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日本の森林 その2

前回は林業の衰退について整理しましたが、その中で「木材の需要を増やす」ことがとても有効な対策であると感じました。そこで今回は「新しい木の価値」について取り組まれている事例を紹介したいと思います。




山や川を守るために杉に新しい価値を「神山しずくプロジェクト」

自然林の場合、森に光が降り注ぎ、下草が生え、土は柔らかく、地中にたっぷりと水を含み、時間をかけて川へと雨を送り出すという循環があります。しかし、現在のような放置された人工林の場合は真逆で、針葉樹が密集しているため地面に光が届かず、下草が生えず、土が固くなり、雨が地表を一気に流れるという悪循環が生まれてしまっています。そのせいで川の水も少なくなってしまうようです。

【出典】SHIZQ HP

徳島県神山町では、「杉に新たな価値を」見出すことで、「川の水を増やそう」としずくプロジェクトに取り組まれています。Webサイトには、杉の食器や、杉のオイルなど魅力的な商品が並んでいました。「杉からできた商品が使われることで、間伐が進み、山肌に光が差し込み、川の水も増える」、良い循環を生み出す素晴らしい活動だと感じました。自分が商品を使うことでどういった循環が生まれているのか(良い循環なのか、環境に悪い循環なのか)、商品を購入する際に、一度考えてみるのもよいかもしれないなと感じました。


木のお酒?森林総合研究所が木を原料にお酒を造る技術を開発

森林総合研究所が人類史上初めて「木のお酒」を造る技術を開発したとのニュースを見て私はとてもびっくりしました。木の成分であるセルロースをブドウ糖に分解し、アルコール発酵させて作るようですが、樹種ごとにいろんな風味が楽しめるようで、杉や白樺、ミズナラなどいろんな樹種からお酒を造れるようです。木は日本全国どこにでもあるため、その地域のあの山で育ったこの木をそこの湧水で仕込むといった地域ごとのストーリーを含む「木の酒」を造ることで、各地域の地酒のような魅力的なものになる可能性も秘めているのではないでしょうか。


ほかにもいろんなユニークな商品が

ほかにも、以下のようにたくさんのユニークな商品が開発されているようで、木材はまだまだいろんな可能性を秘めていることがわかります。こういった取り組みがますます増えていき、森の良い循環に繋がることはもちろんのこと、化石燃料由来のプラスチックに代わって木材が利用されることで温室効果ガスの削減にも繋がるなど、良い循環が回っていくとよいなと改めて感じました。

  • マスク(スギの繊維を糸にして作成)

  • クレヨン(木材を顔料)

  • ストロー(間伐材を薄く削る)

  • 木の高層ビル・新素材「改質リグニン」(プラスチックの代わりとして使用可能)

次回は林業以外の日本の森の問題、それに対する取り組みについてご紹介できればと思いますので、また読んで頂けると嬉しいです。


加藤 貴也


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