THE SECOND 2024 東京選考会全通おじさんによる「THE SECONDは最高だ」という話(前編)~2023ノックアウトステージ観戦記~

 2024年2月2日(金)から4日(日)の3日間、渋谷のCBGKシブゲキにて「THE SECOND 2024 東京選考会」が開催されました。その3日間6公演を全通しましたので、その感想や思ったことを書いていきたいと思います。
 と書き出したらなんか長くなったので先に後編を出しました。
 で、早めに前編を出そうと思ったら推しのツーナッカンが選考会敗退の失意で筆が止まり、丁度ノックアウトステージ32→16直前になったので、昨年32→16で審査をしてきた身として予習になればと思って審査員体験記を書き記します。
 一応「前編」なので「ザセカとはなんぞや」という基本的な部分から入りますので、ノックアウトステージのところから読みたい方は「ノックアウトステージ32→16観戦記」のとこまで飛んでください。


そもそも「THE SECOND」とはなんぞや

 「THE SECOND」(ザ・セカンド)は2023年から開催された新しい漫才の賞レースです。

 代表的な漫才の賞レースといえば「M-1グランプリ」。M-1は結成15年以内の漫才師が出場できます。その15年を過ぎてしまい出場資格を失ったものの、未だにブレイクのきっかけを掴めない漫才師への「セカンドチャンス」として作られました。主な出場資格は、

  • プロのみ参加可能(フリー可)

  • 結成16年以上(即席ユニット不可)

  • 全国ネットの漫才賞レース番組で優勝していないこと。(M-1、THE MANZAIが対象)

です。今年のM-1は8000組以上がエントリーしたことが話題になりましたが、ザ・セカンドは100組強です。16年以上、解散せずに続けることの大変さが表れています。
 ザ・セカンドの予選の流れは、まず東京と大阪で「選考会」と呼ばれる予選が複数日程で行われます。そしてその中から32組の漫才師が選ばれ「ノックアウトステージ32→16」に進みます。ここからトーナメント形式となり、1対1のタイマン勝負。勝つと「ノックアウトステージ16→8」進出。そしてもう一つ勝ってベスト8まで残ると決勝・グランプリファイナル進出となり、全国ネットのゴールデンで漫才をすることができるという流れになっています。
 THE SECOND 2023について、自分が直接見たことを中心に振り返ってみたいと思います。

THE SECOND 2023の思い出

 自分は去年のザ・セカンドの予選、選考会を1公演だけですが観に行きました。そもそもなんで見に行ったかというと、シンプルにお笑いが好きだから、これに尽きます。
 自分のお笑いファン歴の変遷を辿ると、高校時代に千原兄弟を好きになり、大学進学で上京したタイミングでルミネtheよしもとが開館し、そこでカリカにハマって5じ6じ公演に行き倒しました。パンクブーブーが5時からバトル(ルミネ開館時にやっていた若手ゴングショー)を勝ち抜いて最初の500円芸人になる瞬間とか見てました。移転前のシアターDとかもしょっちゅう行ってました。そこから就職やら転勤やらなんやらであんまり生でお笑いを見ない、推し芸人がいない時代を過ごしてたんですけど、ある日YouTubeで見た金属バットにどハマりしてまた劇場に通いだし、その流れでズンズンポイポイを好きになって千川びーちぶに通うような変質者に成り果てました。
 で、M-1を卒業したての金属バットがザ・セカンドに出るということでどんな大会になるんだろ…ということで選考会に行くことを決めました。

選考会初日夜の部を観覧

 自分が行ったのは2023年2月15日(水)、選考会初日の夜の部でした。会場は茅場町の東京証券会館ホールというほぼほぼお笑いライブに使われない最寄り駅&会場。回によっては売り切れの日もありましたが、この回は平日ということもあり客席はガラガラ。キャパ342の会場の両サイドの席は全て潰してました。


こんなふうにセンターブロックだけ座れるみたいな感じでした。

 出場者は順に、ナインボール、ブラックパイナーSOS、宮田陽・昇、にほんしゅ、ツーナッカン、ハンジロウ、ジョイマン、鬼ヶ島、流れ星☆、ぽ~くちょっぷ、新宿カウボーイ、ワンワンニャンニャン、ガッポリ建設、ガンリキ、ガロイン、チーモンチョーチュウ。なおガッポリ建設は出場辞退でした(伏線)。
 賞レースの予選をちょこちょこ見に行く自分としても、ザ・セカンドの選考会は色々と発見のあるものでした。

