親友




私の記憶上で初めて友達と呼べる存在ができた小学2年の頃から高校を卒業するまでにできた友達の中で1番仲が良かった友達、私にとって親友と呼べる存在だったのはMちゃん。


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小学3年生の頃、同じクラスになった時に
『あなたの事知ってる、○○ ○○(フルネーム)ちゃんでしょ?』と私からMちゃんに初めて話しかけた時の事を覚えている。
 

でもその頃特に仲良かったわけでもなくお互いただのクラスメイトという認識だった。



同じクラスになったのは6年間でその一回だけだったのも小学校時代友達になれなかった原因でもあったのかもしれない。




休日に家族で外出した際に行った公園、スーパーやショッピングモールでMちゃんとその家族とよく偶然会ったので学校よりそういう場で話すことの方が多かった。


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中学にあがってからは登校途中によく遭遇するようになり姿を見つければ話しかけて一緒に登校するようになった。


自分達の妹達も同学年同士で仲良かったのもあって妹達の話をしたりしている内に不思議と私達も気が合い徐々に仲良くなった。


中2の頃、私は同じクラスのKと待ちあわせをして登下校をしていた時期もあったけど中2の後半にはKよりもMちゃんと登校し、部活がない日は一緒に帰宅するようになった。




中学3年、やっと同じクラスになれてそれを知った時私は嬉しさのあまりMちゃんに抱きついた。


普段私は友達に対してベタベタと触れ合うようなタイプではなかったけどその時は考えるより先に体が勝手に動いてそうしてしまったといってもいいくらいテンションが上がり気づけば抱きついていた。



同じクラスになり一緒に過ごす時間もぐんと増えてますます仲が深まった。



Mちゃんは学校にいる時も帰宅中もずーーーっと私と一緒に居るのにいつも別れ際にバイバイするのを渋り『まだ話したい』と別れ道で立ち止まり中々家に帰してくれなかった。


もう帰ろうよと私が促すと必ず『今日は私から電話するね』とか『今日は○○ちゃんから電話してね、絶対だよー!』と言い別れ、私達は家に帰ってから必ず電話をした。




そんな毎日の習慣が楽しかったし、私にべったりなMちゃんが大好きだった。



電話で話す内容はどうってことない他愛もない話なのについ長電話をしてしまい親から『電話代が毎月凄い事になってるから電話も程々にしなさい!』と文句を言われたりもしたな。



都合が合えば学校終わりにもお互いの家を行き来し、休日も暇さえあれば遊ぶ約束をして丸一日一緒に過ごした事もあった。




家に遊びに来たのにMちゃんは話疲れると私のベッドで勝手に寝ていたりしていたな、寛ぎすぎでしょ(笑)





妹達を連れて4人で愛・地球博記念公園にできたプールにも行ったな、プールで遊び終わった後プール施設を出た辺りから長い階段の上までグリコ遊びをしたっけ。


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それまで友達に好きな人の事を話した事がなかった私はMちゃんにある出来事がきっかけで話す事になった。



Mちゃんと一緒に駐輪場で自転車を押して歩いている時に私の好きな人が自転車通学の友達を待つために通り道にいて私の顔が真っ赤になるという出来事があった。



『○○(私)ちゃん顔赤いよ?どうしたの?』と聞かれ、最初は暑いからと誤魔化したものの私の様子がどうもおかしいと勘付かれ『もしかして好きな人がさっきあの道にいたの?』 と見抜かれてしまった。



そして帰宅中ずーーっと私の好きな人が誰なのか聞いてくるから私が『もういいじゃん、それよりさー』と話をはぐらかしては『教えて!』と話を戻すMちゃん、それを何回も繰り返した。



いつもの帰宅後の電話中にも聞いてきて私が中々教えないから『別に○○ちゃんが私に教えたくないならいいけどさー…』と悲しそうな声で言うもんだからとうとう私はMちゃんに好きな人が誰なのかを打ち明けた。




と言っても自分から名前を言うのが恥ずかしかったから、名字の頭文字だけ教えたり小学校が同じだとか今何組だとかまるでクイズのようにヒントを出していって、Mちゃんが何人かの名前を言っては『違う』と言い、『じゃあ○○(好きな人)?』とついに当てられ私は『うん、当たり』と言った。



Mちゃんは凄く意外そうに不思議がっていた。


何故ってそれまで私が彼に対してそういう素振りを全く見せなかったからだ。



隠していたわけじゃないけど好きな人の事を人に話すのが初めてで彼の事を話すのが物凄く恥ずかしかった。




でも最終的にMちゃんなら教えてもいいと思えたのは口が堅くて他の誰にも言わないと信用していたから。


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そんなMちゃんとは中学校の近くの高校を受験しようと話していた。



その高校は市内でも有名なおバカ高校だった。


私は夏休み中に市外にあるデザインの専門的な事が学べる高校に体験入学をしに行ったりもしたけど思ってたのと違かったのと学力的にギリギリだったのもあって結局私は第一志望校を近場のそのおバカ高校にした。



