す身のこなし。
鹿島×京都
京都:長井、井上、麻田の3バック。川﨑と金子の2CH、右のアウトサイドは飯田。シャドーに豊川と荒木大吾。
42'00"
仲間の力強いプレスバックでボールを奪うと、ピトゥカから2人のチームメイトを飛ばして一番遠いところ、最終ラインの間を割って大外に届けるスーパーなフィード。視野の広さとチョイスまでの早さ、迷いのなさ。
52'20"
和泉のサポートが早く見つけたスペースも的確。奪ったところから迷わずカイキを追い越し大外で深さを取った安西のスプリント、真後ろからのパスを受ける身体の向きの作り方と加速。
磐田×鳥栖
鳥栖:右のWBが飯野でなく原田。前線はトップに宮代、シャドーに堀米と小野。
12'10"
中盤右でのセットプレーからサイドを厚みをもって攻略。遠藤の立ち位置で相手を動かし、距離のある上原までのパスコースを創出。レイオフで前向きの吉長に時間。
ゴンザレスが下りて田代を引き連れた裏のスペースに山本義道と上原がスプリント。
ファンソッコの背後に隠れたところからニアへのクロスに飛び出した鹿沼、クリアのこぼれを拾って冷静にアシスト。
26'30"
鹿沼が右に展開し、クロスに対して自ら飛び込んで追加点。ジエゴの出た裏、小泉のカバーが間に合わないところに流れた上原からのクロス。ゴンザレスが田代とファンソッコの2人を引きつけて潰れ、そのすぐ背後に入り込んで合わせる。
46'35"(AT)
右HVの位置まで出たGKの朴一圭、大外に斜めに下りた小野。入れ替わりで高い位置をとったファンソッコをめがけたボールはカットされるがすぐに小野が回収。
松本と入れ替わる形となったためグラッサ・伊藤に対して小野・宮代・岩崎で数的優位。右と同様にやはり最前線まで出てきていたジエゴがニアに相手を引っ張り、空いたファーサイドで堀米が折り返し、宮代が押し込むもハンドの判定でノーゴール。
52'00"
縦の動きで吉長から距離を取って受けた小野、内から外へ裏抜けの動きを見せて山本義道を引っ張ったジエゴ。
2人の連動で大きく空いた伊藤と山本の間を通す小野のスルーパス、斜めへのランニングで走り込む垣田。
76'15"
鳥栖がワンタッチプレーの連続で完全に崩す。磐田のCH2枚の間に立ってワンツーからHVとCCBの間を攻略。
浦和×名古屋
名古屋:ランゲラックが離脱中でGKは引き続き武田。左は相馬で、マテウスの相棒は石田凌太郎。
08'45"
ショルツがマテウスの脇を持ち運ぶと、仙頭は向かってくるショルツと開く伊藤で迷い、レオシルバ脇に立った大久保へのパスコースを塞げない。バックステップを踏みながら利き足をシルバから遠い方に持ってくる大久保の受け方。
09'30"
ショルツから伊藤に入ったボールに対して詰める14番・仙頭。そうして空いたスペースに下りて受ける大久保。仙頭に二度追いさせて伊藤経由でショルツへ戻し、大久保と伊藤が内外を入れ替えたところでマテウスと仙頭の立つレーンが重なった。
そこでやむなく前に出てきた相馬をサポートに入った伊藤でいなし、相馬の背後で待つ宮本へ。
中盤3枚をまとめてボールサイドにスプリントさせたことで、2トップの背後で余裕をもって受ける岩尾が明本へ展開。
11'45"
ダブルタッチで相馬をかわし、狭いところをさらに外へ丸山をかわしにかかる大久保。
15'00"
岩波から伊藤を飛ばしてショルツへ。宮本が裏へ向かって走り込むことで大外の相馬を引っ張ってDFラインを崩し、伊藤が宮本のいなくなった内のスペースに立つことで丸山を引き出しながら壁役としてショルツとワンツー。大外で仙頭を外したショルツにフリーで渡すための連携。
16'00"
右サイド、広い方への展開を匂わせながらのキャンセルを二度駆使して浦和のチェックを外すレオシルバのうまさと落ち着き。
