ファイナンシャル・プランニングにおける教育資金の考え方

ファイナンシャル・プランニングのプロセスにおいて、データ収集では、収入・支出の情報も必要になります。

前回ファイナンシャル・プランニングにおける収入の考え方をnoteにしました。

職業選択、結婚、出産、子どもの進学、住宅取得など人生にはさまざまな「ライフイベント」があります。ライフイベントの中でも、教育資金、住宅資金、老後資金は、特に多額の資金を必要とするため、「人生の3大資金」と呼ばれます。
この記事では、教育資金のファイナンシャル・プランニングについて考えます。

学校

まず基本的な幼稚園、小学校、中学校、高等学校(高校)、大学と満年齢との関係は以下の表です。

義務教育は小学校と中学校です。幼稚園には2年保育と3年保育があります。3年保育のほうが多くなっています。また保育園は0歳から小学校入学前まであります。中学を卒業すると、高校の他に、高等専門学校(高専)という選択肢があります。高専は基本5年です。高校を卒業すると、大学と就職の他に、短期大学(短大)や専門学校の選択肢があります。短大は基本2年です。大学を卒業すると大学院修士課程が2年間、さらに博士課程が3年間という選択肢があります。義務教育後は、大学入試などで浪人という可能性もあります。また、海外の大学に行くという選択肢もあります。

各学校は国公立と私立があります。特に大学だと私立でも文系、理系、さらには医学部で学費が異なります。次のセクションで見ていきます。

なお、年齢については、4月1日生まれのみ学年の計算がやっかいです。4月生まれ以外は、生年月が分かれば「日」が分からなくても学年が分かります。

子供の学習費

子供の教育費は、文部科学省の「子供の学習費調査」があります。公立並びに私立の幼稚園、小学校、中学校及び高等学校の幼児・児童・生徒の保護者が調査対象です。大学は含まれていません。

学習費は大きく学校教育費、学校給食費、学校外活動費に分けられます。学校教育費の中には、授業料、入学金、検定料であったり、教科書費、通学費、制服、教科外活動費(部活等)、修学旅行費だったりが含まれます。学校外活動費の中には、補助学習費(学習塾等)とその他の学校外活動費(習い事等)が含まれます。
データはe-Statからも取得できます。

金額が最も大きいのは授業料です。なお、公立の小学校と中学校の授業料はかかりません。

大学の授業料

国立大学の授業料は53万5800円と標準額が決まっています。

私立の授業料は標準額がないため、各大学のサイトを参照します。入学料や検定料は授業料とともに各学校のサイトに記載されています。

特に医学部の学費は高額です。医学部の一覧は文部科学省のサイトにまとまっています。

授業料・入学金・検定料以外の学校教育費

授業料、入学金・検定料以外の学校教育費は、教科書費、通学費、制服、教科外活動費(部活等)、修学旅行費などです。基本は、文部科学省の子供の学習費調査の金額を用いるのが良いと思います。

補助学習費

補助学習費は学習塾、家庭教師などです。基本は、文部科学省の子供の学習費調査の金額を用いるのが良いですが、費用は地域によっても、あるいは教育方針によっても、かなりまちまちです。大学受験では、河合塾、東進ハイスクール、駿台予備校、四谷学院、代々木ゼミナールなどがあり、中学受験からだと、栄光ゼミナール、早稲田アカデミー、日能研、Z会、学研、さらに児童だと進研ゼミ、公文式など、各社のサイトに費用が掲載されています。

一人暮らしと仕送り

大学、あるいは、高校などから子供が一人暮らしを始める場合、仕送りが発生します。費用は地域や学生寮かどうかによってもだいぶ異なります。日本学生支援機構の「学生生活調査」から生活費の金額が手に入ります。

また、地方から都内の大学を受験するなど、特に大学受験のための宿泊・交通費はかなり高額になります。

保育料

保育所の管轄は、現在、こども家庭庁です。令和元年10月から幼稚園、保育所、認定こども園等を利用する3歳から5歳までの全てのこどもたちの利用料が無料になっています。

奨学金と教育ローン

奨学金を利用する場合、子供が独立して自身の家計から返済すると仮定すると、親の世帯にとっては奨学金の分、教育費が少なくなります。日本学生支援機構が進学資金シミュレーターを提供しています。

また、奨学金以外にも、日本政策金融公庫や各金融期間の教育ローンがあります。

教育費シミュレーション

まず、子供の生年月から第1子から末子までのすべての子どもの進学タイムラインを幼稚園から大学まで設定します。国公立か私立か、大学の場合は、文系、理系、医学系や修士、短大などの期間を複数パターンシミュレーションします。特に私立医学部を想定する場合、教育費はかなり高額になります。特定の時期の費用が大きくなる場合には教育ローンを検討したり、事前に貯蓄や学資保険での準備を検討します。

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