・賞レースとは思えないゆったりとした空気
 制限時間6分ということで、M-1に比べてもかなり余裕があるのでじっくりツカミをすることができるし、そもそも初開催ということでみんな探り探りでやっているのがちょっとおもしろい。ゆったりしすぎて6分の警告で焦りだす宮田陽・昇が面白かったです。普段もっと長くやってますもんねえ。
・昔から知ってる人たちを見ることができる
 ベテランがいっぱい出てくるわけなので、昔テレビで見た!という人も出てきます。そういう人たちは逆にバッシュとかバティオスとかではなかなか見られないのでかなり貴重。「ボキャブラで見た下目黒二丁目ことブラックパイナーSOSだ!!」みたいな感動が。ジョイマンは「なんだこいつ~!!」で大拍手がおきました。
・16年も続けてたら面白くないコンビはそうそういない
 ブレイクできずにセカンドチャンスを狙っている、といいつつも、16年以上「辞めずに」続けているということは、やっぱりある程度の面白さは担保されているわけです(多少の例外はあります)。

 などなどですが、一番大きいのは知らなかったけどめちゃくちゃ面白いコンビに出会うことができることかと思います。ベテランになると名前は聞いたことあるけどネタを見たことない、っていうコンビが多数います。で、ネタを見て衝撃を受けるくらいに面白い!!という体験をすることになります。僕が見た回でいうと、ツーナッカンがそれにあたります。少し重めの客席でしたが完全に爆笑が爆発していました。このあたりについては後半で記します。

 その後、流れ星☆が流石のウケを叩き出し、大トリではチーモンチョーチュウが堅実に笑いをとって公演終了。約2時間の濃厚お笑いコンビ空間でした。結果発表は全ての選考会が終わってから。入場時に配られた「ノックアウトステージ32→16」観覧応募用紙を、当たったらいいなくらいの気持ちで提出して帰宅となりました。
 自分が見た回で誰が通過するかの予想としては、ツーナッカン・流れ星☆・チーモンチョーチュウの3組でした。ただ、選考会の数的に通過するのは1公演あたり2組くらいかな…その場合は知名度的に流れ星☆とチーモンチョーチュウなのかな…という想像もしていました。

 そして全選考会終了後の2月27日正午、ノックアウトステージ32→16進出の32組が発表!

 囲碁将棋、インポッシブル、COWCOW、かもめんたる、ガクテンソク、金属バット、ギャロップ、三四郎、シャンプーハット、ジャルジャル、スーパーマラドーナ、スピードワゴン、スリムクラブ、タイムマシーン3号、タモンズ、超新塾、ツーナッカン、テンダラー、東京ダイナマイト、Dr.ハインリッヒ、流れ星☆、なすなかにし、2丁拳銃、Hi-Hi、フルーツポンチ、プラス・マイナス、マシンガンズ、三日月マンハッタン、モダンタイムス、モンスターエンジン、ラフ次元、ランジャタイの32組。
 自分が見た回から進出したのはツーナッカンと流れ星☆の2組だけでした。やっぱり厳しい!とはいえこの結果を見て、ザ・セカンドはちゃんと面白さとウケ量で判断してる!という信頼が出てきました。

 ここで、トーナメント制による大会の面白さが出てきます。
 一体誰と誰が対戦する組み合わせになるんだ…?
 これまでの賞レースになかったタイマン勝負という形式によって色々な夢が広がっていくわけです。 

 そしてその翌日にはトーナメント組み合わせ抽選会が生配信。

  大阪よしもとのマネージャーが代理でくじを引きすぎてるのと、モダンタイムスのマネージャーこと本田らいだ~△こと本客土門ことキングマスク剣崎実が面白すぎるのでぜひ見てください。

ノックアウトステージ32→16観覧当選

 ノックアウトステージ32→16を2週間後に控えた3/14、THE SECOND 事務局から観覧当選のメールが届きました!当たった!
 自分が当選したのは初戦、3/27の第1部、AブロックとBブロックの対戦でした。ちなみに選考会に同行した人間も別の日程で観覧当選していました。今から考えると、選考会に行った人間が多くなかったから当選したのかなと思ったり…今年はほぼほぼ満員だったから当たらなさそうで怖い…当たりました(小声)

ノックアウトステージ32→16観戦記

 ノックアウトステージ当日、お台場のフジテレビに集合です。指定時間ちょっと前に着いたんですけどすでに50人くらい並んでました。事前の連絡で「早く来ても前の方で見れるって確証はないです」みたいにあったんですけどなんやかんやで早く来た人が前の方にはなったかも?な気がします。

球体だあ~~~~!!!!