26'45"
稲垣のリーチの内側に入る瞬間での大久保の加速と丸山の動きを読んで少し浮かせて残した足をかわすキレ。
35'15"
予測と的確な"壁"の形成で伊藤がトランジション直後のマテウスからボールを奪い返すと、大久保が狭いところを3人剥がして切り崩す。
関根が空けた大外のスペースに江坂が開き、ペナ角に立った関根へ。最前線から戻りながら壁役になった伊藤と横→縦のワンツーで完全に抜け出すと、飛び出した武田の股を抜いて追加点。
45'10"
右サイドでの即時奪回と広い方への江坂の展開。関根と大畑がシンプルに2対1を生かしてあわやPK。
右足を振れる江坂がホットゾーンから一歩引いた位置に待っていること、逆足カットインのある関根を左に置いていること、大畑のコース取りの賢さが出た。
47'00"
ショルツ、岩波で相手の前線を引きつけておいて岩尾がワンタッチで逆サイドへ。森下を巧みにかわして裏返す。預かった関根は今度は外を走った大畑を囮にしてカットインからクロス。当たり損ねも、ニアに江坂、中央に明本、ファーに宮本、マイナスに大久保と、速い攻めにもかかわらず人数は揃っていた。
48'00"
左サイドで追い詰められたように見えて関根から内へのパスで回避。素直に近くの岩尾で良かったように思えるが、ハイボールのこぼれを拾って江坂。レオシルバ、仙頭を裏返して奥の大久保。
49'40"
大畑に森下が出たところでその斜め後ろ、CHの手前に顔を出す江坂と森下の空けた大外のスペースに下りる関根。大畑のチョイスは江坂のハンドサインもあり関根、出張って対応した中谷をターンと江坂とのパス交換の組み合わせで剥がして裏へ。ホールディングでのイエローを誘発。
51'30"
タッチライン際、森下から絶妙な縦パスを受けたマテウスが個人のスキルと身体の強さ、加速性能、阿部とのコンビネーションを活用して一気に浦和を背走に回らせてマイボールのFKを獲得。
57'30"
西川から岩波、伊藤、大久保、江坂と名古屋のラインを越えながらパス交換して速いボールでサイドを変えて関根。惜しい展開。
59'40"
岩波から難しい身体の開き方で関根へ、相手を引きつけて落として前向きの岩尾へという狙い。惜しい。その後の岩尾と大畑のリカバリへのアクションの早さも素晴らしい。
大畑のクリアボールを懸命に収めた江坂、間でポジションを取った大久保とよく見ていた大畑。左斜めに運びながら右を使うタイミングもよく、伊藤から駆け上がった宮本、クロスを流し込むタイミングも絶妙。
60'30"
右を独力で抜けたマテウス、対応した関根と入れ替わってマイナスのクロス。絞ってきていた宮本が阿部のシュートをブロック。宮本は右にボールが出た時点で一度、マテウスが関根と対峙したタイミングで一度首を振ってマイナス方向(阿部)と自分の裏(大外)の状況を認知して思いきって絞っている。
63'15"
内田がハーフレーンを下りてきて脇のサポート、大畑、岩波の食いついた裏へワンツーで森下を抜け出させる。
76'00"
岩波からのパスを受けて引き足のターンで内田を剥がした柴戸。関根がカットインから大外の宮本へクロスは前半にも見られた狙い。
80'20"
西川からのロングフィード、前で触ろうとする森下に対する明本の身体の当て方、その後のすり抜け方と、ボールとの間に身体を入れた上で減速して後ろから上体を突かせるファールのもらい方。
82'00"
名古屋ボールになった瞬間に前を塞ぐモーベルグ、続いて中谷に縦方向を諦めさせる柴戸の詰め方。2人ともサボらないだけでなく勘所をわかっている。
82'20"
63分と同じように森下に対する内田のサポート、岩尾を引きつけてワンツー。明本が遅れて対応した裏をさらに斜めのランで突く阿部、長い距離を早めの察知でカバーした柴戸。
