サッカー大国ドイツと日本の育成年代における公式戦の違い
今回はドイツにおける育成年代の公式戦について紹介します。
日本では8人制、11人制という言葉を聞くと思いますが、ドイツでは年代によってさらに細かくルールが定められています。公式戦における日本との違いには以下の点があげられます。
カテゴリー分け
カテゴリーは U19 が育成年代最後のカテゴリーになり、以下2年ごとに U17、U15、U13、U11、U9、U7 と分かれています。
U19をA-Jugend(Jugend:ユーゲンド = ユース)、U17をB-Jugend、以下U15=C、U13=D、U11=E、U9=F、U7=G(Bambini:バンビー二)と分けられています。チームによっては、U15にU15のみで構成されているチームもあれば、U15/14の混合チーム、U14のみのチームなどもあるので、公式戦のカテゴリー分けとしてはA-ユーゲンド、B-ユーゲンド、C-ユーゲンドなどの方がよく使われている印象です。
日本では、U18が育成年代の最後のカテゴリーとなり、以下U15、U12と3年ごとに分けられています。近年ではU16リーグがあったり、ジュニアユース年代ではU14、U13にそれぞれの公式戦があったりしますが、全てが年間を通じたリーグ戦として行われているわけではありません。
人数や時間、ルールなどの設定
11人制に至るまでには9人制、7人制、(場合によっては5人制、または3人制=フニーニョ)で公式戦が行われ、U15(C-ユーゲンド)から11人制となります。
※フニーニョ:ドイツサッカー協会が推奨している3対3、4ゴールで行われる試合
カテゴリーごとの詳細は以下の通りになります。
F-Jugend以下:U9以下 :7人制~5人制 :20分×2 計40分
E-Jugend :U11 :7人制 :25分×2 計50分
D-Jugend :U13 :9人制 :30分×2 計60分 ※少年用ゴール
C-Jugend :U15 :11人制 :35分×2 計70分 ※自由交代
B-Jugend :U17 :11人制 :40分×2 計80分
A-Jugend :U19 :11人制 :45分×2 計90分
・F-Jugend以下:U9以下 :7人制~5人制 :20分×2 計40分
ここで日本と大きく違うのは審判がいないこと、オフサイドがないこと、ファールスローも取らず、ゴールキーパーへのバックパスも可能であることです。交代は自由交代になります。
フェアプレーゲームといい、試合前に公式戦の概要を簡単に説明、開始の合図と終わりの合図を指導者が行うだけで、あとは子供たちで判断します。
日本では子供たちが「マイボール!!」と言い、審判や大人を見ることが多いと感じます。ドイツでは「私たちのボール!!」と言いますが、基本的に相手に対して主張したり、意見を言っているように感じます。もちろん中には双方が言い張る場合もありますが、自チーム、相手チームに限らず、他の子供たちが意見を言ったして解決することが多いです。それでもプレーに移らない場合は指導者が助言し、プレーが再開されます。
7人制ですので、フィールドプレーヤーは6名となります。システムは、3−3 で前と後ろに分けるチームもあれば、2−3−1 など中盤を入れるチームもあります。
・D-Jugend :U13 :9人制 :30分×2 計60分 :少年用ゴール
この年代からオフサイド、ファールスロー、バックパスが取られ、審判が1名付き試合が行われます。交代は自由交代になります。
9人制でフォールドプレーヤーは8名となるので、システムは 3−3−2、3−4−1、4−3−1 など、そのバリエーションも増えます。
最初の方はファールスローも多いため、厳密には取らず、ある程度流す審判もいれば、やり直しをする審判もいます。多くは試合前に両監督と確認して、今日は1回まではファールスローをやり直して、2回連続であったら相手ボールをします。といったやりとりがあります。
・C-Jugend:U15 :35分×2 計70分 ※自由交代
・B-Jugend:U17 :40分×2 計80分
・A-Jugend:U19 :45分×2 計90分
U15(C-ユーゲンド)から11人制となりますが、U15までは自由交代となります。審判は基本的には1名で行われ、U19ブンデスリーガなどのトップリーグは3名の審判で行われます。
最後に
全てのカテゴリーで年間を通したリーグ戦が行われており、年代が上がることによってリーグに参戦する地域の範囲も広がります。U19のトップリーグであるU19ブンデスリーガはドイツ全土に3つありますが、U15のトップリーグはドイツ全土に6つあります。U13では多くが州以下の規模で行われており、年代によって移動にかかる負荷や時間なども考慮さています。
拮抗した中での試合経験が積めるドイツでは、年代、レベル、目的などそれぞれにあったサッカーがドイツ全土で行われています。選手側も自分にあったチームやサッカーを選ぶことができるのがサッカー人口の多さに繋がっている要因の一つではないかと考えられます。
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