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日々のありがたさを忘れそうになったら読んだほうがいい 小川糸さんのライオンのおやつを読み終えて

口では感謝感謝だと言いながら、つい当たり前に日常がある事を忘れてしまう。時間がただ過ぎ去り、過ぎ去った時間はただ消費されるものだと今を大事に出来ていない。明日自分が何処にいるのかも?どうしているのかも考えなくなっちゃう。毎日が平凡すぎる事で…。

平凡すぎると人なんてろくな事を考えやしない。
目を向けるのは常に外ばかり向けている。しっかりと地に足を付けて生きていたとしても、意外と足元を見れていない。今がある事、自分が存在する事、感じれること、目で見れること。その全てが平凡すぎて面白くなくなっちゃう。

人生なんて所詮こんなものだと現実から目を背けてしまう人に僕はこの本を読んで欲しいと思った。この本には生きる大切さを教えてくれる作品です。

33歳という若さで医師から余命を告げられる。末期癌余命が長くないと知った主人公海野雫。残りの人生を瀬戸内にあるライオンの家「ホスピス」で過ごす事になります。
自分を娘のように可愛がってくれた父。幼い頃から孤独だった雫は残りの人生に対して希望を失いつつあった。

ホスピスでは毎週日曜日それぞれの思い出のおやつを食べるという習慣があった。穏やかな瀬戸内の海を眺め自分の好きな様に残りの人生をゆったりと生きる。
そしてそこで関わる多くの人達。その人達もまた様々な想いを抱えてこのホスピスで残りの人生を待っていた…。

この本は非常にスピリチュアルな側面が強い作品です。
人は何処から来て何処へ行くのか?亡くなったら人は何処へ向かうのか?人生というのは何なのだろうか?

決して自分は孤独ではない。自分という存在がいることで人は救われる事もあり、生きていく為の希望に繋がる。

健気に生きようと決めた雫は、日々衰弱していく自分を愛そうとします。そして出来ない事に目を向けるわけではなく、今できる限りない出来事を楽しもうとしています。
まさかそんな事を残り少ない人生で気づくとは…。

思い込みで自分はろくな存在ではないと思い込んでいた時期、自分は愛される事も愛する事も出来ない人間だと思い込んでいた。そんな自分を自分以外の人間が気が付かせてくれる。

人生というレールを歩みながらしっかり世の中は自分自身と繋げてくれる。良いも悪いも自分自身に体験させてくれる。幼い頃に亡くなった雫の母と雫が昏睡状態で出会い話すシーンがありました。

自分よりも遥かに幼い姿で自分の前に現れ、彼女は言います。「あの世に行った日から全てが鮮明に見えるようになった。まるで眼鏡を掛けたようにはっきりと視界見えるように」でも自分という実態があった頃に体験できた出来事が懐かしくなると。

人生というのは楽しい事ばかりではないですが、辛い出来事でしか学べない事があるという事を僕は知りました。
一度は自分自身の生命を無駄にしようとした事もあります。ここで終われば楽になれると思った事もある。
でも僕は出来なかった。いや誰かに支えられたのかもしれません。そして楽になれたとしてもまた同じ経験をする為に産まれるだけなのだ。林檎の種が実の中心にあり、種を落としてもまた同じ場所に種が付くように、結局人間というのは魂という種を飛ばして、身体を借りながら多くの経験をしていくのだと。

雫が少ない人生で初めて芽生えた恋愛の感情。もし健全な身体であったらもっとずっといられたのにと悔やみますが、病気の身でなければ出会うことが出来なかった。

そして雫は最後に自分はまた他の形になってきっと出会えるだろうと彼に約束をします。

これぞまさしく輪廻転生の話しなのだと思い読んでいて震えてしまいましたよ。

この世に起きる出来事に一ミリも無駄というものは存在しない。それは自分だけでなくこの世の全てに対してもです。僕の知り合いの凄い方の話で

「どんなに凶悪な人間であっても、社会性がない人間であっても、最後に自分の人生に対して感謝が出来ればそれで良いのだ」とおっしゃっていました。

まさかそんな事余りにも理不尽ではないのか?と思ったのですが、結局は全て繋がっている。
繋がっているからこそ物事は起きる。繋がっていないただの点であるのならば、何一つ物事は動かないという事です。

本当にこの作品は涙が出ます。特に雫が健気に生きていく姿に胸を打たれます。小さな喜びを感じようと、どんな事も受け入れていこうと、それを全て受け入れて、どんな小さな事も感動しようと。小さく強く一生懸命最後まで生き抜いていく姿。最後に味わえた人々の優しさ。それを一つたりとも逃すことなく受け止めて味わっていました。


一体僕の最後はいつになるかわかりません。
まだまだ遠い未来である事を祈っていますが、それでもやはり一日一日を噛み締めて生きて、いつ最後になるかわからない時が来ても「自分がいてくれて良かった」と思って貰えるように生きるのが全ての人への恩返しになるんだろうなと思います。


本当にいい作品に出会えてよかったな。
最近感動する作品が多くて有り難い!そろそろガチモンのホラーでも読んだろかいって思うんだよなw


久々に行っちゃうか?超怖いのw
エッグいやつ。


まぁまた暇があれば古本屋にでも行くかな?


それではまた😢😢😢😢

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