 身分証明書を見せたりして並んでる際に、ノックアウトステージ16→8の観覧応募用紙をもらったり、あと整理番号券をもらいます。
 そこで、スタッフさんから衝撃の告知が。
 「今日は皆さんに審査をしていただきます」
 ええええええええ?????軽い気持ちで見に来たんですけど????突然の大役にどよめく観覧希望者。そして念押しで、
 「結構な賞金もかかってますし芸人さんも人生かけてるのでちゃんと審査してください、人気投票にならないように」
 との言葉も。後々この言葉の意味がわかるんですけども。
 その説明を受けてフジテレビ本社の中へ行列を作って侵入。ここからはスマホが使えなくなります。美術部の前とか通る時に過去の番組の資料とかフォントとか展示してあるのが見れたのちょっとお得感ありました。

 そしてスタジオ内に案内されます。す、すげえ、めちゃくちゃお金かけてしっかりとしたセットが組んである!! 赤と金を基調としたM-1グランプリと対比するかのように青と銀を基調としたシックながら豪華なセット! あとセンターマイクの前が謎に出っ張ってて後からいじられまくってました。

くらげ渡辺翔太氏のXより。謎に鋭角なステージ中央

 そして、客席につくように指示されます。入場時にもらった整理番号に書かれた場所に座るんですけど、その番号が審査員としての番号にもなります。整理番号若いほうから前の方でした。ちなみにですが、審査員は100人で、100人の後ろの方に審査権を持たない純粋な観客の人も座ってました。その人達は集合場所とかも違ったっぽいのでもしかしたら別ルートの観覧募集とかもあったのかもとか想像しました、CLAP&WALK的な。(ここはあくまで個人的な推測です)
 
 客席のところには審査用のボタンが置いてありました。いわゆるトータライザーというやつですね。3点・2点・1点という表示があり、「とても面白かったら3点」「面白かったら2点」「つまらなかったら1点」という感じで審査をすることになります。審査員が100人なので300点満点ですね。ちなみにこのボタンめちゃくちゃコードが短い謎の仕様になってたんですけど、そのあたりの詳細が三日月ヶ浜の「THE SECOND観覧審査員の練習」というネタ動画にあります。浜村凡平太氏が実際に審査員をされていたので、このネタには真実しか詰まってません。(ちなみに僕は浜村氏のめちゃ近くに座ってました)

 そうこうしているうちに本番です。MCで出てきたのがトレンディエンジェル!M-1グランプリ2015チャンピオン!大会の説明やらなんやら話した後、審査について実際にやってみましょうということでデモンストレーション用のネタに出てきたのがズンズンポイポイくらげ!くらげのネタを実際に見てボタンを押します。ここでスタッフさんがちゃんと全員が押したかを確認しているみたいで、MCから「○○番の方、押しましたか?」という呼び掛けも。そして全員が押したのを確認して点数発表、という流れでした。
 くらげは2023のノックアウトステージ32→16の4公演全てでデモンストレーションを行い、しかも全公演違うネタをやったとのことで非常に高い評価を得ていました。そういう経験が昨年のM-1決勝初進出に繋がったのかもしれませんねぇ。

 審査の感じがわかったところでいよいよ対戦開始!Aブロック第1試合は先攻・スーパーマラドーナ、後攻・2丁拳銃。大阪NSC22期対12期の10期差対決!
 スーパーマラドーナが寄席のようなお客さんいじりもしていたのがザセカらしいなあと思ったりしました。先攻がネタを披露し終わったところで早速採点、採点結果は発表せずそのまま後攻の2丁拳銃のネタへ。
 後攻の採点が終わったところで結果発表。232対252で2丁拳銃が勝ち抜け!

 なお、この動画ではカットされているのですが、MCから「それでは審査員の方に「なぜそういう点数をつけたのか」を聞いてみましょう」という発言が。…聞いてないって!! この瞬間審査員全員が震え上がったと思います、寝耳に水すぎる!

