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#004/レタッチャーも十人十色

こんにちは。
何年か前、飲みの席。昔からよく知っていて1度だけ仕事をしたフォトグラファーに、また仕事できると良いね、的なことを言ったら、「でも俺とトーン違うじゃん」と言われました。

誰かが撮影した写真を修正するだけなのに、
絵を描いたりするわけではないのに、
レタッチャーにトーンがあるのは不思議に思う人もいるかもですが、
フォトグラファーと同じようにその人の好きな写真や好きな絵や好きな風景、物事があり、
少なからず影響されてレタッチの仕上がりが変わってきます。

こういう感じになりがち、、というのレタッチャーの方いますよね???

ない方もいるかもしれません。
あえて出さないようにできる方もいると思います。
もしかしたらこういう風になりがち、、というのは僕がまだ未熟だからなのかもしれません、、、
出す必要がない場合は出しませんが、逆にトーンを出してほしい、作ってほしいと言われることもあります。
僕はなるべく幅を出すために避けようとしているのですが、
着地が見えない絵作りをしている時など、
バリエーションを作っていると気がつくと似たトーンが出ていてホラーだったりします。。

レタッチャー個々の癖などは肌修正など、もしかしたら顕著かもしれません。
実はけっこう人やレタッチ会社によって肌の修正の仕方違うのでは、、と思っています。
いや絶対違いますよね、、?
同じ写真を同じディレクションで修正しても、一発目で上がってくる写真は10人レタッチャーがいたら10バリエーション出てくるはず。

スタンプだけで結構攻める人、トーンカーブのアップダウン、ソフトライトで描画していく人、、、などどこまでどのツールでやるか、、など様々なはず。

仕事が来る時も、
フォトグラファーやアートディレクターから見たレタッチの癖や、
得意と思われている絵作りのトーンがあり、
それを基準に選定されている場合もあると思います。
なんかくやしいですが、そうなんでしょうね。


レタッチから一歩進んで色んな分野に手を伸ばしてる方が増えてきた気がします。

3Dソフトが使えたり、
アニメーションができたり、
動画のレタッチができたり、編集ができたり。


僕も長いあいだレタッチをしてきて、


レタッチとはちょっと違うビジュアルを作るお仕事も増えてきました。


♯002、ジャンル「その他」で書こうと思ってたその一例を紹介します。




オーロラを描く

あるビジュアル用にオーロラの写真が必要でした。
しかもオーロラの色バリエーションあり。
ラフに使っているストック写真のライセンスがクリアにならないこと、
色バリエーションを作る必要があること、
などからオーロラをゼロからphotoshopで描きました。



空港を作る
とあるビジュアルの人物の後ろに空港が必要でした。
某有名建築家のようなデザインの空港、だけど意匠の権利問題もあるのでそっくり真似したらダメで、さらに背景に使うためけっこう引きでかなり広範囲のオリジナルの建物をデザインする必要がありました。
ストックフォトなど既存の画像を組み合わせて無理やり合成、、して空港は作れないので3Dですね。

まず建築家のルーツを探してお師匠さんを見つけ、
その人がよく使う建築法?を真似すれば良いのではと自分なりにアレンジした空港を3Dで作りました。



車体ラッピングのためのシールに印刷するビジュアル

特注の窓のない丸いキャンピングカーに、底面以外の180度ラッピングするためのビジュアルを作る、という仕事でした。
そのシューズが公道を走ってるように見える、、みたいなイメージです。
オリジナルのサイズなのでざっくりとした寸法しかなく、左右と上下の設計図をもとに車を3Dで起こし、それを展開して、ラッピングするための展開図をまず作り、フォトグラファーに180度を10枚ほどに分けて撮影してもらったシューズを、展開図に合わせてラッピングした時に辻褄が合うようにphotoshop上で高解像度で切れ目がないようにシューズを合成していくという作業でした。


3Dソフトでいうテクスチャ を作る作業を、インクジェット出力で車に貼った時になるべく耐えられる解像度で作る感じです。






上の3つはほんとに極端な例ですが、撮影がなかったり、ストックフォトを組み合わせて合成する、などフォトグラファー不在の案件も多いので、ビジュアル全体の仕上がりをまかせられることもあります。

イラストと写真を組み合わせる、、などの変化球もありますね!
映画のタイトルロゴの立体の表現なども似たような例でしょうか。
安定したクオリティでベーシックなレタッチをできることも大切ですが、どうせなので色んなことができていろんなビジュアルに関われた方が楽しいですよね。



ただ修正するだけではなく、クリエイティブワークも積極的にやる。
その都度最適解を探し、ビジュアルをよりよくするために提案をする。
もっと前段階ではフォトグラファーにこういう背景で撮影して欲しい、こういう素材を撮影して欲しい、などphotoshopワークだけでなく、どうすれば最短距離で最大限の表現ができるか、、ということに注力することも少なくないです。

10年前に出た某レタッチ会社のレタッチワークが載っている本では、「修正のその先のレタッチ」を、クリエイティブレタッチと呼んでいました。いま一線で活躍している方は自然とクリエイティブレタッチ、、してそうですね。

とりあえずここまでの4回で、レタッチャーってこんなことをしてるんだーというのはほぼ分かってもらえるものが書けたのでは、、と思います。

とりあえず僕が知るレタッチャーについて書きたいことは書いた気がするのでこれで一旦締めです。

読んでいただきありがとうございました。

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