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スタートアップの平均給与アップ、その裏側の苦悩

大企業=安定しているが、給料は意外とそこまで高くなく、なかなか昇給しない
スタートアップ=不安定な上に、給料は安い、ほとんど実力次第

といったかつての構図が変わりつつある。

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人材紹介大手のジェイエイシーリクルートメントによるとスタートアップ企業に転職した人の平均年収は調査を始めた12年は514万円だったが、19年1~2月は721万円と40%増えた。18年通年の水準からも20万円強増えた。
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転職を考えている人にとっては、給与相場の上昇はとても良いことで、よく言われるように、仕事の面白さだけではなく「家族への説得」や「住宅ローンという現実」など、スタートアップへの転職へのハードルが徐々に低くなっていくのだろう。

それによってますます働き方は多様になり、大企業で数年間働いてからスタートアップへ転職したり、大学を出てからすぐに実力一本で高い給与を得たりといったことが可能になるだろう。

一方で、雇う側の経営者は大変だ。
最近では、技術者を雇用しようにも、人件費が高騰していてなかなか手が出なかったり、給与水準が釣り合わずに採用が進まなかったり、驚くほどの高額でオファーを受けて引き抜かれてしまったりという話を良く聞く。

数億円を超える大型資金調達をしたスタートアップの資金使途はほとんどが採用であり、確立したユニットエコノミクスを最短で拡大するため、ある種金に物を言わせて採用しようとするからだ。

しかし、スタートアップはしょせんスタートアップで、収益基盤が盤石とは言い難い。ある規模で黒字になっているからといって、規模を拡大させたらそのまま利益も大きくなるかと言うとそういうものでもない。事業モデルによっては、組織の拡大がそのまま膨張となり、リスクが高まるケースもある。

人件費のような固定費が上がれば上がるほど、経営の舵取りは難しくなる。良い人材が取れるものの、得るべき売上も利益も高くなるからだ。

これが、「好況の時こそ経営が難しく、不況のときほど良いスタートアップが出てくる」という定説の種明かしなのである。

人件費の高騰はしばらく続くということから、2019年、2020年は、過去数年に大型資金調達をしたスタートアップの結果が大きく分かれる一年になることだろう。

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