 しかも、最初に当てられた人が「なんとなく…」って答えたら裏から「ちゃんとしっかり理由をしゃべってもらってください」という指示が。これは真剣に採点しないといけないやつだ…と背筋が伸びました。この後の対戦では、採点する時にちゃんと理由付けをして、当てられたらこういう風に答えようと考えるようになりました。

 僕は結局この日、理由を聞かれることはなかったのですが、真ん前に座ってる人と真後ろに座ってる人は当てられてました、怖い怖い…

 第2試合はDr.ハインリッヒ対スピードワゴン、これも良い試合でした。
 この日はちょっとイレギュラーで、AブロックとBブロックの観覧だったんですけど、スケジュールの都合でAブロック終了後一旦解散して数時間後に再集合、という流れでした。三四郎とか忙しかったのかな?
 Bブロック第1試合は流れ星☆対プラス・マイナス、これはもう事実上の決勝になるんじゃ???と思うくらいの高レベルな戦いでした! まさかこのあとニッチなフランス映画に負けるとは…第2試合の三四郎対タモンズでこの回の観覧は終了、解散。めちゃくちゃ濃厚なお笑い空間となりました。

自分の採点について

もう開催から1年経ってますし、自分がどっちに何点つけたか開示して見ようかと思います。ちゃんと理由付けもしてあります!

Aブロック第1試合
先攻・スーパーマラドーナ 2点
後攻・2丁拳銃 2点
【理由】
スーマラ、面白かったけど普段よりは爆発してないなあという気持ちで2点。にちょけんもスーマラを超えるほどではなかったなあという感じで2点。

Aブロック第2試合
先攻・Dr.ハインリッヒ 3点
後攻・スピードワゴン 3点
【理由】
ハインリッヒ面白すぎた! ということで3点。よっぽどのことがないとスピードワゴン2点かな、と思ってたんですがこっちもバチバチに面白かったので同じく3点に。

Bブロック第1試合
先攻・流れ星☆ 2点
後攻・プラス・マイナス 3点
【理由】
流れ星☆、面白かったんですけど選考会の時と完全に同じだなあという残像があって、後攻との対比のために2点。プラマイは何度も見たネタなのにめちゃくちゃ面白かったので3点。

Bブロック第2試合
先攻・タモンズ 3点
後攻・三四郎 2点
【理由】
タモンズ面白かった! 結果出た時に低すぎでは?とか思っちゃった。三四郎も面白かったんですけど、固有名詞出し過ぎなのが気になっちゃって…そこが三四郎の売りではあるんですけども。

 自分の採点への反省点を挙げるとすると、
・先攻に基準点をつける的感覚はよくなかった(スーマラ武智も言ってた)
・見たことあるしーとか固有名詞がーとかで点を下げるのもよくなかった
 といったところです。審査むずかしい! 今年は順番とか内容とか関係なく、純粋に面白かったかどうかだけでちゃんと採点したい!審査員なってるかどうか知らんけど!
 なお、この後のノックアウトステージ16→8とグランプリファイナルは落選しましたので現地観戦はできず。今年は現地で見たいな~!!

THE SECOND 2023と2024の審査方法の変更についての予想

 さて、これからTHE SECOND 2024のノックアウトステージが始まるわけですが、昨年から審査方法何か変わることあるかな…と予想してみましたが、ほぼほぼ変更がないのでは?という結論に落ち着きました。
 THE SECONDって、第1回大会にしてシステムがほぼ完成された類を見ない大会だと思うんです。
 というのも、ノックアウトステージが終わった段階で、「タイマン形式でやると後攻が圧倒的に有利」という問題が出ました。
 先攻がめちゃくちゃおもしろいネタをしても、「もしかしたら後攻がこれより面白いかも…」という心理が働いて2点をつけちゃうような。心のなかでブレーキを踏んじゃうみたいな。
 それを受けて、グランプリファイナル(決勝戦)では先攻ネタ→先攻採点→後攻ネタ→後攻採点という形から「先攻ネタ→後攻ネタ→先攻採点→後攻採点」という形に変更となりました。この段階でもう修正をかけてくるの凄くないです???
 というわけで、今年のノックアウトステージは審査タイミングが2組ともネタをやってから、という決勝方式に変わるぐらいしかないんじゃないかなあと思ってます。

THE SECOND 2024を楽しむためには

 というわけで、ザセカに関する心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書いてきましたが、間違いなく言えることが一つあります。THE SECOND 2024を一番楽しむためには、ノックアウトステージ32→16の配信を全部見ましょう! ということです。トーナメントという形式上、勝ち上がった組は負けた組の思いを持って次の試合に挑むことになります。そこを見ておくとノックアウトステージ16→8もより面白くなるし、グランプリファイナルも更に面白く見ることができます。

 ま、純粋にコンテンツとして面白いので見て絶対に損はないです、今年はアーカイブもありますし! アーカイブ期間短いけど!
 というわけで結論です。

ザ・セカンド最高や!!!

 本当はいかにツーナッカンが面白いかという内容と合わせて書く予定だったんですけどまたまた長くなってしまったので次の機会に…

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