ケース-1271364
①日目
夜の深い闇、その輪郭を曖昧に削る様なオレンジの街灯が等間隔にならび、その光源の下の方、
一際目立つLEDを点灯させながら警備ドローンが
三体一組で見回りをしている。
その様子を、弾んだ息を押し殺しながら見届け
黒塗りの街の角から片足を引きずる青年が顔をのぞく。
「リハビリにしちゃあやりすぎだろうがね」
江藤 才四郎、元警視総監。
見た目は青年そのものだが、脳を若い肉体に移植しただけで、本人は85歳を超えている。
脳の移植後の経過が芳しくないのか、片足が動かずスーツ