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【大分】丁寧に。

しんどい。ただひたすらにしんどく、退屈な90分の焼き直しで5連敗。いやぁ、本当に退屈です。外国人助っ人が来ても、当分は大きな変化は生まれないでしょう。それで変われるならすでに昨年の時点で何とかなってるはずですもの。SNSを開けば「ここまでの相手はどこも上位陣だからさー」なんて自己完結するのは絶対にしたくない。ネガティブなポジティブさというか下を見て「まだ大丈夫」なんてダサイ思考は死んでもやりたくない。

と、ドチャクソネガティブな導入になりましたが、ただただ愚痴ってもしょうがないのでそれっぽいまとめをしたいな、と。①何をしたくて、②そのためにどう変化をしてるか。そして変えた結果、③何が上手くいっておらず、④解決策としてこんなことやってんじゃね?というのを書いていこうかな、と。

①そもそも何がしたいのか?
今年の大分トリニータの大きな論点として「脱5バック」というのがあります。たびたびここでも書いてますが、5-4-1の守備だとどうしても守備に人数が取られてしまい、いざボールを奪っても素早く攻撃ができない。ここがネック。
一昨年は自陣深くでボールを奪取してゆっくりボールを回すことで相手を引き出し「疑似カウンター」に持っていくことができましたが、夏ごろには対策され、終盤戦はボールを持たされるチームに。昨年はトップにポストプレーができる大型CF(知念)を軸に前線で時間の貯金を作り、ボールを保持して「持ちあがる」ことを1年間かけてやっていきました。
昨年までの積み上げとして、ネガトラ時の即時回収の強度は結構90分間続いている印象。また、GK含め最終ラインから粘り強くポゼッションができるチーム、というのが挙げられます。焦れない事と継続性がある、ともいえるでしょう。
この継続性に+αを毎年していくわけですが、今年のテーマは先述のように「脱5バック」です。前に人数を割きたい。

開幕の徳島戦(H)で早速「脱5バック」が見られましたが、前半の飲水タイムまでで1stプランは終了。難しいシーズンになることが暗に示されていたのかもしれません。

②「脱5バック」のために
2節横浜FC戦(A)、4節FC東京戦(H)では昨年ベースの3-4-2-1を採用し、マイナーチェンジを加えつつも新加入選手と既存の選手の融合を図りました。
マイナーチェンジはビルドアップ時にボランチの片方を下げない3+2ビルドを行うこと。できるだけミドルサードまではGK+DFでWBがのらりくらりと下がってパスコースに顔を出す(ビルドアップの出口になる)ことで重心を上げようと。ミドルサードからはボランチを「左右に」動かして4+1のビルドアップへと移行する。これは今回の本筋とは少し離れるため割愛しますが、片野坂監督の引き出しの多さを感じられるカイゼンでした。

2試合でマイナーチェンジこそあれど、大筋は変えなかったトリニータ。5節C大阪戦(A)でも大筋こそ変えずに挑んだが、ここからのマイナーチェンジが「脱5バック」に向けた下準備だったと考えます。

では、C大阪戦から変わったこととはなんぞや?となりますが、平たく言うと5人並んでボールへドン!と、いったところでしょうか。
大分の守備の並びは5-4-1。ボールを奪われた直後以外は基本「セットした」状況から始めます。「セットする」とはまずスペースを埋めましょうね、というのを約束事にして守る、ということ。5レーンをすべて埋めたらそうやすやすと大崩れはしません。大分の5バックの前には中盤4人が構えているのでさらに固い。将棋の穴熊みたなものだと思います。
5+4ブロックのデメリットは①で触れたとおり、重心が低くなり速攻が難しくなること。そのための策が守備のマイナーチェンジでした。

マイナーチェンジというだけあって、原則である「まず5バック」はそのまま。では、何が変わったかというとセットした状態からボールサイドのWBがボールホルダーにプレッシャーに行くこと。スペースを埋めた(5人ならんだ)ら人を捕まえに(ドン!)行きましょう、って守備に変えました。
これをするうえで重要なのが、WBとシャドウの関係性。5バックの一番端と、中盤4人の一番端。ここが連動しないとチーム全体のスライドにばらつきが出てしまい、ゴールに近い内側で大きな痛手を被ることに。
……とまぁ文字で書いてもわかりづらいので動く!図で!

