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今こそPHRを普及させる。健康データが、個人と社会をより良くできる理由とは?

株式会社Welbyは、テクノロジーを活用したPHR(Personal Health Record)サービス、アプリ、Webサービス、データマネジメントの提供を通じて、患者中心の医療の実現を目指しています。

読者の皆さまに、もっとWelbyのことを知っていただきたい。そんな思いから、事業内容や働いている社員の声を紹介する、Welby公式noteを始めました。

今回話を聞いたのは、代表取締役の山本武。前編では「そもそもPHRとは何か?」を皮切りに、PHRが個人や社会にとってどんなメリットがあるのか話しています。

インタビューした人 代表取締役 山本 武(やまもと たける)
株式会社CSKを経て、1994年より伊藤忠テクノサイエンス株式会社(現 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)に入社。医薬品研究開発分野を対象とするシステム開発、導入コンサルティング、新規商品開発、大型SI案件の企画運営、医薬品開発のグローバル化のコンサルティング等に従事。2005年よりメディデータ・ソリューションズ株式会社に入社、2008年より代表取締役。アメリカ本社の経営チームの一員として、主にアジア市場におけるビジネスと組織の立ち上げ・運営を行った。2021年3月より株式会社Welbyに参画。取締役COOを経て、2023年4月より現職。

技術の進化と、健康意識の高まり

まずは読者の皆さまに向けて、PHRについて簡単に説明してもらえますか?

PHRとは、Personal Health Recordの略です。生涯型電子カルテと呼ばれることもあります。端的にいうと、「個人の健康に関わる情報」になります。

PHRが注目されるまで、私たちの多くは、自分の健康データを持ち合わせていませんでした。私は現在55歳ですが、20〜30代のときに受診した健康診断の結果を把握していません。たしか紙で出力され、受け取った記憶はあるのですが……。そんなふうに、以前まで捨てられていたデータが、PHRという形で管理できる時代になったんです。

私たち株式会社Welbyは、現在、創業12年目になります。創業当初からテクノロジーとデータを活用して、患者さんが主体的な医療に関わることができる社会を目指してきました。データの核となるのがPHRですが、弊社は微力ながら、日本におけるPHR普及に貢献してきたという自負を持っています。

PHRという言葉が日本で広まったのは、最近のことですよね。なぜ注目され始めたのでしょうか?

おっしゃる通り、PHRが注目され始めたのは最近のことです。時代を遡ると、日本で生活習慣病の患者が増えた2000年前後のタイミングで、健康への意識が高まりました。体脂肪率が測れる体重計もかなり売れたと思います。

ただそれらのツールは、健康データを測定することはできても、記録や保管ができませんでした。技術的に難しかったんです。記録や保管ができなければ、専門知識を持つ医師や薬剤師と適切な連携が取れません。それがようやく2010年代になって技術が進化し、クラウドやIoT、ウェアラブルデバイスなどが一般的に使われ始め、ブレイクスルーになりました。

健康データは誰のもの?

Apple Watchなどのデバイスをつけている方も増えていますよね。

まさにApple Watchが測っている健康データがPHRです。体重計がスマホと連動したものであれば、自動的にデータが蓄積されていきます。こうした技術の進化が、個人の健康意識の高まりにも寄与してきました。

ウェアラブルデバイスをつけていると、「太り過ぎですよ」とか、「ダイエットした方が良いですよ」とか、いつも自分の健康状況を意識するようになります。ある意味で忙しないともいえますが、様々な病気の予防に確実につながっています。私の友人も、Apple Watchのおかげで、とある病気の初期症状に気付くことができました。このように個人が健康データのオーナーシップを持つことで、今後さらに個人がPHRを意識するようになるでしょう。

健康データのオーナーシップとは、どんなことですか?

例えばあなたが、昨年の冬にインフルエンザにかかっていたとします。そのときのデータは、どこにあるでしょうか?きっと、そのとき通ったクリニックにありますよね。「インフルエンザにかかった」というデータは、クリニックに行って請求するともらえます。あるいは記録をつけていれば、PHRとして健康データを保有している状態になります。データをつけていなければ、当然ゼロですね。

個人情報への意識が格段に高まったように、個人の健康データも「自分のものである」という意識を持てるようになれば、自然とPHRも普及していくと思います。

PHRのポテンシャルは無限大

Welbyでは、BtoCだけでなく、BtoBやBtoM*などの事業も展開されていますね。

WelbyのPHRプラットフォームサービスは、患者や医療機関、医療機器メーカー、製薬会社など様々な関係者を含んでいます。もちろんPHRは患者やお客さまの大切な情報ですが、PHRの利活用を許可いただければ、事業者は彼らの健康状態に合った広告や商品紹介も可能になります。
*BtoM……Business to Medicalの略。Welbyは病院、クリニック、薬局、健診機関など医療機関を対象にした事業を行っている。

どのようなサービスがありますか?

例えば製薬企業の場合、これまでは医師や薬局に薬を届けるところまでが仕事でした。実際に薬を選び、処方するのは医師の仕事ですよね。だから患者が薬を使った結果、本当に治ったのか、健康を損なうような副作用はなかったのか、といったことは分からなかったんです。

抗がん剤治療で「5年生存率50%」といった効果が示されることがあります。ですが、5年生存率が同じだったとしても、寝たきりの5年なのか、社会復帰しての5年なのかでは内容が全く違いますよね。そういったデータが製薬会社にも共有されれば、医薬品の適切な評価や有効な新薬開発にもつながります。このように医療での活用からビジネス利用まで、幅広くPHRを生かせる可能性があるといえます。

最終的に患者にもメリットがあるんですね。

現在、ウェルビーイングの関心が高まっています。異業種からも、多くの事業者が何かしらのタッチポイントを作ろうと検討が進められています。

スマートシティという言葉が注目されていますよね。ICTなどの先進技術を用いて社会課題を解消し、持続可能な街づくりを目指すことですが、市民の健康も最重要課題のひとつです。何かあったときに、適切に医療へとアクセスができること。自動車や食品、不動産や保険など様々な産業からPHR活用が期待されています。

PHRが主役になって、バリューチェーンの端から端までを見渡し、Welbyがリーダーシップをとりながら設計して作り上げていく。責任重大ですが、やりがいも大きいと感じます。


WelbyのPHRについて知りたい方、採用についてのお問い合わせはこちらよりお願いいたします!


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