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ハープ語り #4 レバーハープで転調のある曲を演奏したい

トップの写真は今回のテーマとなんの関係もないミンティアです。
クリームソーダが好きでした。過去形で書いたのは、現在炭酸と甘いものと冷たいものを控えているため、その全てが含まれるクリームソーダには寄り付けなくなったからです。さびしい。元気になったらカフェ巡りをしたいです。
最近は写真を撮る機会があまりにもないので、カメラロールを遡っても何もなく、ぽつりとミンティア。クリームソーダは飲めないけれど喫茶店の気分をあじわう。「気分」でごまかしながら日々を過ごします。


タイトルに戻る。
お久しぶりのハープ語りです。「次回はレバーハープの構造を観察してみたいと思います」と記事に書いたのが2020年5月、あれから3年も経ってしまいました。最近またハープのことを考え始めたのでまた書きます。(予告していたレバーハープ構造編は次回以降に書きます。)

このシリーズでは、趣味のレバーハープ弾きが、特に専門的なことを述べるでもなく、ただただハープについて語っていきます。


「雫」という曲をご存知でしょうか。

スキマスイッチの曲で、NHK教育(Eテレ)のアニメ「獣の奏者エリン」の主題歌でした。調べると2009年リリースらしいです。物語の雰囲気に沿ったケルト音楽風のさわやかな曲です。この曲調はレバーハープにうってつけ。いつかレバーハープで演奏したいなあと思いながら愛聴していました。(ジブリの「借りぐらしのアリエッティ」の公開が2010年ですから、この頃このタイプの音楽が人気だったのですかね……?)

しかしレバーハープで「雫」を演奏するには一つ壁があります。
それはコード譜をご覧いただけると分かるのですが、

途中で転調するんですね。
原曲のキーだと、Aメロ:Am → Bメロ:Cm → サビ:Am となります。
(さらに最後のサビ繰り返しでキーが半音上がります。これはスキマスイッチの「奏」も同じ手法。)
こういう曲は古今東西色々あり、なかなかレバーハープで演奏するには苦しいタイプの曲です。編曲を工夫したり諦めたりしていましたが、ふと思い当たりました。

別の楽器と一緒に弾けばいいのでは……


レバーハープは転調の際その名の通りレバーを上げ下げします。Aメロ:Am → Bメロ:Cm → サビ:Am   であれば、Aメロとサビは同じ調ですからハープをAmチューニングで弾いて、Bメロだけ別の楽器に担当してもらえばいいわけです。

セッションに憧れていました。
川縁でも公園でも酒場でもなんでも良くて、人々が集って、わいわいと演奏するなんて、なんて楽しそうなんだろう!
調べると結構いろんなところでやっているそうです、が、私は体が弱く人見知りで、どうにも参加できるような気がしません。友達を誘って遊びに行くことすらほとんどしてこなかった人間にセッション参加などできるのか、体調不良でドタキャンする可能性があって嫌だし、病弱のためまだ新型コロナに対して注意深くいないといけないし……(とネガティブなことばかり頭をよぎる)。

二つめの思いつき、もとい諦め。


全部ひとりで演奏しようかな……


某日、某所。
ハープの先生のご厚意でハープ教室の一部屋をお借りすることができました。防音室なので録音ができます。ハープは教室に置いてあるものをお借りし、持ち込んだ品はタブレットと、楽器類。

こちら、参考にさせていただいた、セッションで使われる楽器の一例。
ハープ以外は何も弾けませんし、持ってもいません。ティンホイッスルもブズーキもバウロンもフィドルもコンサーティーナも、なんにも……(マニアックな名前がどんどん出てくる)。何か代替できる楽器を探そう……。

家にある楽器の中からまず選んだのはリコーダー
ソプラノリコーダーとアルトリコーダーの2本を持参しました。
理由:吹ける。うまくはないが。
この間読んだ音楽療法の本に「人が歌える音域の楽器は穏やかに聴くことができる」というような話があって(この話は後日できたらします。きちんと出典を書きます。)、なるほどそうであれば、リコーダーは穏やかな音楽に適していると言えそうです。
次にクラシックギター。教室でレンタルできました。とてもありがたかった。
バッキング(かき鳴らす)とアルペジオとベースを全てギターで担当。
打楽器はハープの響板を叩く案もありましたがやや音が弱く、カホンとかコンガとかボンゴとか何かそういうものがあれば……と思いましたが何もないので、これはDAWの打ち込みを採用。

リコーダーとギターのいいところは、先にも書きましたが「調が固定されていないこと」です。レバーハープはレバーの設定によって調が固定されるので、例えばハ長調(C)、「ドレミファソラシド」に設定すると、「ド♯」とか「シ♭」という音が音階上になくなります。ピアノの白い鍵盤だけの状態と思ってください。なので、ピアノでいう黒い鍵盤を弾くにはレバーを上げ下げして対応しなければなりません。これが悩ましいので、どの調にもすぐに対応できるギターやピアノ、リコーダーなどの楽器はありがたいのです。
※私はハープの伴奏をつくるとき、例えば「C:ド-ミ-ソ」と「Cm:ド-ミ♭-ソ」はドとソが共通していますから、Key=CでCmを弾きたいときに「ド-ソ」とパワーコードを弾くことでレバー操作を避ける、という方法をよく使っています。言葉にしてみるとなんのことやら……伝わりますかね……

・ソプラノリコーダー
・アルトリコーダー
・アイリッシュハープ
・クラシックギター
・ベース(ギターで代用)
・打楽器(打ち込み)

という編成で楽譜を書いて、いざ多重録音。
タブレットにマイクを繋いでアプリで録音し、編集して、動画にして、アップロードする。全てタブレットで完結させることができるのはありがたい……


そうして完成した音源。
インスト(主旋律はリコーダー)とver.と歌唱ありver.、2パターン作りました。

自己評価が甘いかもしれませんが、結構いい感じにできたと思います。もっと演奏の精度を上げられるといいですね。

思ったことのメモ
・セッションはチューニングがとにかく大事
・管楽器に(学校教育でのリコーダーしか)触れてこなかったので、特に管楽器のチューニングがわからない これは憶測だけれども他のもっと複雑な構造の管楽器は音程を取るのが大変なのではないだろうか……奏者の人はすごい
・ギターは様々な働きをしてくれて便利だしハープとの音の相性もいい
・ハープの音の減衰の遅さとギターの音の減衰の早さを使い分けられるといいな
・ピアノを入れたかったけどピアノを入れるとレバーハープが音量的に負ける、音域も近いし
・アンサンブルの中のハープの役割が少しわかった 今後の曲作りにも活かせそう
・やっぱりハープのグリッサンドはかっこいい
・民族音楽風味の曲を他にも弾いてみたいな 「サウダージ」「異邦人」「情熱大陸メインテーマ」などを考えています

私は決して人と何かをするのが嫌いなわけではなくて、機会があればコラボやセッションにどんどん参加したいのです。が、それができない体調の今、実現可能な遊びがこの「ひとりセッション」。とても楽しかったです。
多重録音を終え、教室から帰ってきて疲れて何時間も寝込みました。そんな体調なので、いつになるかわかりませんが、いつか「ハープ語り セッションに参加してみた」が書けるように頑張ります。


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