森の民「ピグミー」 その2


はじめに

前回は、狩猟採集社会についてざっくりと見ていきました。 ピグミーと言っても、コンゴ盆地に散在しているピグミーは10を超え、それぞれ異なる名称を持っています。 その中でも、カメルーン東部とコンゴ共和国北西部、ガボン共和国北東部にまたがって居住する「バカ・ピグミー」について取り上げていきたいと思います。

私がここでピグミーについて書くことで、日本で暮らす私たちの生活、そして、直面している様々な環境問題について少しでも立ち止まって考えるきっかけとなればと思っています。

バカ・ピグミー

バカ・ピグミー(以降バカと呼びます)は、カメルーン東部とコンゴ共和国北西部、ガボン共和国北東部にまたがって居住していて、総人口は推定3~4万人と言われています。私はこの数を聞いた時に、想像以上に多いなと感じました。しかし、数字だけでは見えないところもあります。 他のピグミーと同様に、かつては狩猟採集を生業の主とし、森の中で遊動生活を送っていました。なぜ、遊動生活であるのかというと、一箇所に留まって狩猟や採集を行うよりも、拠点を変えながらそれらの生業を営んだ方が狩猟の対象となる動物や、採集する植物が枯渇せずに豊富に獲れる / 採れるためです。キャンプの際、住まいとなるモングル(mongulu)は小木とクズウコン科の植物の葉でドーム型の簡素な小屋を建てます。全て森の素材で作られ、女性の役割です。およそ5時間ほどで出来上がるそう。

バカ・ピグミーのモングル

しかし、カメルーンでは少なくとも1950年代までに焼畑農耕の需要を開始し、徐々に定住化が進んでいきました。今では、狩猟に行く時だけ遊動生活を営み、普段は定住した生活を送っていて、「半定住」と呼ばれています。

次回は、バカの狩猟採集民としての生業を脅かす保護区設立について紹介します!お楽しみに。

戸田温

参考文献


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