【大分】二者択一を迫るしくみ〈プレビュー的な〉
いよいよシーズン開幕。
今回は「4-1-2-3」をキーワードに、下平監督と松原良香さんの対談の内容から「戦術」って何なのかを噛み砕いて説明してみる実験です。
「戦術」とは何でしょう?正直僕もわかってません。
わからないなりにそれっぽいことを述べるなら、勝つための道筋を作ること、とか後出しジャンケンといった言葉になるでしょうか。そしてことサッカーの攻撃においては「二者択一を迫る」と言えると考えます。
開幕で対戦する水戸は4-4-2っぽいのでなおさら。まだ練度は足りないけどこれから書くことが要素として見られることを期待して…
自分の中ではわかっているつもりでも、説明してみると案外ぼんやりしているもの。ということでぼんやりしてたら「わからん!」って教えてください。
見たもの
せっかちさんはこれを見てください。
これの説明です。百聞は一見に如かず。わからんかったらこれ!元動画!
全部で5つです。
今回はビルドアップに関連する2つ目の動画についてまでの要約を行います。(途中で挫けた…)
【S級ライセンスの2人が対談】ポゼッションサッカーを徹底解説!
【必見!!】相手ラインを崩していくビルドアップ!
【4-4-2の硬い守備をどう崩すのか】真ん中からの前進の仕方!
【フィニッシュゾーンの攻略法】相手の守備によって変える!?
【プライベートに迫る】オフの日は何してる?
使う盤面
今回は上記5つの動画の盤面を大分-水戸に当てはめてやっていきます。
大分のスタメンは前回の記事から、水戸は週末にたまたまいばらきサッカーフェスティバル2022をやっていたのでそちらから。
こんな感じで。
水戸の配置はプレシーズンマッチですし、週末は配置ごと違うかもしれませんが、この動画内の「4-1-2-3で4-4-2を崩す」というシチュエーションに当てはめます。
攻守におけるコンセプト
動画の要約(動画①)
前提条件の確認
動画の要約(動画②-1)
Q.守備側はなぜ3トップに1人余らせる?
A.「ボールを奪う」ため
右サイドで増山がボールをもって対面する大崎と1vs1といった場面を想定します。
守備側、特に2CBはチャレンジ&カバーをするためにボールサイドにスライドして攻撃側の侵攻を遅らせる。この間に味方が帰陣して失点を防ぐ。
ごくごく稀にエスナイデルの千葉みたいな1vs1で負けなかったら守れる!ってハイパー強気な采配もありますが、極論に近いため基本はこの「1人余らせる」ことが前提になります。
裏を返すと、ここで3vs4(GKを含めると3vs5)をつくる=自陣で8vs6をつくることができる、というわけです。
GKからのビルドアップ
動画の要約(動画②-2)
4vs2での前進
この「4vs2」をつくるというのが非常に重要です。
この場合の「4」は大分の高木、ペレイラ、三竿、下田。
「2」は水戸の2トップである木下と安藤を指します。
ここで相手のアクションを見て後出しジャンケンをするイメージ。
マンマーク気味なら
水戸の2トップが三竿、ペレイラにマンマーク気味で捕まえに来たら、高木から見て1つ奥の下田にパスをする。
ゾーン気味なら
ゾーン。これがちょっと難しい。
2トップが上記のようなスコーンと間を抜かれるのを嫌がって、下田の近くに2人が立って大分の2CBにボールを誘い出す、みたいなイメージです。
その場合は誘いに乗っちゃいます。
水戸の2トップがゾーンで来るならCBにボールが入ったらボールホルダー(ペレイラ)に1人(安藤)寄せて、相方の木下は大分の前進を防ぐために下田へのパスコースを消しに行きます。
…となると必然的に三竿の前の赤いマルの箇所がぽっかり空いて前進がしやすくなる。これが下平監督のいう「FW脇」です。有効活用したい。
相手もバカじゃない
4vs2では守る側は容易にボールを奪えない。いやぁ、参った参った…とはならないわけですよ。4vs2でダメなら4vs3にすれば可能性が上がる。そりゃそうです。
ということで、ここからは4vs2から少しずつ盤面も広く見なければならなくなります。複雑。
マンマーク気味なら
大分の2CBにFWがマンマーク気味で守備。ならばと大分はボランチの下田へスコーンとパス!はさすがに水戸もやらせたくない。
ならば水戸の2ボランチの片側がインテリオールのパスコースを消しながら下田にプレッシャーに行く。
※パスコースを消しながらプレッシャーに行くのを動画内では「カバーシャドウ」って用語で説明してます。
高木から下田にボールが入ったら、ターンして前進!
