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タレントマネジメント領域でプロダクトデザインするのが面白い件

皆さんこんにちは。オオカワラ(@o_kwr)です。
急ですが、皆さん「タレントマネジメント」とは何かご存知ですか?
私も、プロダクト開発の中で出会うまでは言葉すら知らなかったのですが、以下のようなものです。

ビジネス目標と整合した統合的なタレントの獲得、開発、配置のプロセスを通じて、企業文化、エンゲージメント、労働力の量と質を確立することによって、人々を導く組織的なアプローチである

ATD, 2009, p.8

企業の競争優位に貢献するキーポジションを特定し、これらのキーポジションに相応しい高い潜在能力を有し成果発揮できる人材をタレントプールで開発し、有能な人材がキーポジションを充足することができる人材アーキテクチャーを構築し、有能な人材の組織への継続的コミットメントを確保する(戦略的タレントマネジメント)

Collings and Mellahi, 2009, p.304

すべての社員が才能を有することを認め受容し、社員がその才能を発揮するために最適な機会となりうるポジションに社員を配置し、継続的に評価を行うこと(包摂的タレントマネジメント)

Swailesほか, 2014, p533

(以上、『日本企業のタレントマネジメント』石山恒貴より引用)

どういった側面から提唱し、定義するかでだいぶ意味が異なる言葉であり概念であるのですが、私個人としては、企業の中で個人が最適に活躍できるように計画・実行し、ビジネス目標につなげていく営み、と捉えています。

具体的には

  • 採用

  • 人材配置

  • 人事評価

  • 人材開発(スキル・学習管理)

  • 報酬管理

  • サクセッションプランニング

などの領域があり、これらあらゆる要素が有機的に結びついてタレントマネジメントは機能しています。とりわけ、プロダクトとしてのタレントマネジメントシステムにおいては、これらの領域間を多量のデータが行き来し、データを中心としてタレントマネジメントという目的を達成していきます。

どんな人がプロダクトを利用するのか?

SmartHRでも、タレントマネジメント領域のプロダクトが続々と開発されていますが、このタレントマネジメント領域のプロダクトを利用するのは、幅広い立場のユーザーとなります。

例えば、人事評価では、評価者である上長、被評価者であるメンバー、そして全体を取りまとめる人事部門が関わってきます。一方で、配置シミュレーションのようにマネジメントレイヤーの人が主業務を行い、メンバーロールの人は使わないプロダクトもあり、どんなプロダクトであるか、そしてどんなロールであるかによって使われ方は大きく異なります。

それ故に、タレントマネジメント領域のプロダクト開発においては以下2つが特徴だと思います。

ロールの多さとそれに伴う機能の複雑さ

上述しているように、様々なロールのユーザーが登場してくるため、機能開発時のヒアリングを想定しうる全てのロールに対して実施したり、ロールごとに特定の機能がどう動作するのか確認したりすることが多いです。

取り扱うデータ量の多さと取り扱いの複雑さ

また、タレントマネジメント領域のプロダクトにおいては、評価情報、センシティブな人事情報、報酬情報、採用に関する情報をはじめ、特定のロールやメンバーには見せてはいけない機微な情報を大量に扱います。こうした情報が適切なロールのみに適切な形で提供できるように設計する部分に複雑さがあります。

タレントマネジメント領域の面白さと難しさ

SmartHRの採用管理機能のイメージ

先日「採用管理」機能のプレスリリースが公開されましたが、現在私はこの機能の開発をプロダクトデザイナーとして担当しています。そして実は、採用管理に関するプロダクトはSmartHRに入社する以前にもゼロからの開発経験があり、その中で私はこのタレントマネジメントという領域で感じる面白さを発見しました。それは、ドメイン単体で完結するのではなく、データを連携していかに全体で活用するかの視点で開発する必要があるところです。

採用管理システム(ATS)は、採用業務の効率化のために導入されるもので、様々な企業がサービスを提供しています。応募があった候補者の情報を登録し、選考に関する情報を記録し、内定・採用決定まで進捗管理をする、というものですが、採用という単一ドメインの範囲だけで見ると業務効率化という部分が主目的になります。

一方で、タレントマネジメントという範囲で採用管理システムというプロダクトを見ると、採用における業務効率化はもちろんですが、タレントに関するデータの最初の入口という側面が非常に強くなります。これは、採用の中で得ることができた情報を入社後のマネジメントや分析に使えることを意味しています。

候補者がそのまま従業員として登録されて、入社手続きそしてその他の機能にもつながります

上述している採用時の評価データと人事評価データを照らし合わせパフォーマンスを分析したり、各従業員のスキルデータを人材配置で活用したりと、プロダクトで得たデータをプロダクト間で有機的に連携させることが設計に求められるわけです。

プロダクト間でどのデータが互いに使えるか考えたり、逆に「こんなデータがあればあんな機能が提供できるのに...!!」とプロダクトデザイナーや開発者同士で考えることはパズルを解くようでもあり、とても面白い領域だなと日々思います。

その一方でもちろん難しさもあります。とりわけ、企業規模(従業員数)や業種によって求められる機能や要件が大きく異なるという部分は非常に大きいです。

大企業向けに高度な機能を詰め込みすぎるとミニマム要件で十分な中小企業ではその自由度ゆえ使いこなすことは難しくなります。また、自由度が高すぎる機能設計だと大企業での運用ですら管理できなくなる恐れもあります。あらゆる規模の企業のあらゆる運用を吸収できる柔軟性をどうプロダクトにもたせるかを考えるのが難しさでもあり、やりがいでもあります。

プロダクトデザイナーとしてタレントマネジメント領域のプロダクトを開発する楽しさ

このタレントマネジメント領域にてプロダクト開発をする楽しさは、豊富な種類のデータを使ってシングルプロダクトでは実現できない価値をどう作りあげるかにあると思います。採用のデータだけ、人事評価のデータだけでは叶わないけど両方あるからこそ提供できる機能を考えるという部分にワクワクします。

社内でも、タレントマネジメント領域のプロダクトを担当しているプロダクトデザイナーで集まって、タレントマネジメントプロダクト群全体のあり方を考えたり、有志によるタレントマネジメント業務理解の会が開かれたりしています。全社でタレントマネジメントを理解し、どうあるべきか考えて、それをプロダクトに反映していける環境であることも楽しさであり、魅力であると思います。

そして、タレントマネジメントというものはアカデミックな面でも実践論的にも一定の型やアプローチが既に存在しています。しかしながら、実際の企業での実態を見てみると、型を組み合わせて独自のタレントマネジメント手法を実践したり、そもそもタレントマネジメントという概念が存在していなかったりします。

日本におけるベストな形のタレントマネジメントというものを、プロダクト開発を通じて見出していけるのはプロダクトデザイナーとしてチャレンジングな環境だと思いつつ、日々ウンウン唸りながら開発しています。

最後に

タレントマネジメントという領域でプロダクトデザインすることの魅力はいくらか伝わりましたか?
ここからもっと作りたい機能があるので共に開発できる方を絶賛募集中です!

もしSmartHRのプロダクトデザイナーに興味をお持ちいただけましたら、積極的にカジュアル面談や採用をしていますので、以下の申し込みページからお気軽にお申し込みください!

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