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短編集

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探偵討議部の面々を題材にした短編集です。それだけで完結していますので、本編を読むお時間がない方もどうぞ。
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#子供の頃

やせっぽちのたかゆき

 僕はたかゆきが嫌いだった。たかゆきはやせっぽちで、おかっぱ頭で、その頭がとにかく悪い。…

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かみさまのなかのおうさま、ゼウスさまはいいました。 「いちばんやくにたつものをつくりだし…

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軍拡競争

雨の日、外で遊ぶことのできない小学生男子は何をしていたか? 答えは「消しゴム落とし」。 …

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<短編>過誤と忘却のエングラム

高台にある住宅街を抜けた先にその公園はあった。 入り口には「ひがしこうえん」と書かれた子…

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<短編>コオロギが鳴きだしたから。

コオロギが鳴きだしたから、眠れなくなってしまった。 (もう寝よう。) 長い1日が終わり、…

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<短編>虫のかんさつ

「哺乳類」というのは不思議な種族です。次世代を生み出すためには、必ずお父さんの精子とお母…

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<短編> スズっくんの陣取り

スズっくんは、本当はスズキくんという名前で、僕たちのヒーローだった。 勉強もできない。足も早くない。お目目はクリクリしていたが、イケメンでもない。 だけどいつもクラスの中心で、腕っぷしも強くないのに体の大きな乱暴者を従えていた。 スズっくんよりずーっと勉強ができる僕も、彼の子分だった。 スズっくんの家は「あさひ食堂」という食堂で、大人になったらそれを継ぐんだって言ってた。子分はタダでご飯が食べさせてもらえるらしい。子分で良かった。 僕たちは皆、スズっくんが大好きだった。