これが一番手っ取り早いです。が、簡単にはさせてくれない。ならばプレッシャーに来たボランチの反対側のインテリオール(町田)が降りてきて角度を作ってボールの受け手になって、前に出てきたボランチの背後を取って前進を図る。
ゾーン気味なら
ボールサイドにFW2枚をズラしてボールホルダーとアンカーを消す形。これだけだと逆のCB(三竿)に「FW脇」を突かれて前進されてしまう…
ならばと逆サイドのSH(曽根田)を前に出してフタをする、というのがよくあるパターンです。これに対しては…
SHをCBの位置までプレッシングに行かせると距離や時間がかかってしまう。それはすなわち、個の盤面ではペレイラから三竿までのパスをする余裕がちょっとだけある、という事。三竿がやや下がりながらパスを受けるとなおさら余裕ができる。
そこからちょっとだけ遅れて(構造上仕方がない)曽根田は自分の背後の香川と成豪どちらかを背中でパスコースを切る(=カバーシャドウ)ことでハメにかかるが、内側に寄れば香川が、外を意識したら成豪にパスが通る仕組み。これで前線の2FW+1枚を「剥す」ことができる、というわけだ。
また、動画内で「GKとアンカーが重要」という話も少しだけ。
なぜ重要か、というのは選択肢を複数持てるから。
例として、上記のようにゾーン気味で守備をしてきた場合。一度GKに戻してやり直しをするとします。無理にSBの伊東に出したら水戸にマンマーク気味で「ハマって」しまい前進をするには逆サイドに大きく展開しかなくなってしまう=再現性に欠ける(不確実性が高まる)ため、ペレイラの選択はGKに戻す、が優先される。
バックパスをすると、ボールを受け手に寄せていった安藤がカバーシャドウで退路を断ちつつ高木に寄せる。
「やり直し」の際に水戸にできるスペースは赤マルで示した箇所。
高木はこの2か所のどちらかに散らすことをスカウティングなどからチームの決まり事として共有するはず。
上記の図では、左サイドのスペース(水戸SHの背後)では①香川が受けて前進する②成豪が開いてDH(前田)を引っ張り出すとかして前進を試みます。
右側(ハーフスペース)では、①三竿経由でペレイラが安藤の背後を取って前進②町田が下がってボールを受ける、というように2方向4パターンを可能性として持ってるはず。この選択肢を「減らさない」というのが重要視されるミソです。
下平監督は「マイボールから」という言葉からもわかるように、ボールの保持を非常に重視する監督。となれば、4パターンの中で一番ボールを確実に前進できる三竿経由でペレイラが安藤の背後を取る形に挑戦するでしょう。
ビルドアップとは?
相手の1stライン(FWの位置)を引っ張り出して、丁寧に人の配置とスペースの共有を図れば攻撃はより威力を増します。攻撃のための第一歩。それこそがビルドアップだと。
ビルドアップの触りの部分を、「理想の形」として盤面に起こして共有することを意識してこの記事を書きました。目的が分かれば、ちょっとくらいは難しいとレッテルが張られがちな「戦術」というものが身近に感じていただけたらなぁ、と。
実際は90分の中にあるエッセンス(パス回しのパターンや選手の関係性)を少しずつ少しずつ読みとって、雰囲気で「わかったつもり」でしか話ができません。とてもぼんやりとしている。
それでも監督の意図や選手の判断が少しでも読みとれれば、多少は心を穏やかにして観戦ができると信じてやまみません。そうであってほしい。
動画はまだ3本ほどありますが、まずは自陣1/3のボールの動かし方の意図がこんな感じであるんやで~ってのをまとめてみました。ここからミドルサード、アタッキングサードと前進した時にどんな狙いを持っていくかはまたリーグ戦の中で追っていければな、と思います。(正直なところ、動画のまとめは途中で挫けました…すまぬ)
いよいよ今週末からリーグ戦がスタート。酸いも甘いも大分トリニータにかかわるすべての人と素敵な時間を共有できたら幸いです。その素敵な時間の一部に、チームとしての意図を戦術という形で伝えていけるように自分も頑張ります。
写真引用元
大分トリニータ公式Twitter
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