大分は5‐4‐1での「セットした」守備から。
相手は5レーンを意識した4‐1‐5のような形で攻撃を想定して話をします。

1.大分は5+4で守備をしてます
2.CFは4‐1‐5の「1」、つまりは相手アンカーのコースを消して、ボールサイドのシャドウがボールにチャレンジ、WBがパスの受け手になるWGを捕まえに行きます
3.このスイッチがはまると、5バックは大外を捨ててボールサイドにスライドができる。それを補助するために、ボールサイドのボランチが相手ボールホルダー~シャドウのコースを消す

みたいな狙いに見えました。
5人並んでドン!です。

③何が上手くいっていないのか
盤面に起こすと結構良さげな5+4ブロックからのプレッシングに見えますが、ここには内的、外的それぞれの要因によりうまくいっていないな、というのがここ5戦での感想です。

・外的要因
シンプルに対策がしやすいのかな、というのが感想。
上記の2.でCFがアンカーのコースを消す、と書きましたが、アンカーがボールサイドに寄ってさえしまえばCFのコース切りを無効化できるだけでなく、大分は局面を閉じてボールを奪いたいため、3.ボランチがボールサイドに顔を出す(=勝手に動いてくれる)ため、アンカーは大分のCF-ボランチ間の「浮いた」位置でボールを受けることができる。
また、ボールサイドにアンカーが寄る間にシャドウが下がってアンカーの近くに位置取りをすることで、大分の5+4のブロックの前でボールを受けられるだけでなく、ボールと逆サイドのハーフスペースが空くことでCFが流れたり、WGがカットインできる状態になる。

こんな感じ。

中間ポジションでアンカーが浮いて、空いたスペースを有効に使えるだけでなく、コースを切った大分ボランチの背後のシャドウにもパスコースができてしまう。大分からすると人は居るが守れていないに等しい状況だ。

・内的要因
5+4ブロックをつくるまで(=ネガトラ)で「まずは5バック」という原則で動きスペースを埋めるため、リトリートを選択をする。
5バックを形成しつつ中盤の4人も下がるため、自陣に下がってからでないと守備のスイッチが入らない。
相手からすると、スペースはどんどんなくなっていくが、ボールホルダーが気持ちよーくハーフラインを越えることができるため、位置的な回復ができ、被カウンターのリスクが減る。また、押し込んでしまえば上記のようにアンカーがボールを受けに行き、シャドウが段差をつくってしまえば大分の守備陣はカカシになってしまったも同然なのでハメやすい。そこまでの戦術はなくとも、8節神戸戦(A)の失点シーンのようにフリーで余裕をもってクロスを上げることができてしまう。

④どう改善しようとしている?
戦術的なエラーがたくさんあり、守備の担保がほぼない現状。5連敗もしてこの惨状ではなかなかに厳しい。特に片野坂監督は「まずは守備から」戦術を作り上げる監督というイメージなので、守備がガタガタのままでは解任も待ったなし!かもしれません。しかし、9節名古屋戦(H)でしっかりと修正をしました。結果だけ見ると0‐3のしょっぱい敗戦でしたが……

改善はズバリ、5‐4‐1から5‐2‐3への変更です。これも一昨年の夏以降から取り組んでいるため、マイナーチェンジくらいの変化です。
またまた図に起こしてみましょう。

1.  後ろ5人が並ぶのは5+4ブロックと同じ。変わるのはシャドウの立ち振る舞い
2.  シャドウは相手のSB-CB間に立ち、CFはアンカーのコースを消すイメージ。ボールホルダーからすると出し所がない!
3.-1ボールサイドのシャドウが降りてくるパターン。しかしこれでは、ゴールに背を向けたまま大分ボランチの間合いに入るためターンよりバックパスを選択せざるを得ない
3.ー2アンカーがボールサイドに寄り、逆サイドのシャドウが降りるパターン。5+4ブロックの場合ではハメ技に近くなる配置転換も、大分ボランチの監視下に置かれるため、局面の打開は難しい。大分シャドウは、相手アンカー-SB間に立って孤立させる

狙いは外切って内側で回収のイメージ。選択肢を減らして、いい状況(相手がゴールに背を向けた状況)で回収!
5+4ブロックとの違いは、シャドウの立ち位置。5+4ブロックではSBを見る位置にいるが、5‐2‐3では相手SBを「背後で感じる」形に。この守り方をカバーシャドウとか言います。もし、相手SBにボールが入っても、5+4ブロックの時のようにWBが捕まえに行き、ボールサイドにスライドすることで対応。名古屋戦ではマテウスって鈍器でシンプルに殴られましたが……

まとめ
楽しいとは勝つということ。いくらいい準備ができていても、勝たなければ、楽しくない。
厳しいシーズンです。弱者のサッカーから抜け出すためにもがいている現状はとてもしんどく、難しい。そして、状況を打破するには昨年以上に「個」の成長が求められると思います。しかし、「個」が生きるのは守備が整ってから。まずは守備。
明日の結果はわからねど、今日までの積み重ねは裏切らない。ただひたすらに、丁寧にやり続けるのみ。報われてほしい。

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