あとがき 「技術と人間性の間にある支援を探して」

3 社外:SNSで悩み相談をするようになって
https://note.com/welfare/n/n2bd2ac187883?magazine_key=m8d74f67f43fb


本書を読んで、あなたはどう感じただろうか。

まえがきでは、あたたかな気持ちがベースにあることを前提として、
「技術」の使い方が大切なのではないか、という話をしてきた。
ここではもう少し視点を変えて、両方大事だとして、
そのバランスのとり方の話をしたい。

結局「人間性」か「技術」かの話をしたときに、
自分らしさや人柄で頑張っていた人が、上手くいかなくなったときに、
懸念されることがある。

人間性はそう簡単に変えられないということだ。

そうなると仕事が上手くいかないと
「自分は人として駄目なんだ」、とか
「この仕事に合っていないんじゃないか」と
仕事の成果から人間性の否定を受け取ってしまいそうだ。

実際にそういう人の話を聞いたことがあったが、
それはとてもきついと思う。

 人間性を育てるのは人であるが「育てる」だけが必ずしも成長ではない。自分に向き合うのも大事だし、
議論や意見交換といった人との関わりも大切だ。

だから「人間性」を重んじて頑張ってきた人が上手くいかなくなったら
「技術」路線にアプローチを変える転換点と思えば一つの目安になるし、
技術志向の人が仕事がつまらなく感じたり、冷めたように感じたら
人間性にシフトするポイントだと思えばいいのではないか。

それでも上手くいかないなら、
そもそも見方が合致していないのかもしれないし、
頑張り方が違うのかもしれない。
一度利用者の情報を洗い出したり、自分の気持ちを整理したり、
という見直しが大切だ。

「いい支援」とは何か、
という問いへの答えを出すなら、

変わり続ける利用者の状態に合わせて
支援者と共同で生み出される関わりのことを言うのだと思う。

常々言ってきたが、一方的ではいけないし、思いの押しつけでもいけない。お互いに関われる接点が確かに存在する関わり。心に根づいていく関わり。

それが少しでも未来を明るくすることを信じて歩む過程。
支援者も、利用者も一緒に成長して、自分を実現していく。

そうした関わりの度合いをさして、私は「いい支援」と結論づけたい。

現場で悩み、もがく支援者に何か与えられるものがあるかもしれない、
そのような可能性を信じて、ここまで述べてきたけれど、
これを読んだ人が、何か支援の手がかりを得るならうれしい。

できることなら、「一緒に頑張っていこう」と呼びかけたい。

【プロフィール】
金原知宏
社会福祉士
1989年生まれ。長崎県出身、さいたま市在住。文教大学人間科学部人間科学科卒業。学童保育を経て、障害者向けのグループホームに勤務。現在は、現場と兼任して社内研修や実習指導者を担当している。

連絡先
goldenslumber02@gmail.com

福祉って本当にこれでいいの? 
~「自立や成長」「知識や技術」だけが支援なのか~
https://note.com/welfare/n/nd2adea37a86e


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