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ドイツのチーム 練習の長さと頻度

はじめに

質より量、たくさん練習することが美学として褒められ、日本でいう強豪高校はそろって厳しい、長い練習をしてきたことが当たり前の時代がありました。近年でも真夏での長時間練習や練習環境が悪い(炎天下や高温多湿の室内など)中で練習が行われ、熱中症になってしまし病院搬送されたという悲しいニュースが毎年のように流れます。

ここドイツでは実際にどれくらいの長さで、またはどれくらいの頻度で練習が行われているのでしょうか。


練習時間と頻度はレベルや年齢によって異なる

実際の数チームの時間頻度と練習時間(2019/20シーズン:成人)
・チームA :ラインランド地区(5部リーグ):週に3回/ 90分
・チームB:ラインランド地区(7部リーグ):週に3回/ 90分
・チームC:ヘッセン地区(7部リーグ):週に3回/ 90分
・チームD:ヘッセン地区(8部リーグ):週に3回/ 90分
・チームE:ヘッセン地区(9部リーグ):週に2回/ 90分

成人においては、5部リーグ以下と4部リーグ以上で練習頻度は大きく異なります。5部リーグ以下はアマチュアリーグとなりますので、アマチュアチーム、アマチュア選手がメインとなるのでサッカーを中心に生活している人はほとんどいません。他に仕事をしていたり、学生だったりするのでメインとなる生活に支障が出ない頻度として週に3回、90分という設定が平均的な頻度と時間になると考えられます。

4部以上ではプロチームも多く、サッカーをメインとしている生活しているプロ選手が多くなりますので、練習頻度や時間、内容等はプロと変わらない設定をしているチーム多くなります。


日本で長いとされている高校生年代ではどうでしょうか。ドイツのU17(2部リーグ)に参戦しているチームで調べてみました。

年代:U17(2部リーグ) 
チーム選出:3地区から11チーム(2チームは頻度のみ記載)
頻度:週4回→4チーム / 週3回→7チーム
1回の練習時間:45分→1回 / 60分→1回 / 75分→1回 / 90分→17回 / 105分→6回 / 120分→4回
※クラブH.P.調べ、1回の練習時間は9チーム(全30回)参考

練習頻度は週に3回、1回の練習時間は90分に設定しているチームが多かったです。週に4回行っているチームは3回を長めに行い、1回を短く設定しているチームもありました。

練習の頻度と時間に関してドイツと日本で大きく異なるのは週末の練習です。ドイツでは週末に練習を行うという話はほどんど聞きません。ましてや1日に3時間、4時間の練習、弁当持ちでの2部練習ともなると全く聞いたことがありません。ドイツでは年間を通じてのリーグ戦が主流で、各チームで抱える人数もU17では20名程度です。同じ年代で多くの選手を抱えるクラブ2軍、3軍とチームを保有し、それぞれにメインのコーチがいて、別チームとして活動しています。

平日に練習を行い、週末には試合がある。この環境が小さい頃から当たり前のドイツでは自然と平日の練習から週末の試合にピークを持っていくという感覚が身についているのかもしれません。


最後に

近年ではドイツ、日本に限らずサッカーの試合が90分だから90分間練習を行うという話もよく耳にします。

しかし、実施に成人の公式戦でプレーし続ける時間は45分を2回で90分というのは間違いありませんが、間にハーフタイムがあり、試合前にはウォーミングアップもあります。30分のウォーミングアップをしたと仮定すると30分+45分+15分+45分で135分(2時間15分)となります。また年代によっては試合時間も異なるので一概には試合が90分だから90分の練習とは言い切れない部分があるでしょう。

ドイツの指導者(ドイツサッカー協会公認A級ライセンス保持者)曰く、「サッカーの試合が90分だから90分の練習という理由もあるが、実際は時期、曜日、集中力、疲労度合い、目的によって75分の時もあれば、2時間(120分)行う時もある。時間は監督が決める。」とのことである。

また多くのチームを抱えているクラブではグランドが使える時間も限られてきます。全てのチームが練習時間を確保するために時間を90分で区切っているクラブも多いです。

適切な練習時間を設定できるのも良い指導者の条件となります。長く行えば良いというわけではなく、短ければ良いというわけでもありません。選手のパフォーマンスを十分に引き出すための時間設定も重要な指導者の役割となります。


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