84'45"
インナーラップから外に流れた明本への警戒を逆手に取った松崎の右への進路変更で相手を出し抜いてサイドを変え、モーベルグと江坂のコンビネーションで惜しい崩し。
川崎×札幌
札幌:3バックの中央に岡村、宮澤がCHで荒野と組む形。最前線に興梠。
19'15"
山根のプレスバックから家長→脇坂のターン、チャナティップからチャレンジの縦パスを二度試みて札幌の最終ラインに負荷をかけ、クリアしきれないものを橘田がフィニッシュ。
23'50"
岡村からのフィードを人数のいるところに落とし、球際の技術で勝って縦に速い攻め。青木を追い越した金子を使ってエリア内からのクロスまで。アンカー、SBが強く出るところを耐えて裏返す狙い。
25'45"
大島の個人技での股抜き、札幌に深追いさせるような中央での家長の緩いボールの落とし。ハーフレーンのチャナティップと大外の知念との連携で最終ラインを晒すところまで。
41'00"
チャナティップが厳しく寄せたところから橘田のアンティチポ。正面、タッチライン際に構えた遠野から内の大島を経由して最終ライン上から手前に顔を出した知念へ斜めのパスを刺す。岡村が戻りきれていない中、田中、宮澤、福森、菅とジグザグと生まれた最終ラインのギャップを見逃さなかった家長。
広島×C大阪
C大阪:丸橋に加えて山中が負傷離脱。西尾がスクランブルの左SBをつとめる。前方でコンビを組むのは為田。最前線はブルーノメンデスに代わっている。
77'20"
ドウグラスの落としをワンタッチで繋ぐ森島の状況把握と技術。満田、ドウグラスと繋いで右への展開、ストロングである藤井の縦への仕掛けを餌に、セレッソの5-3,6-2のようになったブロックの外から野津田のゴラッソ。
G大阪×横浜FM
横浜:小池龍太は負傷離脱であることが発表された。畠中がスタメンに戻り、岩田がポジションを上げる。左のWGにエウベルも復帰。
18'45"
高丘がボールを持ったとき、CBがPA幅に開き、中央に立った渡辺がハーフレーンにバックステップ、岩田が逆のレーンに斜めに下りたことで西村への花道を空ける。岩田もハンドサインで西村へのパスを指示している。
ワンタッチで捌いて裏返し、水沼とレオセアラが右サイドの数的優位を握ってエリア内のフィニッシュまで。
55'30"
渡辺が右へ展開し、奥野を追い越すスプリントで自ら長い距離を斜めに走ることで大きな三角形の2頂点を兼ねる。藤春が内を埋めようとしたことで水沼がフリーになり、高精度のクロスをファーのエウベルへ。こぼれ球に対して渡辺が反応して折り返し、同点弾。
柏×神戸
神戸:3-5-2(2トップ縦並び)の新基軸。3バックの中央に大崎が入り、郷家が橋本とともにIH起用。イニエスタがアンカーの両脇を状況に応じて使う。
27'20"
山口の頑張りから、酒井の縦を見せて外に角度をつけて出ていく憎いフェイク、預けた後の加速。
イニエスタの右足アウトで狭いところを抜く技術も、橋本を使う酒井の落ち着きもレベルが高い。
53'00"
椎橋の脇にバックステップでポジションを取ったイニエスタ。
武藤が最終ラインを押し下げ、椎橋がイニエスタに寄せた後のスペースに山口、その狭いところを通したパス、止まることで自分のスペースを確保した武藤。
前に出ながらの難しいタイミングだったが滑らかに身体を倒して松本のビッグセーブ。
74'50"
汰木の立ち位置でマテウスサヴィオを中央へ寄せておいて、初瀬から斜めに抜けた汰木へ左足で流し込むスルーパス。ニアに走り込んできて相手と競りながらボールを収めた大迫のポスト、段違いで入ってきた武藤の左足フィニッシュ。
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