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倒壊導誅膝蹴区(とうかいどうちゅうひざげりく)

むかしむかし、ある国に「導誅」という街がありました。導誅は崖がちな山々に囲まれ、住民たちは日々平穏に暮らしていました。

ある日、この導誅を訪れた若い旅人がいました。
彼の名前はリョウで、勇敢で好奇心旺盛な性格を持っていました。
リョウはこの崖の上には何があるのだろう、と好奇心の赴くままに探索することにしました。

リョウが崖の上に足を踏み入れると、そこには驚くべき光景が広がっていました。崖の上には巨大な岩石が点在し、それは不自然に積み重なっていました。
しかし、その岩は長年の風化ゆえかとても不安定で、いつ崩れ落ちるか分からない状態でした。

リョウは街に寝泊まりしながら、興味津々で付近の探索を続けていきました。
彼が滞在し始めてから大雨が数日続いたある日、なんと土砂崩れが起こり、岩の一部が崩れ始め、住民たちは危機に直面しました!
このままでは街自体が、倒壊してしまうのです。

リョウは決意しました。
彼はこの街で過ごすうちに、いつしか愛着が湧いていました。
しかし、リョウはただの旅人で、どうすれば助けになるのかわかりませんでした。

街の人たちは、ただただ神に祈りを捧げ、天災が鎮まるのを待っています。

そこでリョウは、自分ができることは何か、もう一度よく考えました。
そして彼は1つの打開策を思い出しました。

それは、故郷にいた頃、通っていた道場の免許皆伝の証として師より教えられ会得した、強靭な膝蹴りの技でした。

リョウは、怯える住民たちの前に立ちました。

彼の提案を聞いた住民たちは最初は驚きましたが、リョウの勇敢さに感心し、彼の提案を受け入れました。

そうしているうちに、再び大きな土砂崩れが起こりました。
ついに、大きな家を数軒まとめて押しつぶすほどの巨大な岩石が転がって来ます。

リョウは一つ息をつくと、駆け出しました。
そして住民たちが固唾をのんで見守るなか、見事な膝蹴りを放ちました。

その一撃で巨大な岩石は、粉々に消し飛ぶのでした。

その後、リョウは住民たちの一人一人に膝蹴りの技を教えました。

住民たちはリョウの教えを受け継ぎ、その後何代にも渡って現在まで、導誅で膝蹴りの技術を伝える伝統が生まれました。

この地域は今でも膝蹴りの技を伝え続け、団結して平和に暮らしています。

ここを訪れた人たちが各地でこの話を語り継いでいき、
いつの頃からか、この地域は「倒壊導誅膝蹴区(とうかいどうちゅうひざげりく)」と呼ばれるようになりました。

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