ビールのゆくえ 何がライバルなのか?

スーパードライがマーケティング戦略を見直し、若者をターゲットにするというニュース。若い頃に飲んでもらえたら、生涯に渡ってファンになってくれるだろう……という狙いなのだが、果たしてそんなシンプルにうまくいくだろうか。

記事中には統計に触れられているが、スーパードライは平成元年の1989年に1億ケース(1ケースは大瓶20本換算)を初めて突破し、ピークの00年に1億9000万ケースにまで成長。ところがビール市場は縮小が進み、スーパードライも17年に1億ケースを割ったとのこと。つまり17年で半減したのだ。

そもそもの需要減以外にも、ビール以外へと顧客需要が流出しているのが原因ではないか。

コンビニに行けばどこでもビールを買うことができるが、実際には、ビール以外に発泡酒、第三のビール、ノンアルコールビールなどなど、同じようなラベルで、全く違う性質の商品を出しているのが現状だ。

ビールと発泡酒は何が違うのか? 適切に説明できる人が少ないのが現状だろう。わからなければ、価格が価値になる。より安い方へと嗜好が流れてしまう。今の苦境は自らが招いた部分もあるだろう。結局は酒税の変更に振り回されて、本質的な商品がおざなりになってしまったということではないだろうか。

まだまだシェアは少ないとはいえ、クラフトビールや、クラフトビールのイベントは盛況を博している。 一体それはなぜなのか? 消費者を徹底的に観察することが苦境の打開のヒントになるのだろう。

ビール業界はとかく、業界内の他社だけを見ているように感じる。強豪は本当に何なのか、なぜビールが売れないのか? 幅広い視野から仮説検討が必要だろう。

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