Mちゃんも私と同じくらいの頭だったから最初はそこに行くと言っていた。



おバカと言っても数十年間前までは名前書くだけで受かるなんて言われていた高校だったけど最近はそうじゃないからちゃんと勉強しなさいよと塾の先生に言われたっけ。


休みの日にその高校まで2人で自転車で行き、ここか〜と見に行った事もあった。


でもある日の下校中、Mちゃんは真剣な顔で『やっぱり他の私立高校に行く事にする』と話し始めた。


私はそれを最初聞いた時ショックだった、一緒に進学するって言ってたのに…と。


でもMちゃんは両親に自分でその事を話して説得した事や色々悩んだ事を話してくれて、それを聞いてとても真剣に考えて志望校を変えた事を知り、そんなMちゃんを『やだ!高校も一緒がいい!』なんて駄々をこねて引き止める事はしなかった。



そりゃあ離れ離れになる事は凄く寂しかったけどMちゃんの将来を自分のわがままで変えるのは違うと思ったし私はMちゃんを応援する事にした。


そしてMちゃんは無事志望校を合格した。


私も滑り止めの他の私立高校を受験し合格し、その後の本命の公立の志望校も無事合格できた。


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中学卒業後、高校時代もちょくちょく連絡は取り合っていたけどMちゃんの休日は高校の部活動や新しい友達、彼氏との予定が先に入っており私が遊びたいなと思っても一ヶ月以上先しか会える日がなかったりと、私と遊ぶ予定をMちゃんのスケジュールに入れてもらうのは、まるで人気すぎて予約が中々取れないレストランの予約を取ってるような気分でした(笑)



その頃に会うと私達は主にお互いの高校の事や恋人の話をしていた。



私は高校の友達にも恋人の話はしていたけど、その子達には言えないような恋の悩み事もMちゃんには相談したり話していた。





あんなに私にべったりだったMちゃんが殆ど同じ中学の人がいない高校でやっていけるのか、まるで私はMちゃんの親でもあるかのように心配していた。



でも不思議ちゃんで物腰の柔らかいMちゃんの性格には人を引き付ける魅力がありそれに気付いてくれた子達に囲まれて高校生活を凄く楽しんでいる様子だった。



それを聞き、私はMちゃんの志望校の決断を引き止めなくてやっぱり正解だったなとほっとした。




ある日Mちゃん家に遊びに行った時にMちゃんとMちゃんのお母さんに彼氏がどんな人なのか聞くと、二人共口を揃えて私に似た性格の持ち主だと話してくれた。


私は自分自身の性格がはっきりこうとかどうとかは分からなかったけど『○○ちゃんがもし男だったらこうだろうなって人だよ』と言われて、何だか嬉しかった。




私が居なくても高校ではその人が私の代わりにMちゃんを守ってくれているのが分かり安心した。


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Mちゃんからの話から逸れますが、高3の頃私に『親友になろう』と言ってきた子がいた。



その子は中3の時同じクラスでその時から友達ではあったけど何でも話せるかというと決してそうではなかった。




親友になろうと、そう言われたきっかけは喧嘩をして仲直りした時だった。



喧嘩と言っても向こうが一方的に私を煙たがり不自然なまでにガン無視して私がいない所でクラスメイトに私の悪口を散々言いふらしていた。



私はその子と仲直りするつもりはなかったけど結局向こうからメールがきて言い包められ仲直りしてしまった。


その時に『何でも話せる親友になろう』とメールで言われた。



私はその時違和感を覚えた。



『親友ってなろうとしてなるもの?そういう関係って自然となるもんなんじゃないの?』と。



大体私のいないところで私の陰口を言ってた子と親友になんてなれるわけないじゃんと思った。


私の悪口を言っていた癖に言ってないと嘘を付いてる時点で『何でも話せる』仲じゃなかった。



仲直り後の学校生活の中でも私を蔑むような発言や自分勝手な発言を繰り返していた。



その後、また訳も分からず向こうが私を無視し始めたので連絡先を消した。




私の事をまた無視し始めてから卒業までの間、クラスメイトの女子にまた私の悪口を言いふらしていたその子は勝手に皆から嫌われていった。




私の事を一人ぼっちにしようとしていた本人が勝手に嫌われていき孤立していっているのを見て馬鹿だなと思った。




大体、その子がいなくても私には他に友達がいたけど、そもそも私は悪口さえ口にしたくなかったので友達から例の話をふられた時以外その子の話題は出さなかった。




『私は○○ちゃんの味方だからね』と言ってくれるクラスの別グループの子達がいたけど、私は別に味方とか敵とかそういう事にしたくなかったのに、勝手にその子が嫌われていったがためにいつの間にか『私VSその子』みたいな構図がクラス内にできあがっており、他人事だからと勝手に楽しんで盛り上がっているのを見て、なんて女の集団の人間関係って面倒くさいんだろうと思った。







結局心から完全に気を許せる友達は高校時代に新しく出来なかった。



私の高校時代の人間関係はそれまで大きな友達関係の悩みもなく過ごしてきた私からしたら壮絶なものだった。



女友達の嫉妬、裏切り、グループからの陰湿なハブりを見て、そして実際に経験して…上辺だけの友達関係がある事や、一部の女の友情はハムより薄いって事を思い知らされた高校時代だった。


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そんなこんなで高校を卒業した後、結婚のため実家から引っ越す前に最後にMちゃんと遊んだ日の事。




私が6年間通学で使った自転車の後ろにMちゃんを乗せて二人乗りして田んぼだらけの家の前の下り道を『わーー!!!』と叫びながら下ったのが私の最後の青春の思い出です。

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